【スーパーGT】第7戦 デビューイヤーで悲願の王者奪還を狙うニッサンZにピンチ サクセスウェイト足かせに

今季初優勝を飾った17号車Astemo NSX-GTにも戴冠の可能性あり (C) GTA

スーパーGT2022年シリーズも、いよいよ残すところあと1戦。九州のオートポリスで2日、セミファイナルラウンドの第7戦が行われた。

この第7戦の興味深い点は、サクセスウェイトがGT500クラスの場合通常1ポイントあたり2キロのところ、1キロに半減されること。ノーハンデの場合はもちろん実力がある方が有利、一方第5戦や第6戦はハンデが少ない方が有利。それが程良いバランスになっている感じがするからだ。

※スーパーGTではドライバーが獲得したポイントに応じ、車両にウェイトを積載しなければならない。GT500クラスのサクセスウェイトは第1戦から第6戦までは「獲得したポイント×2キロ」、第7戦は「獲得したポイント×1キロ」、そして第8戦(最終戦)ではサクセスウェイトなしとなる。このレギュレーションにより、ランキング上位陣が必ずしも優位とならず、より見どころの多いレースを演出する。

◆第6戦 大クラッシュの不運を雨の恵みで取り戻した3号車ニスモZ・千代勝正/高星明誠がランキングトップへ

■後半一気に順位を上げたニッサン勢に足かせ

ランキング上位が優勝してタイトルに王手をかけることも考えられれば、ランキング中位が優勝して新たにタイトル争いに加わることも十分考えられる。

第6戦終了時点で、ランキングトップは54ポイントの3号車ニスモZ千代勝正高星明誠)、2位が50.5ポイントの12号車インパルZ平峰一貴ベルトラン・バゲット)、そして少し離れて37ポイントの23号車ニスモZ松田次生ロニー・クインタレッリ)が3位と、トップ3をニッサン勢が占めていた。

「Z」は今季ニッサンが投入したニューマシンで、デビューから戦いを経てどんどん熟成されていった印象がある。実際にこの3台は、後半戦で一気にランキングを上げた。つまりハンデ半減の今回も、十分上位が期待できるということだ。

ところがランキングトップの2台はハンデが半減になっても50キロを超えているため、規定により燃料リストリクターが1段階制限されたまま。これがオートポリスではやっかいだ。特にZはストレートの速さが武器であり、そこに燃リス制限は大きく影響するためレースを戦いにくい。

予選は12号車が9位、3号車が13位。この時点では、ランキングトップ及び2位が第7戦で他のライバルに逆転されてしまう可能性も十分あるように思えた。そして、第6戦までトップと20ポイント差の5位つけていた17号車レアルレーシングNSX-GT(塚越広大/松下信治)が優勝し20ポイントを獲得した。

■「デビューイヤーにタイトル獲得」は実現するか

それでも17号車がランキングトップに届かなかったことが、今回のひとつの見どころだ。レースはトップ10順位がほぼ変動しない静かな序盤だったが、その中で順位をどんどん上げていったマシンが2台。それが12号車と3号車だったのだ。いずれの走りを見ていてもいかにも戦いにくそうで、オーバーテイクを試みるも何度も失敗に終わっていた。それでも終始果敢に攻め続け、最終的に12号車が6位、3号車が7位まで順位を上げてフィニッシュ。ランキングトップは依然3号車で58ポイント、2位も12号車のままで55.5ポイント、17号車は54ポイントと2台に急接近したものの3位にとどまった。

3号車と12号車のタイトル獲得に向けたコメントで共通していたのが「Zのデビューイヤーをタイトル獲得で飾りたい」。2015年シーズン以来ニッサン勢はタイトルを獲得しておらず、つまり新型Zはタイトル奪回の使命を持つマシン。

そのチャンスをつかんだ2台の、何としてもタイトルを掴みたいという思いは並々ならぬものがある――――今回の戦いぶりを観ていて、そう感じた。今回、2台ともにそのチャンスを広げた格好だ。だが勝負の行方は最終戦が終わるまで分からない。2台を追うランキング3位、4位はいずれもホンダ勢で、もてぎはホンダのホームコース。ここでZがNSXよりも強いかどうかはデータがないだけになんとも言えない。それがなおさら興味を膨らませる。

最終戦を迎えるにあたり王者獲得の可能性が残るのは、ドライバーランキング1位の3号車、2位12号車、17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)、100号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)、37号者KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)、14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)までの6台となっている。

◆第5戦 夏の鈴鹿の伝統、インパルZが最後尾からの大逆転で今季初優勝

◆第4戦 今あらためて想いを馳せたGT300クラスの魅力、#61 SUBARU・BRZ今季初優勝

◆【スポーツビジネスを読む】「人生の縮図」レース沼にはまった石渡美奈Hoppy team TSUCHIYA共同オーナー 前編 かつカレーを平らげながら待った初優勝

著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。


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