【東京五輪/体操】君臨し続けた王者・内村航平 まさかの落下 「土下座したい」

まさかの落下で予選落ちとなった内村航平(C)Getty Images

王者の五輪が終わった。

これまでの長い競技生活、酷使した肉体、肩のケガ、若手の台頭、かつての王者はさまざまな要因から今大会、個人総合ではなく得意の鉄棒一本に絞り込んで出場していた。しかし、鉄棒に集中した分だけ、その完成度は増していた。

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その演技はまさに「圧巻」という言葉がふさわしかった。この完成度なら、なぜ個人総合を狙わないのかと考えてしまうほどだった。群馬県高崎アリーナで6月5日に行われた全日本体操種目別選手権においても、その演技は際立っていた。15.766の世界最高得点をマーク。内村航平の鉄棒・金メダルは、間違いない。そう確信させるほどのできだった。

大きなミスさえなければ……。それが母国五輪の本番で起きてしまった。H難度のブレトシュナイダーカッシーナコールマン……ため息が出るような離れ技、連続技を成功させ「行ける!」と思わせたその直後の捻りで落下。ま、まさか。その、まさかが国際大会の怖い点。

演技を再開し、着地まで持ち込んだものの、13.866点と伸びず、種目別決勝順位には入れず、予選落ちが決まった。

「東京五輪があるから現役を続けている」「できないではなく、できる方法を探して欲しい」と中止、さらなる延期が叫ばれる新型コロナ禍での東京五輪開催についても、後押しする発言を繰り返していた内村だが、残念な結果に終わった。

ロンドン五輪、団体でのミスの際は「もう日本には帰れない」と心境を吐露したこともあった。いや、もうこれだけの偉業を残し続けた絶対王者だ、恥ずべき点もなく、今はその翼を休めてもらいたい。

演技後一旦、控室に入ったものの、また会場にその姿を現し、穏やかに若手の演技を見守る内村の笑顔は、もちろん金メダルに値する。

すべての演技終了後、内村は、第一声「もう米倉に土下座して謝りたいですよ」と代表選考会を戦い内村に破れ五輪出場を逃した米倉英信を気遣った。起こってしまったことについては「もう取り返しがつかないですし、これ以上オリンピックで演技することはできないし、もう心ここにあらずです」と無念さをにじませた。

日本は団体予選を1位で通過した点について「過去1位で通過したことはなかったですし、すごいことですし、心配はいらないのかな……と観ていました」と若いチームへキャプテンとしての期待ものぞかせた。

最後に再度「土下座します」と視聴者への言葉を残したが、いや、何も謝ることはない。これまで我々は、どれだけ内村航平に夢を見させてもらったことか。ありがとう。お疲れ様。

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文・SPREAD編集部


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