高橋尚子が委員長を務めるアスリート委員会 残したいものは「日本のみなさんの笑顔」

撮影:山口和幸

2000シドニー五輪女子マラソンの金メダリスト、高橋尚子さんが委員長を務めるアスリート委員会5年半にわたる活動を終了

2月3日に都内で最後となる第11回委員会が行われ、日本の各スポーツから起用されたメンバーらがそれぞれの思いを語った。

多岐にわたった委員会の活動

2020東京五輪・パラリンピック開催を目前にして、アスリート委員会の役割はきわめて重要で、しかもこなすべき課題は想像以上に多岐にわたっていた

競技会場の設計に関わるアドバイスはもとより、競技スケジュール、テストイベントの実施、暑さ対策、開会式と閉会式などの見せ方という直接的な運営は簡単にイメージできるが、聖火リレー、全国の子どもたちの参画などの機運醸成に向けた取り組み、さらには持続性可能な大会にするためのアドバイス、大会後のレガシー、復興に対する取り組みなどもある。

アスリート委員会のメンバー 撮影:山口和幸

その中で委員会の発案によって実施されたのがメダルデザインだ。

メダルは「都市鉱山からつくる」をプロジェクトとして、使用済み携帯電話などの小型家電から抽出した金属で制作されるが、「パラリンピックのメダルは目に見えない人でもさわって金・銀・銅の違いが分かるように」という意見を採用し、大会史上初めてメダル側面にくぼみを加工。さらには表面に「TOKYO2020」の点字を表記したものになったのである。

活動は多岐にわたる。例えば各国代表選手を受け入れる羽田空港などの長大手荷物の搬入検証。陸上競技棒高跳びやボート競技で使用する機材、パラリンピックの車椅子など。空路で扱いなれないこれらの機材が開幕前に集中するのは避けられない。それをどうやって選手らに引き渡すのか

各競技のアスリートが現場検証に参加し、最も有効な作業を構築していくという地道な作業が続いた」と、バドミントン出身の池田信太郎さんが証言している。

池田さんはさらに、東京五輪金メダルの最有力として期待される桃田賢斗選手が遠征中に交通事故に遭った例を挙げ、「オペレーションをしっかりと確立させることで事故は防げるはず。アスリートあっての五輪・パラリンピックなので、次にバトンをしっかりとつなげていきたい」とコメントした。

スポーツが生活習慣の一部になるような取り組みも

アスリート委員会の活動のひとつに「スポーツインライフプロジェクト」がある。これは、スポーツをすることが生活習慣の一部となるようにする試み

1人でも多くの人がスポーツに親しむ社会を実現していきたい。健康で活力のある社会となるように、自治体・スポーツ界・経済界が一体となってみんなに身体を動かすことを促進するプロジェクトだ。

その一例として民間企業のNECを紹介。「社員は走りましょう」と奨励し、それをきっかけに社内には一般社員が加入できる陸上部が創部されたほどだという。

このプロジェクトに参画したのが2000シドニー五輪女子マラソンの金メダリストでもある高橋さん。「仕事の効率向上から生活面での意識アップまで多くの効果が発揮されました」と喜ぶ。

撮影:山口和幸

ウェイトリフティング出身の斉藤里香さんは、「活動を通して全国の子どもたちとふれあうきっかけを作れたのが思い出深いです。トップアスリートをゲストに迎えて、子どもたちが興奮している姿は今でも鮮明に覚えています」とその活動を振り返る。

車椅子バスケットボールの及川晋平さんは、「平昌オリンピック・パラリンピックで聖火リレーに起用され、(元棒高跳びのセルゲイブブカさんにナイスジョブと声をかけられたのが嬉しかった。聖火リレーのトーチを持ち帰り、さまざまなところで見てもらいながら、みんなでムーブメントを作ることの大切さを実感しました。パラスポーツを知ってくれた人が本当に増えたことを実感しています。多くの人に知ってもらうことが大事なんだと第1回委員会で発言したので、意義深い活動だったと確信しています」

アスリート委員会は大会が迫った2月にその使命を終え、いよいよ本番に向けての追い込みとなったが、委員長を務める高橋さんは、「これで終わりではありません。これからもアスリート委員会のメンバーであったプライドを持って、日本のみなさんを笑顔にしたい。それが五輪・パラリンピックのレガシーであると信じています」とコメントしている。

≪山口和幸≫

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