【競馬】マイルCS 有力馬の追い切りジャッジ&追い切りから狙える穴馬プラスワン!

先週末の「エリザベス女王杯」から怒涛のGI連戦がスタート。世間の耳目は8冠女王と牡牝無敗3冠馬が激突する「ジャパンC」に向きつつある感もありますが、もちろん今週の「マイルCS」も各世代のGIタイトルホルダー8頭が集う好カードとあって、実に攻略しがいのあるレースですね。

この一戦の有力馬について、中間調整と最終追い切りのジャッジをお届けします。最後には「プラスワン」として調整面から狙える穴馬もご紹介。

みなさまの重賞攻略のお役に立てば幸いです。どうぞご参考になさってください。

■グランアレグリア

【中間調整】4カ月ぶりだった前走・スプリンターズSはプラス12キロながら太く見せない逞しい姿で臨み、圧巻の末脚でスプリントGIでは決定的とも言える2馬身差の勝利。その後ノーザンファーム天栄に短期放牧に出され、10月30日が美浦トレセンでの中間初時計だった。以来順調ではあるが14-14程度の軽め調整が続き、負荷という負荷は掛かっていない。前走時にあらかた体も心肺機能も仕上がっていたということか、テンション面を気遣った“現状維持”に徹する姿勢。ようやく1週前の11日に美浦ウッドで5F69秒2-3F39秒5(馬なり)と、若干だけピッチを上げてきた。調教履歴では単走扱いだが、前を行く別組を見せながらグッと我慢させる内容。ゴール板を過ぎてもしばらくは動かしており、数字以上の負荷は掛かっていたようだ。

【最終追い切り】余計な疲労は残したくないということか、ウッドではなく芝コースでの最終追いを選択した。杉原騎手を背に意識的に後ろに構え、準オープン馬を追走。先週よりは気負う面もなく、リズミカルな脚捌きで差を詰めるとゴール前は矢のように伸び併入を果たした。しなやかなフォームで、前走GIを勝った疲れはいっさい感じられない。

【見解】GIに挑むとは思えないほどの控え目な調整過程だが、それだけ前走時の仕上がりで十分だったということだろう。中間は気持ちを損ねず、テンションを上げ過ぎないことにひたすら注力した調整。気配面で上昇があったか、となると「平行線」という判断にはなるが、あり余るポテンシャルを考えればこれでいい。

総合評価「B」

■サリオス

【中間調整】例年よりは与しやすい相手関係だったとは言え、スーパーGIIの毎日王冠を快勝。「コントレイル以外には無敗」を続行した。その毎日王冠は夏の成長分があるにせよプラス10キロと気持ち緩めの仕上げ。そこで勝った反動が少なからずあったようで、疲れがなかなか抜けず、乗り出しは想定より若干遅めの10月29日からだった。しかも11月4日に軽い疝痛があり、負荷を強めるはずの2週前追いが単走で追わざるを得なかったという、なかなかに大変な中間の状況。しかし1週前追いの併せ馬では前向き過ぎる動きを見せたように、体調そのものの回復はしっかり果たせたようだ。このあたりは名門厩舎ならではだろう。

【最終追い切り】デムーロ騎手を背に美浦ウッドで併せ馬。前を走る2頭を目標に、直線では内に潜ったがこの日も気持ちが乗り過ぎてガツンと持っていかれそうな場面があった。しかし名手が懸命に制御。ゴール前で改めて気合いを入れられると、もうひと伸びして悠々の最先着を果たしている。さすがの脚力だったし、順調さを欠いたとは思えない素軽さがあった。気持ちのスイッチが入りやすいあたりを鞍上が確認できた点でもいい稽古だった。

【見解】並の厩舎ならお手上げとなりそうな状況だったが、しっかり持ち直してきたあたりはさすが。体調面の不安はほぼ払拭できたと見ていいだろう。前走時に感じた緩さは抜け、研ぎ澄まされた雰囲気。上積みは大きい。

総合評価「A」

■インディチャンプ

【中間調整】本来秋初戦はスプリンターズSを予定。トモを痛めてこれを回避したが、不向きと思われる条件のレースで変に消耗した可能性を考えると、誤算ではなくむしろ幸運だったのかもしれない。いったん放牧を挟んでの再調整となり、帰厩後最初の時計は10月29日、CWコースで終いを伸ばされた。この日と翌週、2週続けてこの馬としては異例のコース調教。本来はレースを使って気持ちを乗せたいところだったが、それが叶わなかったことを考慮し疑似的に実戦感覚を与えるという意図か。ちなみに2回目のCW追いでは馬なりで5F63秒台と、さすがの脚力を誇示していた。その策を取った甲斐あってか1週前追いは坂路4F50秒8を余力残しでマーク。その週で重賞を勝つサンライズノヴァをアオるという、いかにもこの馬らしい動きを披露していた。

【最終追い切り】1週前に騎手騎乗で猛時計を出し、レース当週はある程度セーブといういつも通りのパターン。栗東坂路で併せ馬を行い、無理に出されなかったが、序盤からやる気が漲っていたのは好感。相手をキャッチアップしたところで、グッと踏み込みに力が入る好調時の脚捌きも素晴らしかった。

【見解】ぶっつけは誤算に違いないが、代案としてのコース追いが効果てきめんだったようで1週前、最終追いの雰囲気は使われて大きく上昇した際と遜色なし。絶好の仕上がりと言える。

総合評価「S」

■プラスワン! ケイアイノーテック

【中間調整】前走・富士Sは体、心肺機能などはある程度仕上がっていたようだが、鞍上津村騎手が「グンとこなかった」とボヤいたように精神面が整っていなかったよう。そのレースを使われて一気に気持ちが乗ってきたのか、1週前にあたる中間の初時計で坂路4F50秒7(強め)と自己ベストに迫る数字を叩き出した。

【最終追い切り】藤懸騎手を背に栗東坂路で単走。前週で気持ちがしっかり乗っていたのを確認できたので、今週は終いの反応だけ磨きを掛けられた。前脚をしっかり上げて駆け上がれてあたり、気持ちの面での上昇度合いが感じられる。ラスト2Fは12秒7-11秒9とスムーズにギアを上げてスパッと切れた。

【見解】常に稽古で走るタイプではあるが、先週の全体猛時計と今週の滑らかな加速は眼を惹く。前走で足りていなかった気持ちの面が実戦を経験したことで一気に補われた感。5着に入れた春の安田記念と同様か、それ以上の状態にありそう。

総合評価「A」

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター

競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当している。

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