【男子ゴルフ】毎週優勝争いに名を連ねる金谷拓実、蟬川泰果、中島啓太 ツアーを賑わす“スター候補”たちの強さに迫る

 

【男子ゴルフ】毎週優勝争いに名を連ねる金谷拓実、蟬川泰果、中島啓太 ツアーを賑わす“スター候補”たちの強さに迫る
金谷拓実(撮影:SPREAD編集部)

国内メジャー初戦「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」を終え、男子ゴルフは25歳以下の若手選手たちの活躍が目立つ。なかでも毎試合必ず優勝争いに加わる3選手がいる。

それが、金谷拓実蟬川泰果中島啓太だ。

3選手はともに今季賞金ランキングトップ5に入り、平均飛距離など9項目のスタッツの順位を合計した「メルセデス・ベンツトータルポイント」で、トップ3を独占。金谷はデビューから3年目、蟬川は昨年の11月からプロデビュー、中島もプロ転向は昨年のパナソニックオープンと、まだプロとしての経験は少ない。しかし非常に高いスキルと、アグレッシブなゴルフで男子ツアーを牽引している。

金谷、蟬川、中島はなぜここまで安定した成績を残しているのか…スタッツをもとに、各選手の強さに迫る。

◆金谷拓実、蟬川泰果、中島啓太の世界ランクはいったい何位……最新世界ランキング

■守りの金谷、攻めの蟬川、安定感の中島

金谷、蟬川、中島スタッツ比較

金谷は前週の日本ゴルフツアー選手権で、初日から首位を譲らない完璧なゴルフを披露し、自身初のメジャータイトルを手にした。この優勝で賞金3000万円を獲得し、賞金ランキングは現在1位。

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金谷のスタッツを見ると、ドライビングディスタンスでは290.56ヤード(32位)。蟬川、中島と比較するとパワーではやや劣ってしまう。しかし、グリーン周りやパッティング精度は高く、パーオン時の平均パット数は1.7189(5位)、リカバリー率は77.477%(1位)を記録している。

小ワザの上手さが目立つが、金谷の強さはそれだけではない。前週の日本ゴルフツアー選手権最終日にみせた、17番パー4のセカンドショット。前足下がりの深いラフから、絶対にミスが許されない状況の中、ピン横50cmにつけるスーパーショットを放ち、優勝を決定づけた。このショットが物語っているように、苦しい場面でも積極的に攻められる強靭なメンタルが金谷のゴルフを支えている。

今後さらに経験を積めば、国内だけでなく海外でも活躍する選手になっていくだろう。

蟬川は金谷とは対照的に、超攻撃的なゴルフが持ち味。スタッツを見ると、バーディ率が1ラウンドあたり4.786(2位)を記録するなど、勢いに乗り出したら止まらない。またバウンスバック率も40.741%(1位)となっており、ボギー以上を叩いたとしてもすぐに取り返すことができる。

蝉川がプロ初優勝を飾った関西オープンでは、3日目に9バーディ、2ボギーの猛チャージで首位に立つと、最終日はそのまま逃げ切り。またアマチュアでツアー初優勝を飾った昨年のパナソニックオープンでは、3日目に1イーグル、9バーディ、ノーボギーの11アンダーでホールアウトするなど、「タイガーチャージ」ならぬ「タイガチャージ」を披露した。

バーディを取る力は、金谷、中島と比較すると非常に優れているが、パー3やグリーン周りはやや劣る面もある。アグレッシブなゴルフに、安定性が加われば国内で敵なしとなるだろう。

最後に中島は、パーキープ率90.972%(1位)、パーオン率73.843%(1位)というスタッツから分かる通り、安定したショット力が持ち味の選手。また自分のリズムを崩さない冷静なプレースタイルは、すでにベテラン選手の貫禄すらある。

前週の日本ゴルフツアー選手権でも、初日からボギーの少ないゴルフで3位タイ。その後も安定したゴルフを続け、じわりじわりとスコアを伸ばすことに成功。最終日には一時トップタイにまで迫ったが、最後は16番パー3で痛恨のボギーを叩き、初優勝を逃してしまった。

3選手の中でショットの安定感は抜群だが、パッティングに課題が残る。

中島の今季平均パット数(パーオン時)は1.7484(28位)。決して悪くはないが、このパットが決まっていれば…というシーンも見受けられる。前週の最終16番でも、短いパットを外してのボギー。もしこれが入っていればプロ初優勝に繋がっていたかもしれない。

しかしパッティング以外の課題はほぼなく、ショットのさらなる向上と経験を積めば、国内外問わず活躍するだろう。

かつて昭和の時代、青木功、尾崎将司、中嶋常幸の「AON」が男子ゴルフ界を盛り上げた。今はまだ「AON」ほどの影響力はないが、金谷拓実、蟬川泰果、中島啓太には、レジェンド以上の活躍を、令和の時代に見せてもらいたい。

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文●SPREAD編集部