【フィギュア】羽生結弦「僕は、僕の追い求める理想のフィギュアスケートを」 プロ転向へ「決意表明」一問一答

 

【フィギュア】羽生結弦「僕は、僕の追い求める理想のフィギュアスケートを」 プロ転向へ「決意表明」一問一答
羽生結弦(C)ロイター

フィギュアスケート男子羽生結弦は19日、都内で記者会見を行い、プロのアスリートとしてスケートを続ける意向を発表した。

羽生は会見で「他のスケーターと比べ続けられることはなくなりました。ただ、これからは4回転半ジャンプにもより一層取り組んで、皆さんの前で、成功させることを強く考えながらこれからも頑張っていきます」と決意を述べた。

◆羽生結弦、プロ転向へ「決意表明」冒頭コメント全文 「僕は本当に幸せです」

■「より上手くなりたい、より強くなりたい」

冒頭のコメント後、報道陣との一問一答は以下の通り。

-決断に至った時期は?最大の決め手は?

羽生「競技者を終えてプロに行きたいと思うことは多々ありました。平昌五輪が終わった後も。次のステージに向かいたいというネガティブではなく、むしろここからが『スタート』。これからどうやって自分が魅せていくのか、どれだけ頑張っていけるかが大事だと思っている。そういう意味では『新たなスタートを切ったな』と今は思っています。試合が終わるごとに考えていたが、最終的な決断に至ったのは、北京五輪が終わってからです。自分の足首を治すための期間に色々考えたときに、いつまでもこのステージに居る必要はないかな、と思って。『より上手くなりたい、より強くなりたい』と思って決断しました。

先日「Fantasy on Ice」を滑らせていただいたとき、アマチュアスケーターとしては最後でしたが、そのときにも改めて『より高いステージに立ちたいな、努力したことがちゃんと皆さんに伝わるステージに行きたいな』と思いました」

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-途中で満足せずに、自身を駆り立てたものは?

羽生「それはアスリートだからなのかなと強く思います。現状に満足したことは基本的に無いですし、とにかく上手くなりたいなと思っていました。常に上手くなることが楽しみというのがあったから、今スケートを続けていられる。自分の中では『スケート=生きてる』みたいな感じがあって。記録を打ち立てたとか、最高得点を出したとか、難しいジャンプを跳べたとかそういう意味ではなくて、単純に、普通に生きてる中でもっと難しいことをやりたいとか、小さい頃だったらもっと褒められたいとか、そういった気持だけで頑張ってこれたと思います」

-「4回転」時代を戦ってきての感想と、今後への期待

羽生「僕が好きなフィギュアスケートは、僕が憧れていた時代のスケートで。ジャンプが飛べたから優勝できるものでもないですし。もっともっと心から何かを感じられるような演技、この人の演技を見たいなって思ってもらえるような演技をこれからも続けていきたいなと思っています。これから僕自身そういった演技をもっとしていきたいなと思っています。これからも毎年のようにルールが変わったり、色んなことがあるかと思いますが、『僕は僕の追い求める理想のフィギュアスケート』を、さらに追い求めたいなと思っています」

-これまでの競技者としての自身の努力をどのように振り返りますか?そして、それがプロスケーターとしてどう繋がっていくと思いますか?

羽生「平昌五輪を連覇した時点でプロに転向していたら、今の努力の仕方だったりとか、自分がどうやったら上手くなれるのか、そういったことを感じられないまま、ほんとうの意味で終わってしまっていたかもしれないなと思います。フィギュアスケートがそこからは上手くならないし停滞すると言われる年齢が大体23歳、24歳が定例でした。だけど、僕自身は23歳で平昌五輪を終えて、今の今までジャンプの技術も含めてかなり成長できたなと思っているんですね。それは努力の仕方やどういう工夫をすればいいのかが分かったからこそ。そういう意味で『今が一番上手い』と思っています。そういう経験があったからこそ、これからも例え30歳、40歳になろうとも、『この年齢だからできない』ということがなくなるんじゃないかなと、ワクワクしています。これ以上無いくらい、頑張ったと言える努力をしてこれてよかった。これからも努力の仕方や頑張り方を試行錯誤して上手くなっていければと思います」

-今だから明かせる重荷になったことはありますか?

羽生「僕にとって『羽生結弦』という存在は常に重荷です。すごい重たいです。『羽生結弦』として会見でお話させていただくときも、ここに登壇させていただくときも、ものすごく緊張していました。自分自身も完璧でいたいと強く願いますし、これからも完璧でもっともっと良い自分で『羽生結弦』でいたいと思ってしまうので、まだこれからも重いなぁと、色んなプレッシャーを感じながら過ごすことにはなってしまうと思うのですが、北京五輪のときのように心が崩れてしまって『報われない努力ってあるんだ』『幸せとは本当に心の底からは言えない』といった発言をしてしまったが、そういう自分がいることも知っていただけて、それでも応援していただけることが嬉しいなと思います。いつも『羽生結弦』という存在は重たいなと思っていますけども、それでも『羽生結弦』に恥じないように生きてきたつもりですし、これからも『羽生結弦』として生きていきたい。ただ、自分の心を蔑ろにすることはしたくないな、と。これまで、心が空っぽになったり、訳もなく涙が流れてきたり、ご飯が喉を通らなかったり、そういうことも多々ありました。誰を信じたらいいのか分からない時期もありました。でもこれは僕だけに限ったことではなく、皆さんが大なり小なり辛いんだなと思っています。だからこそ、僕自身が生活していく中で自分自身のことも大切にしていかなきゃいけないなと思っています。皆さんも、自分(羽生)を応援することが自分の心を大切にするきっかけのひとつであったらいいなと言う風に思います」

-今後も挑戦し続けるという「4回転半」への決意をお願いします

羽生「フィギュアスケートは苦しいところを見せてはいけないと、自分の中では思っていて。演技しているときに、めちゃくちゃ頑張っているんですけど、本当は(笑)演技が終わった後のキス・アンド・クライという点数が発表される場所があって、そこで倒れ込むわけにはいかないんですけど、でも僕らは倒れ込むくらい、全力で毎回滑っています。そういった中でも「アイスショー」は華やかなエンターテイメントというイメージがあると思うんですけど、僕はもっともっと『アスリートらしくいたいな』って。もっともっと難しいことに挑戦したり、挑戦し続ける姿だったりとか、戦い続ける姿だったりとかを皆さんに見ていただきたい、期待していただきたいなと思って(今回の会見で)発言しました。北京五輪では痛み止めの注射を打って何も感じなかったからこそ、『何も怖くなかった』。本当に全力で4回転半に挑むことができたんですけど、今現在右足首の回復を待ったりですとか、あのときは本当に4回転半のためだけに努力していたといっても過言ではないので、そのときに比べたら最近はアイスショーもあり、時間はそこまで割けなかったのですが、今現在も4回転半の練習を常にやっています。実際にあの頃得られた知見があったからこそ、今でも手応えがありますし、アイスショーの練習でも新しい視点など毎日のように発見があって。これからさらに上手くなっていけるんだなという自分への期待とワクワク感があります。北京五輪のときは伸びしろないのかな、と思っていたんですけど、今は伸びしろをいっぱい感じています。期待していてください」

-ファンはどんな存在ですか?ファンに一言お願いします。

羽生「応援してくださる方がいるから、僕は今ここで話していて、これまでスケートができて、これからもさらにスケートを突き詰めて行こうって思えています。正直、自分が特別な存在だとかはまったく思っていなくて、人一倍皆さんに応援していただけるからこそ、力がある。応援の力があるから僕は上手くなっているだけなんだなと、すごく思っています。皆さんがたくさん期待してくださって、期待に応えたときに、より大きな期待をしてくださって‥‥そんな循環が本当に大切だったし、そんな循環をさらに続けて行きたいです。期待に応えられるような演技を続けていきたいなと思っているので、どうかこれからも見てやってください。ここからさらに上手くなるし、さらに見る価値があるなって思ってもらえる演技をするために努力していくので、これからもどうか応援してやってください。よろしくお願いします」

-プロに転向するにあたり、大切にしたいもの上位3つ

羽生「3つかぁ‥‥えー、難しいな(笑)そうですね、『成功させられる努力をまずすること』。それが自分の一番の優先事項ですかね。4回転半も成功させたいし、自分自身が目標としている『演技たち』であったり。色んな演技をしていくにあたって、絶対にあの頃より上手いぞって、過去の自分より上手くなったなって言ってもらえるような理想の演技をしていきたい、それが自分にとっての第一優先です。あとは『人間として美しく在りたい』と思っています。明日の自分が今の自分を見たとして、ちゃんと『昨日の自分は頑張ったな』って思えるような自分を常に大切にしていきたい。一生胸を張って生きれる生き方をしていきたいと思います。そして3つ目は『勉強を怠らない、常に勉強し続ける』。これからもずっとずっと色んなことを勉強していきたい。最近は、氷上で上手く使えるようにダンスの練習をしていたりだとか‥‥力学や運動学、人間工学、パフォーマンスの評価方法も含めて、今後もどんどん勉強して、どんどん深い人間になっていきたいと思う。常に勉強し続けて、アップデートし続けられる人間でありたいなと思います」

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文・SPREAD編集部