【競馬】天皇賞・秋 有力馬の追い切りジャッジ&追い切りから狙える穴馬プラスワン!

クロノジェネシス (C)Eiichi Yamane

競走馬の追い切り・中間調整の評価をメインに活動しているライターの西村武輝です。今週から、その週行われる最注目重賞の有力馬についての中間調整と最終追い切りのジャッジをお届けします。最後には「プラスワン」として調整面から狙える穴馬もご紹介。

みなさまの重賞攻略のお役に立てば幸いです。どうぞご参考になさってください。

今週はなんと言っても古馬中距離路線の最強馬決定戦「天皇賞・秋」が注目の一戦。人気上位となりそうな馬、狙える穴馬の中間調整・最終追い切りの解説、そして総合評価をS、A、B、Cでランク付けします!

著者プロフィール
<文:西村武輝(にしむらぶこう) フリーライター>
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当している。

アーモンドアイ

【中間調整】10月4日に中間の初時計。以降これまでどおりウッドコースでの馬なり・併せ馬中心に仕上げられてきた。同様のローテだった昨年と比較すると“ガレて帰ってきた”という話があった昨年の中間調整では負荷をいったん緩めるためか坂路での14-14を1本挟んでおり、コースでの併せ馬相手もオープン馬とは言えプロディガルサン、コズミックフォースといういささか“微妙”な面々だった。

それに比べると今年はよほどいい状態で帰ってきたのか2週前の併せ馬相手がマジックキャッスル(その週末に秋華賞2着)、1週前の併せ馬相手がサトノフラッグ(その週末に菊花賞3着)と活きの良さ、勢いで断然上位の相手をスパーリングパートナーに選べているあたり、身体面、体調面になんの不安もないことがうかがい知れる。

【最終追い切り】美浦ウッドで1頭め7馬身、2頭めと5馬身と大きく2頭を先に行かせての3頭併せ。鞍上は不動の主戦・ルメール騎手で中間調整の順調さから、脚慣らし程度の負荷だった。脚力と反応の違いは歴然で、最内へ潜り込むと相手2頭を一気に突き放す圧巻の動き。重い馬場でも全く気にせず脚を伸ばせたあたりは王者の風格と言えた。

【見解】スーパーホースだけにもう一段上の状態もありそうだが……目標の一戦へほぼ万全の態勢で臨めそう。

総合評価「A」

クロノジェネシス

【中間調整】10月4日に中間の初時計だったが、ここでラスト1F12秒5を出せたあたり、これまでの成績が物語るように放牧で緩んだ面がないことの証明と言える。その後コースでの併せ馬は入念そのもの。1週前追い切りだった3頭併せでは北村友一騎手との息がぴったりなところを見せ、豪快な伸びから2頭を圧倒するなど用意周到だ。

【最終追い切り】栗東CWでオープン馬リュヌルージュを追走する併せ馬。序盤はそこまで出していかず、力を溜めることに専念すると直線に入っての追い比べでもガリガリ追わず稽古駆けする馬が相手ではあったが、半馬身遅れの入線だった。終い1Fは12秒4で大阪杯時の11秒6、宝塚記念時の11秒8と比べると若干見劣る感は否めない。

【見解】本来一戦一戦全力投球型なだけに、最終追いで6Fで80秒を切り、ラスト1Fは11秒台という出し切る稽古でも良かった感はあるがオークス以来久々となる東京への輸送を考慮したか、はたまた距離が延びる“次”を見据えているのか、あえて出し切らなかった感も。

総合評価「B」

ダノンプレミアム

【中間調整】9月12日に帰厩後の初時計と早めの調整開始。9月中は楽をさせた時期があったようだが10月の声を聞いてからは順調に調整ペースをアップさせている。10月11日までは坂路での負荷で基礎を作り、翌週からはウッドコースでの併せ馬で終いをシュッと伸ばす実戦想定の稽古内容と順を追って調整できているのはいい。22日の1週前、25日の日曜追いともに動きは豪快だったがブリンカーを試した1週前追いのほうが集中して走れていた印象。

【最終追い切り】川田騎手を背に栗東CWで1勝クラスを追走。近々の調整同様、折り合い重視からラストの一瞬の切れを磨く内容に徹していた。抜け出してややフワッとしたあたりは、ブリンカーを外して臨んだ分か。それでいて馬なりでラスト1F12秒1はさすがのもの。鞍上との意思疎通も抜群。

【見解】結局陣営はブリンカー着で挑むことを決定。エンジンだけなら上位人気の女傑2頭に比肩するだけのものがあり、馬具の工夫やイメトレというパフォーマンスを少しでも上げようという陣営の意欲は買える。ただし9月下旬に楽をさせた期間と2週前追いをパスしている点は気掛かり。ここ10日の動きは申し分ないだけに、気にしなくていいレベルだろうが“画竜点睛を欠く”となる可能性も。

総合評価「B」

キセキ

【中間調整】能力は断然ながら出遅れ癖など気持ちの部分の調整、鍛錬で陣営がさまざまな工夫をしてきた馬。4歳、5歳時はCW単走で最終追いが常だったが、今春宝塚記念時にキャリア初の坂路最終追いで2着、前走京都大賞典では坂路併せ馬最終追いで2着と、坂路追い切りへ切り替えたことが復調の要因と見て良さそうだ。この中間は、CW追いは1本だけに留め、坂路中心の調整メニュー。やや手緩い感があった京都大賞典時の動きからは一変。中2週とは思えない元気の良さが目立った。

【最終追い切り】手緩いながらも一応の結果を出した京都大賞典時の最終追いを踏襲する形で坂路併せ馬。ただし休み明けではないので、負荷を掛けた前走時とは異なり、終始馬なりで進行した。もともとバランスはいい馬だが、首を上手に使ってしなやかな低重心の走りは好印象。結局貫禄の違いを示し、2勝クラスに楽々先着を果たしている。

【見解】試行錯誤のなか、現状でいちばんいいと思われる最終追い方法を選択。目に見えない気持ちの部分や疲労の溜まり具合で“裏切られる”可能性もゼロではないが、間違いなく前走からの上積みは大きい。

総合評価「A」

プラスワン! スカーレットカラー

【中間調整】夏の札幌で使われ思いのほかダメージがあったようだが、9月下旬の帰厩後はそれを微塵も感じさせない動き。放牧先である大山ヒルズでの調整がすこぶる順調だったのではないか。通例はレース1週前に猛時計を出し、レース当週に終いだけというパターンだが、今回はレース2週前にあたる10月14日にCW6F78秒3という芝並みの猛時計。以降は折り合い重視のメニューに専念している。

【最終追い切り】太宰騎手が騎乗し、CWで併せ馬。序盤はしっかり制御され、直線に入って手前を替えてからは猛然と加速。一気にギアを上げて僚馬をパスした。鞍上も反応の良さに驚いたような素振りで、精神の研ぎ澄まされぶりは抜群のよう。

【見解】最強負荷を前倒しにし、いつものパターンを変えてきたあたりがどう出るかだが、牧場での立て直しがことのほかうまく行った分“GI仕様”と言える、折り合いからのギアチェンジ鍛錬に時間を割くことができた……と捉えてもいいのでは。この策が吉と出れば大仕事も。

総合評価「S」

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