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【ダンス】聖夜の覇者は“筋肉vs贅肉”で沸かせたレイザーズ 王道のショーアップで魅了したドリームズが2位

【ダンス】聖夜の覇者は“筋肉vs贅肉”で沸かせたレイザーズ 王道のショーアップで魅了したドリームズが2位
FULLCAST RAISERZ(C)D.LEAGUE 21-22

■作り込まれた筋肉と贅肉のコラボレーション

FULLCAST RAISERZ(C)D.LEAGUE 21-22

そして、ジャッジポイント70点の2位から、オーディエンスポイントの加点で見事逆転し、ラウンド3に続いて2連覇を果たしたのは、男気光る筋肉集団のFULLCAST REASERS

前回の優勝インタビューで、「ラウンド4は女性のSP(ゲスト)ダンサーを迎えます」と予告していたレイザーズ。男気満タンで踊ってきた彼らが、満を持して迎える女性ゲストダンサーとなれば、どんな色気の立ち上る美女ダンサーが登用されるのだろうと想像を逞しくしていたが、登場したのは、本人自ら「普段9割は顔で踊ってます♪」と楽しく語り、TikTokでも“バズる”人気のコミカル・ダンサー&振付師の“えりなっち”。

「水抜き」で筋肉をより絞り込んで作り上げたレイザーズの肉体に対し、えりなっちはこの日のためにふくよかなボディーをさらに「米増し」で作り込んだという。最初に舞台に彼女が登場した時は、筆者の脳に疑問符が浮かび、違和感を覚えてしまった組み合わせだったが、いつも通り強く逞しく踊る、筋肉集団レイザーズのクランプダンスに交じり、彼女が負けじと放つ「ふくよかな肉」の踊りは絶妙な図式を作り出した。

今ラウンドのテーマは、前シーズンでも優勝した「レイザーズ学園」のリバイバル。

男ばかりのレイザーズ学園に、「女性」のえりなっちが登場して繰り広げられる、ドタバタ劇ともいえる流れも、巧みに計算されたものに違いない。企みの勝利ともいえるこの作品。

作り込まれた“筋肉と贅肉”のコラボレーションが紡ぎ出すストーリーに、人々は可笑しみを感じながらも不思議に心動かされ、また驚嘆したのだろう。それがオーディエンスポイント20点という最高得点につながった。

全競技終了後のコメントで、ダンサージャッジの長谷川達也さんが、「恰好いいだけではトップになれない現実がある。」「ダンススキル、振り付け、音楽とストーリー。そのすべてのバランスが整い、その上でそれらが相乗効果をもたらすかどうか。非常に難しい闘い。」と語っていたが、まさにその通り。

ラウンドを経るごとに、表現も重層的になり、1チームわずか2分余りのダンスを11チーム分見終わる頃には、ブロードウェイのミュージカルをじっくり数時間見たような満腹感を覚えるほどに観る側の手ごたえも確実に増してきている。が、その分、闘い方もより高度に複雑になってゆくということだろう。

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Dリーグは今後、スポーツ・エンターテイメントの域を超えて、さらなる高みの「闘う総合芸術」へと向かってゆこうとしているのだろうか?

ともあれ、この華麗なる闘いの進化と変貌がますます勢いを増していることは確かだ。年明け、新年初試合となるラウンド5の開催は1月10日。年末年始を挟んでもペースは変わらず、ほぼ2週間隔で新ナンバーを仕上げなくてはいけないDリーガーに休む暇はあるのかと心配しつつ、次のラウンドに向けて走り続けるに違いない彼らのさらなる飛躍を祈り、新年の闘いの火蓋が切り落とされる時を待ちたい。

◆Dリーグラウンド3の覇者はFULLCAST RAISERZ 圧倒的存在感で“突き上げた”男気

◆THE GREAT HEART of “8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂

◆“ダンスの救世主”カリスマカンタローかく語りき 「絶対やり遂げてから死ぬ」覚悟

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著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー

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