■テクノロジーを使ったゴルフの新しい見せ方にも挑戦
テレビ局が生中継ではなく、ディレーで放送するというのが、ゴルフ視聴の昭和の常識だった。しかしネット時代の到来により、いくら中継をディレーにしてもネットニュースで先んじて結果もスコアも情報収集されてしまう。ディレー中継を中心に据える発想はもはやない。局側もあの手この手で対応中だ。NHKはトップトレーサーなどのトラッキングシステムを導入、ゴルフの見せ方にさらなるテコ入れを図り、KBCは360度カメラを設置し絵作りに工夫を凝らしている。本大会もドローン撮影を駆使するなど、新たな見せ方の追求はやまない。アメリカのツアーのようにトラックマンなど最新テクノロジーを活用した見せ方ももちろん模索中だ。「男子ゴルフのすごさがわかるので、数値、データなどはもっと積極的に開示すべきだと思う」とその意図を明かす。

自然豊かなTHE RAYSUMにも全英オープンのような最新スコアボードがあれば… 撮影:SPREAD編集部
青木会長自身、全英オープンには毎年足を運んでいるため、NTTデータが現地で導入しているインタラクティブなスコアボードは、ぜひJGTOでも導入したいとは考えている。全英オープンのアプリでは、全ホールの全ショットが再生可能なアプリまで配布。コースだけではなく、練習場でどの選手が何ヤードのショットを放ったかまでもが、即座に把握でき、再生可能だという。「さすがに導入には予算が必要でしょうから、そうしたシステム専門のスポンサーに協力してもらえると助かる」と、こればかりは自前で実現しようがない点は承知の上だ。会長自身、IT企業に足を運んで頭を下げるも、まだ実現できないもどかしさを痛感している。
今年10月からJリーグ、Bリーグは1試合ごとの予想スポーツくじ「WINNER」に参入。この売上は、クラブや表舞台に立たない裏方をサポートする意図もある。「キャディーさんを支援するとか、裏方さんにも還元されるなら、検討しないと」と語る。JGTOは、いくつかの大会ではファンタシー・スポーツも実施済み。NFTなど最新テクノロジーについても、積極的に取り込んでいく方針だ。
青木会長は最後に、今回の初開催を振り返り「For The Players By The Playersというスポーツイベントのプラットフォームを通じて、持続可能な社会の実現につながる前向きな変化を生み出したいんだよ。Players とは、プロゴルファー、すべてのゴルファー、参加いただくすべてのみなさん。この大会を今後、次世代の選手が生まれ、世界で活躍する日本の選手が育つ機会、そして社会の進化の機会にしていく。すべての人がいきいきと暮らせる社会の実現につなげていくことを目指したいね」と締めくくった。
新型コロナは、ゴルフ界に明確な危機をもたらしたことに違いはない。しかし、危機の到来こそが飛躍へのチャンスである点、JGTOは正面から受け止め、日本男子ゴルフの将来を真摯に模索している。
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著者プロフィール
松永裕司●Stats Perform Vice President
NTTドコモ ビジネス戦略担当部長/ 電通スポーツ 企画開発部長/ 東京マラソン事務局広報ディレクター/ Microsoftと毎日新聞の協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」プロデューサー/ CNN Chief Directorなどを歴任。出版社、ラジオ、テレビ、新聞、デジタルメディア、広告代理店、通信会社での勤務経験を持つ。1990年代をニューヨークで2000年代初頭をアトランタで過ごし帰国。Forbes Official Columnist。








