今週末は、第29回秋華賞(GI、京都芝2000m)が行われる。
オークスを制したハービンジャー産駒チェルヴィニア、桜花賞馬のエピファネイア産駒ステレンボッシュ、ローズS勝ち馬のキズナ産駒クイーンズウォークをはじめ、多彩な血統構成の馬が集結。
ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。
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目次
■京都開催の秋華賞は差し有利
内回りコースが舞台とあって先行有利のレースをイメージしてしまいそうだが、京都開催の秋華賞は中団以降からの差しが強い。
京都開催過去10回分の秋華賞において、前受けして勝ち切ったのは、昨年の三冠牝馬リバティアイランドのみ。そのリバティアイランドもレース中盤までは中団で様子を見つつ運び、勝負どころで動いて位置を押し上げるレース内容だった。
内回りコース、3角過ぎからの淀の下り坂、そして皆が勝ちたいGIという種々の条件が組み合わさって、レースは早めに動くことがほとんど。そのためペースは激化しやすく、結果として脚を溜めていた差し馬にチャンスが回ってくる格好になりがち。
ヒモ穴に関しても関しても同様の文脈で考えたい。京都開催過去10回分の秋華賞において、6番人気以下の馬が3着以内に好走したのは7例存在したが、そのうち5例は4角10番手以下の馬によるもの。穴を狙うなら「前ではなく後ろから」という点も念頭に置いておこう。
■チルカーノの牝系は平坦巧者がずらり
今回注目したいのは、ハービンジャー産駒。ここでは該当馬の中からチルカーノをピックアップする。
父はハービンジャー、母は秋華賞&エリザベス女王杯で3着の実績があるアロマティコ。半兄に皐月賞馬のジオグリフがいる。
ハービンジャー×キングカメハメハは有馬記念馬ブラストワンピースやエリザベス女王杯を制したモズカッチャンと同じ好相性の組み合わせで、チェルヴィニアもここに含まれる。
ジオグリフ・チルカーノきょうだいが属するペルースポート牝系は、直線平坦コース巧者、コーナー4つの中距離巧者が多いのが特徴で、サンバレンティン(七夕賞、福島記念)やオーバーザウォール(福島記念)など、平坦直線コースの中距離だけでメシを食う方々が少なくない。
兄のジオグリフは直線に急坂のある中山で皐月賞を制したが、札幌2歳Sでも強い勝ち方を見せ、札幌記念でも惜しい2着に好走したあたりは、やはりペルースポートだねという感じ。母のアロマティコも京都のGIで好走した実績がある。
チルカーノは2走前に同舞台の稲荷特別で敗れたとはいえ、ハービンジャー産駒のこの馬にとって、当時は少々時計が速すぎた印象も。適度に時計と上がりのかかる直線平坦の中距離であれば一発を期待できる配合パターンなので、ロマン枠で印を回したい1頭だ。
あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。
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著者プロフィール
ドクトル井上
【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。