■最高峰500cc日本人チャンプ誕生への期待
今年、125ccに出走し、有力視されるのは、デルビの宇井洋一、ホンダの上田昇、東雅雄。上田はグランプリ参戦から10年、94、97年をランキング2位で終えているだけに、そろそろチャンピオンの称号が欲しいところだ。250ccクラスでは、中野真矢と加藤大治郎がポイント・リーダー争いを展開している。
阿部典史は、94年の日本グランプリ500ccにスポット参戦すると、シュワンツ、ミック・ドゥーハンと熾烈なトップ争いを展開。あわや19歳にして初参戦初優勝かと思わせたが、惜しくも残り3周でリタイアした。95年から世界グランプリ500ccにフル参戦すると、96年の鈴鹿で、史上2番目の若さで初優勝を遂げる。500ccで日本人ライダーが優勝するのは、片山以来だった。その後、不調が続いたが、昨年のブラジル・グランプリで優勝し、復調。今シーズンの日本グランプリで、通算3勝目を挙げ、ランキングでもチャンピオンを狙える位置につけている。
岡田忠之は250ccクラスで94年に初優勝。にわかに、日本人同士によるチャンピオン争いが脚光を浴びた。岡田は96年から500ccに転向。97年にクラス初優勝を遂げると、シリーズを総合2位で終える。99年にも3勝をあげ、彼もまた、500ccでもっともチャンピオンに近い男とまで言われるようになった。
もちろん、日本人ライダーばかりがチャンピオンを狙うわけではない。500ccでは、「キング」ケニーの息子、ケニー・ロバーツ・ジュニアは、父の名に恥じぬよう「今季こそチャンピオンを」と着実にポイントを重ね、ランキングのトップに座っている。スペインのカルロス・チェカも安定度抜群だ。250ccでは、オリビエ・ジャック(仏)、アンソニー・ウエスト(豪)がダークホースとして、挽回のチャンスを狙っている。125ccでも、ミルコ・ジャンサンティ(伊)、ロベルト・ロカテッリ(伊)、エミリオ・アルサモラ(西)が優勝争いを繰り広げている。
125cc、250cc、廃止されて久しい350cc、そのどのクラスでも日本人チャンピオンを輩出しているだけに、そろそろ最上位クラスの500ccでも日本出身王者の戴冠を夢見たいところ。だが、そんな夢も近々、「正夢」となるに違いない……そんな日本人ライダー隆盛の世紀末をとくと目撃したいもの。
CNN.com 2000年6月8日掲載分に加筆・転載
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著者プロフィール
たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー
『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。
MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。
推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。
リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。










