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【東京五輪】あらためて考えたいスポーツの存在意義 東京五輪開会式に思う

【東京五輪】あらためて考えたいスポーツの存在意義 東京五輪開会式に思う
紆余曲折を経て実施された東京五輪開会式(C)Getty Images

■スポーツの存在意義とは何なのか

為政者と異なり、実際の運用現場で業務従事するひとりひとりの労苦があってこそ、五輪は東京に招致され、ひとりひとりの頑張りがあって開催までこぎつけた。本日も現場では、かつての同僚や部下が汗水たらして働いている。東京五輪の陰には、こうしたひとりひとりの労苦が、陽の目を浴びなかったとしても、そこにあったのだという事実を思い起こして欲しい。

日本人は「感動クレイジー」だ。ドラマを見ては「感動巨編」、映画を見ては「全米が泣いた」、スポーツ観戦しては「感動をありがとう」。だが、他のエンターテインメントと異なり、スポーツ従事者は感動を生み出すために仕事をしているわけではない。

本大会も戦前の五輪批判とは異なり、この後「感動をありがとう」報道であふれるに違いない。しかし五輪は、スポーツはそんな安い感動のためにあるのではない。

五輪に派遣された難民選手団からも理解される通り、スポーツは平和あってこそ、その存在意義を発揮できる。「スポーツの意義とは何か…」、東京五輪の開会式をそんな心持ちで眺めることになろうとは思いもよらなかった。スポーツとは不要不急のものなのか。もしそうでないなら、アスリートも含め、スポーツの存在意義は何なのか。

五輪はいらない。もし、そうであるなら、スポーツも不要なのか。

幾霜の苦労の末に招致した東京五輪だ。この五輪期間だけでも、そんなスポーツの存在意義に思いを巡らしてもらいたい。

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著者プロフィール

松永裕司●Stats Perform Vice President

NTTドコモ ビジネス戦略担当部長/ 電通スポーツ 企画開発部長/ 東京マラソン事務局広報ディレクター/ Microsoft毎日新聞の協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」プロデューサー/ CNN Chief Directorなどを歴任。出版社、ラジオ、テレビ、新聞、デジタルメディア、広告代理店、通信会社での勤務経験を持つ。1990年代をニューヨークで2000年代初頭をアトランタで過ごし帰国。Forbes Official Columnist