“GI初制覇”のトレンドは秋華賞も続くのか? ダノンデサイルは半世紀ぶりのダービー・菊2冠に挑む【記録から読み解く秋GI展望】

“GI初制覇”のトレンドは秋華賞も続くのか? ダノンデサイルは半世紀ぶりのダービー・菊2冠に挑む【記録から読み解く秋GI展望】
写真:Getty Images

■古馬GIはマイルCSで“史上初”の可能性

天皇賞・秋はドウデュース、リバティアイランド、タスティエーラ、ソールオリエンス、ジャスティンミラノが出走予定で、3世代クラシックホースが激突する。過去10年では5歳5勝、4歳3勝、3歳2勝。5歳馬はGI初制覇だったスピルバーグを除く4頭全てが、その年にGIを勝っていた。今年未勝利のドウデュースは秋緒戦から正念場だろう。

牝馬は2000mになった1984年以降、6勝。このうち4歳は4勝。エアグルーヴ、ウオッカ、ブエナビスタ、アーモンドアイとすべて東京芝2400mのクラシックを制していた。リバティアイランドもその資格があり、王手をかける存在になるか。また、牝馬三冠馬で牡馬相手にGIを勝つとなると、ジェンティルドンナ、アーモンドアイに続く3頭目となる。

前年ダービー馬による4歳での天皇賞・秋制覇となると、1984年以降で84年ミスターシービー、99年スペシャルウィーク、2007年メイショウサムソン、08年ウオッカ、18年レイデオロの5頭。ダービー以降、勝ち星がない馬はいない。着外が続くタスティエーラは挽回できるだろうか。

3歳代表は皐月賞馬ジャスティンミラノ。皐月賞馬の同一年、天皇賞・秋勝利は、2021年、コントレイルとグランアレグリアを下したエフフォーリアのみ。ダービー2着はジャスティンミラノと同じで、重なるものがある。

11月最初のGIはエリザベス女王杯。古馬解放後の1996年以降で連覇達成はメジロドーベル、アドマイヤグルーヴ、スノーフェアリー、ラッキーライラックの4頭。ブレイディヴェーグが勝てば、3歳→4歳の連覇となる。これはアドマイヤグルーヴ、スノーフェアリー以来13年ぶりだ。

連覇といえば、ナミュールのマイルCSも。これまで連覇した馬はニホンピロウイナー、ダイタクヘリオス、タイキシャトル、デュランダル、ダイワメジャー、グランアレグリアの6頭。牝馬による連覇はグランアレグリアしかない。NHKマイルC覇者によるマイルCS制覇は、意外にもミッキーアイルが5歳時に勝ったのみで、近年ではシュネルマイスターも2、5、7着と勝てなかった。ジャンタルマンタルはレース史上初の同一年制覇を目指す。同3歳馬・アスコリピチェーノは京成杯AHを快勝して好発進。2歳女王のマイルCS制覇が叶えば、こちらもレース史上初だ。

ジャパンC以降の展望は次回の後編に続く。秋のGIシリーズを楽しむうえでも、「メモリアル・記録」にぜひ注目していただきたい。

◆【秋華賞2024予想/高配当メソッド】3人気以内が毎年連対も3連単に妙味 「馬券内率40%」該当は想定“10人気以下”

◆【秋華賞2024予想/血統展望】2強対決も印回したい“ロマン枠” 「平坦中距離で一発期待の配合パターン」

Advertisement


◆【秋華賞2024予想/前走ローテ】直行組も前哨戦組も“実績”がキーポイント 馬券内率「44.4%」を誇る期待のステップ

◆著者プロフィール

勝木淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬ニュース・コラムサイト『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)などに寄稿。