■満員となった東京ガーデンシアター
そして、今回優勝は逃したもののファイナルでエイトロックスと戦ったロイヤルブラッツの輝きにも触れておきたい。彼らの、観る者を圧倒的にハッピーな気分にさせて「一緒に踊りたい」と思わせる持ち味は他チームの追随を許さず、そして、そのような親しみやすさの中にも実は物凄いスキルが詰まっている様は、ダンスのさらなる可能性を感じさせてくれる、尊く得難いチームである。
また、セミファイナルでロイヤルブラッツと戦ったセガサミー・ルクスも、濃厚な色気とスタイリッシュさで、彼らでしか出せないグラマラスな世界を展開し観客を魅了した。同様にセミファイナルでエイトロックスと戦ったフルキャスト・レイザーズも、クランプというジャンルでどこまでゆけるのかという、彼らだけのスタイルを極め挑戦しながらフルスロットルのダンスを展開。荒ぶる男たちの重みと迫力はやはり満席の会場に深く伝播し、空間を大いに震わせていたことも伝えておきたい。
さらに、毎回、新鮮味とセンスの良さが際立つディップ・バトルズも、ダンサブルで愉しさが弾けるセプテーニ・ラプチャーズも、チャンピオンシップ進出となった6チームの演技はどれも本当に素晴らしく、どのチームかに限らず、トーナメントによって各チームが敗退していく場面では、彼らが文字通り骨身を削ったであろう努力や願いに思いを馳せ、胸を痛めることとなったファンも多かったことだろう
チャンピオンシップの闘い後の挨拶で、Dリーグの神田勘太郎COOも言及していたように、ダンスで東京ガーデンシアターのような大会場が完売御礼の満席となり、ダンサー以外の一般的な人々の話題にまで上るというシーンは今までなかったこと。「ダンスを日常に」をスローガンに始まったDリーグは、間違いなくここからさらに熱量をあげ、改善を重ねながら、大きな波となり日本のスポーツエンターテイメント界を席捲してゆくに違いない。
開幕からわずか2シーズンの間にも様々なドラマが生まれ、高まりを見せた熱量がダンスファンの枠を超え、これまでダンスに触れてこなかった人々にも深く伝播してゆくという未来までがくっきりと見えた気のする今季のDリーグ。チャンピオンシップの熱は未だ冷めやらぬままだが、闘いはここで一度幕を引き、数カ月の間を置いて10月に新シーズンがスタートする。
休息の時を経て、さらに研ぎ澄まされ磨き込まれるであろう全Dリーガーの成長と、今シーズン、過酷な闘いのなかで故障してしまった数名のDリーガーの回復も祈りながら、間違いなく進化を遂げるであろう2022-23サードシーズンの開幕の時を待ちたい。
◆2代目王者はコーセーエイトロックス、ブレイキンで賞金3000万円獲得 感涙の嵐のうちに幕
◆THE GREAT HEART of“8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂
◆開幕初年を終えたプロダンス、「ギラギラしながらキラキラと輝く」セカンドシーズンへ
著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。










