今週は、春の中長距離戦線を占う伝統のハンデ重賞、第72回日経新春杯(GII、芝2200m)が中京競馬場で行われる。
今年は、神戸新聞杯など重賞2勝のメイショウタバルや、同じく重賞2勝のサトノグランツ、一昨年の勝ち馬ヴェルトライゼンデといった実績馬に対し、3連勝中の上がり馬ヴェローチェエラ、菊花賞4着ショウナンラプンタ、ダービー4着サンライズアース、中日新聞杯2着ロードデルレイなど、ここをステップにさらなる飛躍を目指す馬が集結した。
そんな中、エリザベス女王杯3着のホールネスが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■牡馬一線級との初対戦に見込まれたハンデ
ホールネスはデビューから7戦して、すべて3着以内の堅実派。昨年はマーメイドS3着から、新潟牝馬Sを制し、2番人気に支持されたエリザベス女王杯では、クレバーな走りで3着に入るなど、GIでも好走できる力を誇示。今年5歳を迎えるが、キャリアも少なく、フレッシュさは魅力的だ。
とはいえ、日経新春杯で牝馬が勝つことは容易ではない。過去71回の歴史の中で、牝馬が制したのはわずかに6頭。2010年メイショウベルーガが勝って以来、牡馬の優勢が続いており、過去10年では【0.2.0.9】の成績。好走した2頭は、いずれも2桁人気の軽量馬による激走だった。
ホールネスは、重賞未勝利ながら55キロの斤量となった。牡馬換算で57キロとなるが、重賞2勝のメイショウタバルが57.5キロ、菊花賞4着ショウナンラプンタは重賞未勝利で56キロなので、それらと比較するとホールネスはやや背負わされた印象がある。ちなみに57キロ以上の牡馬も、過去10年で27頭が出走して2頭しか勝ち星を挙げられていない。
またオープン入り後はいずれも牝馬限定戦を戦っており、一線級の牡馬と初対戦となる点も、評価は上げにくい。エリザベス女王杯では確かに3着に好走したが、勝ったスタニングローズからは2馬身3/4も離されており、スムーズならレガレイラも勝ち負けに加わっていただろう。そんな中、展開に恵まれての3着という印象があり、GIでの好走は鵜呑みにできない。
中京では2戦2勝、左回りで4戦4勝と典型的なサウスポー。芝2200mも【3.1.1.0】と条件的には最も適した舞台となるホールネス。ゆえに、高い支持を集めそうな雰囲気だが、牝馬が勝つのが難しいレースで、初めて一線級の牡馬との対戦、やや見込まれたハンデなど、凡走の可能性は高く、人気ほどの信頼度はないと判断し、ここは思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。