ジャマイカ観光局は8月23日、東京五輪スタッフ・ストイコビッチ河島ティヤナさんに同国への観光旅行を授与。それに先立ち19日、ジャマイカ本国と在日ジャマイカ大使館をオンラインで繋ぎ行われた式典では、ジャマイカのエドモンド・バートレット観光相が河島さんの寛大な心を称えた。
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■パーチメント選手を救った河島さんの「おもてなし」
すでに各種メディアでも報じられた通り、東京五輪ジャマイカ代表のハードル走者ハンスル・パーチメント選手に対し河島さんが示した思いやりある行動が、日本だけではなくジャマイカからも注目を集めていた。
準決勝当日、レース会場に向かうパーチメント選手は、選手村からのバスを乗り違え、有明の誤った競技会場に到着。助けを求められた河島さんは自身のお財布からタクシー代を渡し、同選手は無事、国立競技場に定時前に滑り込んだ。彼は、陸上男子110メートルハードルで見事、金メダルを獲得。つまり、河島さんの手助けがなければ、同選手とジャマイカは金メダルをひとつフイにするところだった。
パーチメント選手が2日後に河島さんを探し出し再会、お礼を伝える様子を撮影した動画を自身のSNSに投稿すると、この心温まるストーリーはメディアでも大いに話題となった。河島さんの個人的な「おもてなし」が、まるで日本代表として栄誉を獲得したカタチだ。
■「私は自分にできることをしただけです」
バートレット観光相は、「河島さんのこの親切な行動は、日本人の最高のおもてなしの心を表しており、すべてのジャマイカ人は彼女に感謝しています」と伝えた。また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会・布村幸彦副事務総長は、「河島さんの行動とパーチメント選手との美しいストーリーは、まさにオリンピック・スピリットを象徴しています」とコメント。
観光相はさらに「ジャマイカの観光は、今日の日本の旅行者にとって非常に魅力的です」と話し、「ジャマイカには、多くの人に愛されている音楽やエンターテイメント、本物の文化体験、ユニークなグルメ、世界遺産、雄大で変化に富んだ自然美、様々なアウトドア・アクティビティ、そして世界でも有数のビーチリゾートがあります。河島さんをはじめ多くの日本のお客様を、また、すぐにジャマイカにお迎えできることを楽しみにしています」と付け加えるのを忘れなかった。
河島さんは、観光相とジャマイカに向け「今でも夢のようです。私は自分にできることをしただけです。このような寛大な贈り物を頂き、とても嬉しいです」と感謝の意を表した。
河島さんは数カ月後、ジャマイカを訪れる計画を立てており、この旅行には、航空券、宿泊費、そしてネグリル、モンテゴベイ、オーチョリオス、キングストンなどでのアクティビティが含まれる予定。
東京五輪招致に際し、滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」は流行語となった。しかし、新型コロナ禍において、日本人のおもてなしは形骸化したと揶揄されたものの、いち個人として、どんな形でも「おもてなし」は可能であるという、顕著な例となった。
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文・SPREAD編集部