【男子ゴルフ】中島啓太、ジュニア時代からの“縁の地”でプロ初優勝なるか 日本ゴルフツアー選手権

 

【男子ゴルフ】中島啓太、ジュニア時代からの“縁の地”でプロ初優勝なるか 日本ゴルフツアー選手権
中島啓太(C) Getty Images

ツアープレーヤーナンバー1を決める国内メジャー日本ゴルフツアー選手権が6月1日から宍戸ヒルズカントリークラブ・西コースで開催される。

国内メジャーの優勝者には、栄誉だけなく5年シードが与えられる。海外志向が強い選手にとっては、米ツアーや欧ツアーに挑戦しやすくなるという点で、他の大会以上に優勝のメリットが大きい。

日本ツアーの若手には海外志向のある選手が多いが、その中でも海外ツアーに対する意欲が最も強い一人として、アマチュア時代にツアー優勝を果たし、今年の海外ツアー予選会挑戦も視野に入れる中島啓太の名前が挙がる。

プロデビューしてから優勝はまだないものの、安定感は抜群。今季5戦でトップ10が3回。もっとも下位に沈んだ大会でも21位タイ、という安定ぶりだ。プロ初優勝を国内メジャーで達成しても不思議ではない。

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■ミズノオープン2位で全英OPへの切符獲得

先週のミズノオープンでは、あと一歩のところで優勝を逃した。

同じ2000年生まれで同学年の平田憲聖とのプレーオフ3ホール目のティーショットで、ボールが池に吸い込まれて万事休すも、全英オープン出場権は同大会4位までに与えられるため獲得した。7月20日に幕を開けるロイヤル・リバプールでの戦いに向け、日本ツアーでのモチベーションも高まっているだろう。

中島は昨年、アマチュアとして、マスターズ、全米オープン、全英オープンと3つの海外メジャーに出場するも、すべて予選落ち。プロとして初めて迎える海外メジャーでは、予選通過が目標となる。

■パーオン率は1位、課題はパット

中島はショットメーカー。飛距離と方向の安定を両立させたドライバーショットと、精度の高いアイアンショットで高いパーオン率を叩き出している。今季は5月29日現在、トータルドライビングが3位でパーオン率が1位タイだ。

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アマチュア時代からすでにショットのレベルはプロトップのレベルだった。最終日63のビッグスコアで18位に入った2019年の三井住友VISA太平洋マスターズでは、4日間トータルのドライビングディスタンスが301.88ヤードで3位、フェアウェイキープ率が79.760%で3位タイ。出場選手の中で最も‟飛んで曲がらない”ドライバーショットを繰り出していた。

問題はパット。今季の平均パット数(パーオンホール)は44位、平均パット数(1ラウンドあたり)は71位とパットがショットの足を引っ張っており、プロ初優勝や海外メジャー予選通過に向けてはグリーン上が最も大きな課題になる。

ちなみに、ミズノオープンのプレーオフ3ホール目では、2メートル弱のパーパットを外した。沈めていれば、同じぐらいの距離のパットを残していた平田にプレッシャーをかけられ、プレーオフ4ホール目を戦うことができていたかもしれない。

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■ジュニア時代からの縁の地で初優勝なるか

昨年9月のパナソニックオープンがプロデビュー戦となった中島は、プロとしてツアー選手権に出場するのは今回が初めて。だが、難攻不落の宍戸ヒルズの‟慣れ”は経験豊富な中堅、ベテラン勢に引けを取らない。

昨年大会と一昨年大会にアマチュアとして出場(昨年:11位タイ、一昨年:予選落ち)しているだけでなく、ジュニア時代に宍戸ヒルズで練習する機会に恵まれていたからだ。

石川遼が杉並学院高校在籍時のゴルフ部監督だった吉岡徹治氏が、同校退職後立ち上げたジュニアゴルフチームに中島は入っており、そのチームのメインの練習拠点が宍戸ヒルズだった時期があったのだ。

一般客がスタートする前の早朝や、すべての一般客がスタートした後の時間、宍戸ヒルズをプレーして研鑽を積んできた(なお、プレーできない昼間の時間帯は練習場でプレー)。

中島が師と仰ぐ、ナショナルチームのヘッドコーチ、ガレス・ジョーンズ氏は「プロは計画と準備がすべて」と説く。ジュニア時代から知っているコースでは、コンディションがトーナメント仕様になるとはいえ、より練られた計画を立てやすく、万全の準備をしやすいのではないだろうか。課題を抱えるグリーン上に関しても、対応力に期待が持てる。

宍戸ヒルズがプロで初めて優勝トロフィーを掲げる舞台になるのか。中島の戦いに注目したい。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。