【高校野球】「島から甲子園」を実現 大島がセンバツ出場決定、村田兆治さんも躍進期待

日本高野連は28日、第94回選抜高校野球大会(センバツ)に出場する32校を発表した。組み合わせ抽選会は3月4日、大会は3月18日から30日までの13日間、阪神甲子園球場で開催される。

そうそうたる実力校がその名を連ねたが、昨年10月に離島勢初の県大会優勝、11月には九州大会準優勝で地元を沸かせた大島(鹿児島)も出場決定。2014年に21世紀枠で出場して以来8年ぶり、一般枠では初出場となる。

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■「島のみんなで甲子園」が現実に

大島は鹿児島本土と沖縄本島のほぼ中間、フェリーで片道12時間前後の離島・奄美大島に位置する。離島は過疎化や少子化などの影響から試合を組むこと自体が難しく、遠征費用の負担も大きいため環境面で不利とされるが、昨年は飛躍の年となった。

躍進の立役者は、最速146キロを誇る2年生左腕・大野稼頭央投手だ。今年のドラフト候補とも目される大野は、1年秋からエース番号を背負い評価を高めると、昨年秋の県大会ではひとりで6試合913球を投げ抜き優勝に貢献。翌月の九州大会でも強豪・興南(沖縄)相手に完封勝利を収め、チームの快進撃を支えた。

頭角を表し始めた中学時代、大野のもとには複数の強豪高校から誘いが届いたという。離島の有力選手は本土の高校に進学するケースも多いが、大野は現在もバッテリーを組む西田心太朗捕手らチームメイトの説得もあり、「島から甲子園」を目指すと決意。大島で結果を積み上げ、ついに大舞台への切符を掴んだ。

■エース大野は“離島甲子園”2人目のプロ入りなるか

大野は中学3年のときに「第12回 離島甲子園(長崎県・対馬大会)」に出場し、地元の中学2校で編成された「龍郷選抜チーム」として島外選手らと対戦した経験を持つ。

「離島甲子園」は、“マサカリ投法”でも知られる村田兆治さん(元ロッテ)が提唱した大会で、島外との交流機会の少ない全国の離島の中学生球児を対象に、2008年から交流の場を提供している。離島というハンデを背負う球児たちに「夢・希望・勇気」、そして挑戦する心を伝えることで、野球を通した青少年の育成と離島の地域活性化を目的とする取り組みだ。昨年は新潟県・佐渡島出身の菊地大稀投手が巨人からドラフト6位指名を受け、「離島甲子園」から初のプロ野球選手輩出となった。

村田さんは昨年12月、10年以上に渡る「離島甲子園」の継続的な取り組みと実績を評価され、アスリートの社会貢献活動を表彰する「HEROs AWARD 2021」で男性部門を受賞。受賞スピーチでは、「『社会貢献をして、人の役に立って恩返しをしていきたい』そういうつもりで33年になります。一番嬉しいのは、次のセンバツと菊地さん(のプロ入り)。奄美大島が、島人(しまんちゅ)の子が春のセンバツに出るから期待しております」と、大島への期待を語っていた。

村田さんや島民、離島球児らの希望を胸に、大島が今年のセンバツを熱くする。

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文・工藤愛梨(SPREAD編集部)


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