【ゴルフ】コロナ禍での感謝を結果で証明 国内メジャー2冠、チャン・キムが見せた一流たる所以

国内ツアー通算5勝目、二つ目の国内メジャータイトルを獲得したチャン・キム (C)Getty Images

2020年の国内男子ツアー最終戦、ゴルフ日本シリーズJTカップは、トータル8アンダーをマークした米国のチャン・キムが混戦を制し、昨年の日本オープン以来となる国内ツアー通算5勝目を果たし、二つ目の国内メジャータイトルを獲得した。

難コースとして知られる東京よみうりカントリークラブの攻略、そして、寒さとの対峙が選ばれし精鋭30名の選手に試練を与え、順位の乱高下する4日間だった。

■優勝の明暗を分けた2ホールの行方

初日、池田勇太が6アンダーで飛び出したが、2日目に7つスコアを落としてしまい圏外へ。変わって2日目に6つスコアを伸ばした、22歳の新鋭・小斉平優和が首位に立つも、3日目、最終日ともスコアを落とし、大会最年少優勝は幻となった。そんな中、優勝争いは、岩田寛、谷原秀人といったベテラン勢に、30歳の大槻智春、そしてチャン・キムを加えた4人に絞られた。

ドラマは最終盤の上がり2ホール。少なくともバーディーを獲りたい17番(535ヤード・パー5)と、ツアー屈指の難ホール、18番(227ヤード・パー3)でパーをセーブできるか。この2ホールの結果が、優勝の明暗を分けた。

まず、最終組から2組前でプレーしていた大槻。8アンダーで迎えた17番で、首尾よく2オンとしたものの、そこからまさかの3パットでパー。最終18番はティショットをグリーン横のラフにこぼすと、2打目でも寄せ切れず2パットのボギーで後退。最初に優勝戦線から脱落した。

次に、最終組から1組前でプレーしていたチャン・キム。16番をボギーとし、7アンダーに後退して迎えた17番で、楽々の2オンから2パットのバーディーでバウンスバックに成功。18番はワンオンとはならなかったが、2打目を1.5メートルに寄せると、しびれるパーパットを見事に沈め8アンダーをキープ。後続の結果を待った。

残すは最終組の岩田と谷原。ともに8アンダーで迎えた17番、岩田は2オンに成功し、1メートルほどのバーディチャンスに寄せたが、これをカップの左に外してしまい、一歩抜け出すチャンスを逸した。一方の谷原も、2打目をバンカーに入れるなどショットが乱れ、獲りたいホールでスコアを伸ばせず最終ホールへ。

18番、岩田はティショットを大きく左に曲げ、グリーン左のラフへ。そこから巧みなショットで1メートル近くに寄せたが、難しい下りのラインを読み切れず、パーをセーブできずにジ・エンド。谷原はティショットこそグリーンをとらえたが、傾斜のきついグリーンに手を焼き、3パットで万事休す。上がり2ホールを攻略して見せたチャン・キムに軍配が上がった。

■チャンスがあるならば日本に戻ってくることは当たり前

今年はコロナ禍の影響で、国内男子ツアーは8カ月遅れで国内の開幕戦がスタート。結果的に国内ではわずか5試合の開催にとどまり、しかも当初はシード選手65名中、31名の外国籍選手が参戦できない中での戦いに。ツアーのレベルとして、これが正常かどうか疑問視する向きもあった。

三井住友VISA太平洋マスターズから、何名かの外国籍選手が2週間の隔離措置などを経てツアーに復帰。チャン・キムもその中の一人だったが、そんな厳しい環境にも関わらず来日を決めたのは、入国できるように政府へ働きかけてくれたJGTOや関係者への感謝の気持ちだった。

2015年より国内男子ツアーに参戦してから、日本が大好きになったというチャン・キム。、例え今年の試合数が少なくとも、プレーできるチャンスがあるならば日本に戻ってくることは当たり前だと考えていたという。そして、三井住友VISA太平洋マスターズ4位、ダンロップフェニックス5位タイと、わずか2戦でゴルフ日本シリーズJTカップへの出場権を獲得し、見事に戴冠。感謝の気持ちを結果で示すあたりが、一流たる所以(ゆえん)かもしれない。

通常とは異なる一年となった今年の国内男子ツアー。2020年の国内戦の日本人勝者は、星野陸也稲森佑貴香妻陣一朗金谷拓実と、すべて20代の選手で、若い世代の台頭も目立つ一年となった。彼らに加え、石川遼今平周吾といった実力者たちが、2021年はどんな戦いを演じてくれるのか。

全試合無観客に終わった今シーズン。少なくとも来年は、ギャラリーの前で大歓声を浴びながら戦うツアーになることを願いたい。

文・SPREAD編集部

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