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【ラ・リーガ】覚醒の様相を見せる21歳久保建英 “日本の至宝”が辿り着いたレアル・ソシエダという居場所

 

【ラ・リーガ】覚醒の様相を見せる21歳久保建英 “日本の至宝”が辿り着いたレアル・ソシエダという居場所
レアル・ソシエダの久保建英 (C)Getty Images

今季からレアル・ソシエダに加入した日本代表MF久保建英は、ここまでリーグ戦で全7試合に出場し2ゴール2アシスト、さらにヨーロッパ・リーグ(EL)の舞台にも挑戦するなど新天地でレギュラーとして活躍を続けている。バルセロナの下部組織で育ち、18歳を迎えた2019年にFC東京からスペインに再び渡って以来、紆余曲折を経てきた“日本の至宝”が、ラ・リーガ5年目にしてついに本格覚醒の様相を見せている。

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■よき理解者である指揮官と2人の同僚

今季から完全移籍でレアル・ソシエダに加わった久保は、プレシーズンでイマノル・アルグアシル監督の信頼をつかむと、リーグ開幕戦のカディス戦に先発出場。決勝点となる今季初ゴールで1-0の勝利に貢献した。2019-20、2020-21シーズンそれぞれリーグ戦で1ゴールに終わるなど近年の久保の課題とされてきた得点力でアピールしたこの開幕戦でのパフォーマンスは、その後のレギュラー定着への大きな足掛かりとなったといえる。

久保の今季の活躍を語るうえで、持ち味を引き出す指揮官と同僚の存在も大きい。アルグアシル監督は久保をこれまでマジョルカや日本代表でもプレーしてきた右サイドではなく、2トップの一角として起用。ライン間でボールを受けるプレーを得意とし、状況に応じて中央、サイドとプレーエリアを変え、周りとの連携で局面を打開する久保の特徴をレアル・ソシエダのサッカーにフィットさせた。また、マジョルカ時代のようにサイドで守備に奔走され、攻撃では孤立するといった場面もなくなり、より自分の仕事に集中できる環境が整っているのも大きい。

そんな久保のピッチ上でのよき理解者となっているのが、元スペイン代表MFダビド・シルバとノルウェー代表FWアレクサンダー・セルロートの2人である。トップ下を務めるシルバは36歳を迎えた大ベテランだが、持ち味の試合を組み立てる戦術眼と左足の精度は一級品で、久保は“お手本”と呼べるこのレフティーと高い共有力を見せている。また194cmと長身で前線の基準点となれるセルロートは、小柄で小回りの利く久保との補完性がよく、第7節のジローナ戦では互いのゴールをアシストしあうなど、シルバも含めた前線の3人は試合を追うごとにそれぞれの理解を深めている。

■“古巣”相手にインパクト残しW杯へアピールなるか

スペイン5年目を迎え充実の時を過ごす久保にとって、11月20日から開幕するカタール・ワールドカップでの活躍も期待がかかる。

レアル・ソシエダでの好調ぶりを買われ、9月の欧州遠征ではアメリカ戦に左サイドで先発出場。前線からの連動したプレスや鎌田大地(フランクフルト)らと組んだユニットは機能性を示し、本大会でのレギュラー獲得へ向けてもアピールに成功。ELのマンチェスター・ユナイテッド戦で示したような、左サイドでの攻守に渡るタスクを森保ジャパンにも還元してみせた。欧州リーグを途中で中断し、事前準備の時間少なく本戦に向かっていく今回のカタールW杯において、クラブでの安定したパフォーマンスの維持がカギを握っていることは間違いない。

そんな中でレアル・ソシエダは、9日(日本時間10日)にラ・リーガ第8節でビジャレアルと対戦する。久保が2020-21年シーズンにレンタルで加入し、半年間プレーしたクラブである。当時の久保は激しいポジション争いや不慣れだった左サイド中心の起用に苦戦を強いられ、インパクトを残せずに冬の移籍市場でヘタフェに新天地を求めた。2シーズンが経ち、今は2トップとしてだけでなく左サイドでも成長した姿を見せる久保が、“古巣”相手に自身の存在価値を示せるかは興味深い。指揮官のウナイ・エメリや当時のチームメートも多くプレーする中で、レアル・ソシエダで生まれ変わった姿を見せられるか。

スペインでの4年の時を経て、久保は周囲の理解も得ながらレアル・ソシエダで自身のポテンシャルを表現するための居場所を見つけたといえる。あとは、ラ・リーガやカップ戦での1試合1試合でゴールやアシストといった目に見える結果で自身の価値を示し続けること。その先に待ち構えるカタールW杯で選手としてさらに飛躍するために、21歳の“日本の至宝”がピッチで見せる輝きからは引き続き目が離せない。

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文●井本佳孝(SPREAD編集部)