【Tリーグ】「自分は挑戦者」伊藤美誠下し劇的Vも落ち着き目立った平野美宇 自然体と自信で挑むパリ五輪選考

 

【Tリーグ】「自分は挑戦者」伊藤美誠下し劇的Vも落ち着き目立った平野美宇 自然体と自信で挑むパリ五輪選考
6月の「Tリーグ NOJIMA CUP 2023」を制した平野美宇 撮影:SPREAD編集部

Tリーグ NOJIMA CUP 2023」は17日、18日の2日間にわたって行われ、平野美宇(木下アビエル神奈川)は伊藤美誠(日本生命レッドエルフ)と決勝で対戦。パリ五輪行きをかけた“黄金世代対決”はフルセットの末に4-3で平野が伊藤を破り優勝を飾った。

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■安定した戦いで優勝までたどり着く

5月の世界選手権以降では初のパリ五輪選考大会となった国内戦。

大会前の時点で早田ひな(日本生命レッドエルフ)に次ぐ2位につけていた平野は、18日の準々決勝まで勝ち上がると、笹尾明日香(日本生命レッドエルフ)を4-1、大藤沙月(日本ペイントマレッツ)を4-1と準決勝で退け決勝進出。早田を下した伊藤との黄金世代対決はフルセットまでもつれ込む激闘に。一時期は4-8の劣勢から逆転で優勝を勝ち取った。

試合後に印象的だったのは冷静に戦いを振り返る平野の精神的な落ち着きぶり。「最低ラインはできたんじゃないかなと思います」と優勝について語り、4-8からの逆転についても「伊藤選手が優位になってましたが、私自身まだまだ身体も温まってきたところで、諦めるような自分の状態じゃなかった。まだまだいけるなと。1球1球少しでも点数を縮めようという気持ちでやっていたら、最後は挽回することができた」と緊迫した場面でも気持ちが切れなかったと述べた。

伊藤との決勝戦こそフルセットにもつれ込む激闘となったが、今大会の平野は1日目から順調な試合運びで決勝まで勝ち進んだ。「トーナメントなので、『この選手かな』と思ったら違う選手が来ることはあったんですが、そういう場面でも動揺することなくどんな戦型の選手にも対応できたんじゃないかなと思う」と安定した戦いで決勝までたどり着いたと振り返った。

■石川佳純に敗れた東京五輪選考レース

Tリーグ個人戦を制した平野美宇 撮影:SPREAD編集部

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平野は今大会の優勝でパリ五輪選考ポイント50を獲得し297ポイントに。1位の早田(497.5ポイント)に次ぐ2位の座をキープし、3位の伊藤(275.5ポイント)にわずかながら差をつけることに成功した。前回の東京五輪選考では石川佳純(現役引退)との壮絶なマッチレースの末に、シングルスの出場を逃した平野にとって、パリ五輪へのシングルス出場枠である2位以内はノルマのはずだ。

それでも、伊藤らと繰り広げる選考レースについては「前回はすごく結果を考えてしまって、今回は前回よりプレッシャーもないと思うので、あんまり前回のことは気にせずに今回は今回で楽しんで、あまり考えないで選考レースに臨みたいと思います」と自然体を強調した。

心構えについては「東京の時は2017年とかにかなり結果が出て、自分でもこんなに結果が出てるのにオリンピックに行けなかったらもったいない気持ちがあったんですけど、5、6年くらい経って、日本や自分のレベルを考えた時に挑戦者だなというのが多いので、自分の立場的にも向かっていく立場だと思ってます」と東京五輪以前からの変化を語り、新たな平野美宇の姿を感じさせた。

「世界卓球はベスト16だったけど、そこに行くまでの過程が自信のつく試合だった。次はオリンピックを目指すことになるけれども、あんまり意識せずに楽しんで、結果は考えずにいきたい」と語った平野。紆余曲折を経た23歳が引き続き激しい選考レースに挑んでいく。

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文●井本佳孝(SPREAD編集部)