【WRC】12年ぶり開催のラリージャパン、車両炎上、コース進入…大波乱に見るその義務と課題

 

【WRC】12年ぶり開催のラリージャパン、車両炎上、コース進入…大波乱に見るその義務と課題
スーパーSS遅延によりスタート前に数珠つながりとなったマシンと思い思いに談笑するドライバーたち 撮影:SPREAD

■ラリーコースへの進入相次ぐ運営も問題山積

この報に触れた毎日新聞ラリージャパン事務局の元メンバーから、メッセージを受け取った。「これが帯広で起きていたら自然保護団体からどんなクレームが届き、大会が危機に陥ったことか」と恐れおののいていた。果たして今回はそのようなクレームはなかったのだろうか。

もっともこの事故によりハイブリットカーの消化の難しさも露呈した。電動のため消火剤以外は使用できず、放水などしようものなら大変な惨事に発展する。これは市販車も同様ゆえ、自動車業界全体としてどう安全を確保するのか、大きな課題だろう。SS2はこれにてやはりキャンセルに。

さらに重大な事態がSS4で発生。なんとラリーコースに一般車が進入。コースを逆走する形となり、これでこのステージもキャンセルとなった。これにはFIAも事態を重くみて、ラリー運営側に警告を通達。しかしこれまた翌12日デイ3では、岡崎市街地で行われたスーパーSSの会場に自転車乗った男性が進入。SNSなどを賑わせた。SS13がキャンセルされた理由として、河川への転落に備え、潜水夫の手配が遅れたとする報道もあるが、この事件が無関係とは到底思われない。そもそもコース脇に一般人が居座った状況でラリーが決行されるとは想像できない。

◆【実際の映像】スーパーSSへの自転車の侵入を観客が動画撮影

自転車の男性は一旦、マーシャルに帯同されコースの反対側へ出たものの、その姿を見た別の係員が男性の行く手を制止、声がけをしてしまう。すると男性はまたもコースの方向へ引き返す。その後、警備員、警察官が到着し、事態は収拾へと向かうが、この収拾とレース再開の時間は完全に重なる。運営側の過失があったのは事実だ。

メディアとしてSSの撮影に出れば「その関係者用駐車場はメディアが使用不可」だの、撮影場所を探せば「ここれはVIP専用だ」とVIPのアクレディをぶら下げた若い衆に、上から目線で追い払われ、そんな些末なアクレディ・コントロールの前に、しっかり安全性を保証するほうが優先であろう。

岡崎市街スーパーSSで巻き起こった土埃は間近でも、こんな状況 撮影:SPREAD編集部

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また、「スーパーSS」は本来2台ずつスタートする形式が一般的で、帯広では初回からのこの方式を取っており、これには詰めかけた観客も大興奮だった。岡崎でのステージを視聴していたかつてのラリージャパン関係者から「帯広が勝った」とやっかみなのか、勝ち誇ったメッセージが届いた。1台ずつの走行も物足りなかったが、マシンが巻き上げる土埃でコースは覆い尽くされてしまい、対岸の観客席からはホコリしか見えない状況だった。そもそもスーパーSSに到着したWRCカー・ドライバーも、ゼロカーが巻き起こしたこの土埃を遠くから眺め「クレイジー!」と口々にしていた。このステージももう少々洗練が必要だろう。

◆【実際の映像】観客席から眺めた土埃で見えないスーパーSSコース

もちろん、12年ぶりの日本開催。ほぼ初開催と同様のため、難しさは理解できる。しかし、逆にコロナで延期となり2年以上の準備期間が与えられていたタイムフレームを考えると、あまりにもおそまつな点は多かった。帯広でもすべてが順調だったわけではなかったが、これほどではなかった。

日本にラリー文化を、モータースポーツ文化を根付かせる目的があるのなら、こうした国際格式のイベントは10年、20年の“歴史”に仕立てていかなければならない。その重要な役割を担うのがラリージャパンであり、その義務でもある。来年までには、こうした重点課題をしっかり解決し、歴史を育んでもらいたいと切に願う。

あ、もうひとつ。帯広と異なりキャンペーンガールがほとんどいないのは、時代の流れなのか、美女評論家としては、さみしい限り。

◆ラリージャパン2022特集  開催概要・日程・放送予定・結果一覧

著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。


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