川崎ブレイブサンダースが5月13日のB1リーグチャンピオンシップ(CS)準々決勝で千葉ジェッツに敗れ、2017-18シーズンの戦いを終えた。
これは同時に68年間続いた東芝グループ傘下としての活動終了でもある。
2018-19シーズン以降のクラブ運営体制についてhttps://t.co/I6fAKZxGWK
— 川崎ブレイブサンダース (@brave_thunders) December 6, 2017
来シーズンへの新体制にファンからは、「今までの文化がなくなってしまうのではないか」「運営会社は変わるけど期待感を持って応援したい」などの声が寄せられている。
60年以上の歴史を持つ伝統クラブ
川崎ブレイブサンダースの設立は1950年までさかのぼる。ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)時代には3シーズンで2度の優勝を果たし、NBL最後の王者にも輝いた。
2016年から始まったBリーグでも1部(B1)リーグ中地区を圧倒的な強さで制し、チャンピオンシップ決勝で栃木ブレックスに敗れるも準優勝を果たした。
その一方で、Bリーグ参加を決めるまでには選手の契約面での難しさもあった。
Bリーグ以前は社業が義務づけられていた東芝の選手たち
日本リーグからJBL、そしてNBL時代までブレイブサンダースの選手は、親会社である東芝グループに社員採用されていた。
運動部を「あくまで社員の福利厚生の一環」と義務づける東芝では、所属選手に午前は社業に励み、午後から練習することを義務づけている。
同じく企業を経営母体に持つ実業団チームでも、選手は練習に専念していればいい契約だったチームもあったが、東芝では所属選手にもグループ社員であることを求めた。
選手からすると練習時間が減ることは、他チームと競う上でハンデにもなる。
一方で、こうした理念がチームを単なる広告塔ではなく、社員が頑張っているものとして意識付けさせられ、チームの運営費も『宣伝広告費』に留まらないものとして扱われてきた。
Bリーグ発足で迫られたプロ化
Bリーグ発足に向けて急ピッチで話が進んでいたときも、ブレイブサンダースの所属日本人選手は全員が社員であり、新たに入団する予定の選手も社員採用だった。
しかしB1リーグの規定では「チームにアマチュア枠は2名まで」となっている。これでは参入条件を満たせない。
Bリーグの規定ではB2リーグでも「プロ契約選手が5名以上」となっており、ブレイブサンダースはアマチュア枠の規定がないB3リーグの参入要件しか満たしていなかった。
プロアスリートという呼び名は華やかで聞こえはいいが、そこには常に『セカンドキャリアの問題』が付いて回る。そのことを考慮して実業団選手としての”入社”を選んだ選手もいただろう。
プロとしてバスケットボールに専念できる環境が欲しい選手と、企業に属しながらバスケットボールを続けたい選手。どちらが良いも悪いもなく個人の考えの違いだ。
しかし、選手間での意識の違いが摩擦を生み、国際バスケットボール連盟(FIBA)の制裁発動に至るまでNBLとbjリーグが統合できなかった原因のひとつでもある。
苦渋の決断を迫られた川崎ブレイブサンダースだが、選手たちとプロ契約を結んでB1リーグに参加することを決めた。
60年以上の伝統があり3度の天皇杯制覇、4度のトップリーグ優勝があるチームとして、最高峰の舞台を目指さないわけにはいかなかった。
プロ化したことで単に勝つだけではなく、集客を考える必要が生まれたことでチームは華やかに生まれ変わり、アリーナに観客を呼べるクラブになった。
その一方でプロ化したことにより、「あくまで社員の福利厚生」とする方便を失い、チームが経費削減の対象になったことも否めない。
Bリーグが2017年11月に発表したクラブ決算概要によれば、2016-17シーズンの川崎ブレイブサンダースは約9億5400万円の営業収入を計上しているが、そのうち6億4000万円がスポンサー収入となっている。
元所属選手からも懐かしむ声
2002年に入社し2008年まで東芝でプレーした伊藤俊亮選手は、「実業団チームと言うのは、間違いなくその競技の発展に寄与してきたし、社内において実務レベルで自分達を受け入れてくれた(向)(MC)(RDC)の従業員の皆さんに感謝します」と当時を振り返りながらツイッターを更新した。
奇しくも東芝最後の相手を務めたのは、伊藤選手が所属する千葉ジェッツだった。
「あの頃の試合だって熱かったし、応援や観戦に熱狂はあった。願わくば、今後ともバスケットボールを愛する会社で在らんことを」
実業団チームと言うのは、間違いなくその競技の発展に寄与してきたし、社内において実務レベルで自分達を受け入れてくれた(向)(MC)(RDC)の従業員の皆さんに感謝します。
あの頃の試合だって熱かったし、応援や観戦に熱狂はあった。
願わくば、今後ともバスケットボールを愛する会社で在らんことを。— Shunsuke Ito (@e_ton34) May 13, 2018
昨今の経済状況、経営再建の道を歩み出した事情からチームを手放す判断に迫られた東芝だが、今後はオフィシャルスポンサーとしてチームを支える。
ブレイブサンダースはプロ野球チームの運営経験があるDeNAに譲渡され、運営体制の移行は2018年7月1日の完了を予定している。
「黄金期と呼べるであろう一時代のメンバーとしてそこに居られたことを誇りに思います。あの頃のメンバーが全員引退するね、と昨晩当時のマネージャーと話してました。ありがとう、東芝」
今シーズン限りで引退する伊藤選手は往時を懐かしみ、「昔過ぎて載せられる画像が手元に無いので、皆さんで思い思いの画像を貼ってって下さいませ」とファンに呼びかけていた。
川崎のホームゲーム最終日に展示されていた写真です。
個人的にはこの前年からバスケ見始めたので、とても印象深い年代です。
伊藤さんの親御さんが自費で作製して配ったというTシャツもありましたね。 pic.twitter.com/2f5cKS7IoN— sayuri (@salyu0606) May 14, 2018







