【ラグビー】天理大が3度目の正直なるか、最多優勝・早大の連覇か 大学選手権決勝を占う

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■明治をも粉砕した天理の攻撃力

ラグビー全国大学選手権・決勝が、11日に国立競技場で開催される。今年は関西リーグ5連覇の天理大学と昨年の優勝校、早稲田大学という楽しみなカードとなった。

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注目は、初の全国制覇を目指す天理大の攻撃力だ。関西リーグ4試合で獲得した得点が211点、大学選手準々決勝の流通経済大戦も78-17と圧勝した。

さすがに対抗戦全勝優勝の明治大学に力が通じるか、試金石となった準決勝も6トライを奪い41-15と粉砕。試合後、明大の田中澄憲監督が「天理大学さんがすべてにおいて強かった」と脱帽する完勝だった。

■松岡キャプテンがチームを引っ張る

チームをまとめるのがフランカーの松岡大和キャプテンだ。天理大の攻撃ラグビーを支える原動力は、個々の選手の能力よりも、チーム一丸となったスピリットにある。花園を沸かせたスター選手がずらりと揃う明大を圧倒したパワーは、まさにONE TEAM。その中心にいるのが松岡選手だ。

小松節夫監督曰く「フィフィタをキャプテンにしようと思っていたが、一番元気があり、チームを引っ張っているのが松岡だった」。その言葉通り、試合中にチームメイトを鼓舞する彼の雄叫びが、何度も無観客試合の集音マイクから伝わってきた。

将来は母校、甲南高校(兵庫県)を花園に連れていきたい、と指導者の道を目指すという。ぜひ、決勝の舞台でも闘争心剥き出しのキャプテンシーを発揮してほしい。

■巨漢センター、フィフィタは次期ジャパンの顔となる?

破壊力ある攻撃のキーマンは、シオサイア・フィフィタ選手。178cm、97kgという巨漢センターで、いったんボールを持つとゲインの期待が高まる。サイズの大きなセンターは、近年、世界のトレンドでもある。

準決勝では、何度もラインブレークを果たし、フォローする選手にボールをつなぐ器用さも披露した。トップスピードで走りながら、右にも左にもロングパスを正確に投げる技術は易しいものではない。

試合後のインタビューでは、「マークされるのは分かっているから、周りの選手を使うことを考えた」と大人のコメント。力まかせのプレーからのマインド変化は、昨年の1〜3月に参加したサンウルブズで培ったという。トップ選手とぶつかることで、プレーの幅が大きく広がった。

日本航空高石川卒で、日本語も極めて流暢。東海大で大学選手権に出場していた頃のリーチ・マイケルを、存在感では凌いでいる。2年後に迫るワールドカップ・フランス大会でジャパンの“顔”になるポテンシャルを感じる。

■日本航空高石川出身3選手の活躍が鍵を握る

もうひとりのキープレーヤーがスクラムハーフの藤原忍選手。1年生からコンビを組むスタンドオフの松永拓朗選手とともに、ライン攻撃をデザインする司令塔だ。明大の田中監督は戦前に「藤原をマークする」と公言していたが、まんまと自由自在に動かれてしまった。

フォワードでは、ロックのアシペリ・モアラ選手も挙げておきたい。大きな体で前へ出る圧力は、どのチームにとっても脅威だろう。

なお、フィフィタ、藤原、モアラの3選手は、いずれも日本航空高石川出身。その名の通り、航空機のメカニックやパイロット、CAを目指す生徒が集まる学校だが、部活動に力を入れており、トップリーグで活躍するテビタ・ツボウ選手、長谷川俊太選手などを輩出している。また、千葉ロッテ角中勝也選手も同校出身だ。

■早稲田の総合力、経験値がものをいう

迎え撃つディフェンディング・チャンピオン、早大も戦力は劣らない。準決勝の帝京大戦は、33-27と得点差はわずかだったが、試合は終始コントロールしていた。レベルの高い対抗戦で鍛えられてきた総合力は、やはり一枚上とみるのが妥当だろう。

注目選手はフルバックの河瀬諒介選手。センスのいいカウンターアタックは帝京大戦でも再三、突破口となり、自らも2つのトライを記録した。天理大にとって安易なパントは禁物だ。

そして、キャプテンでナンバーエイトの丸尾崇真選手。密集からのサイドアタックはもちろん、ディフェンス、セットプレーでも要となる。昨年の優勝を知っている経験も大舞台で生きるはずだ。

■予想は難しい。決勝戦にふさわしい好ゲームを期待

さて、試合の予想だが、力の比較が極めて難しい。昨年は準決勝で対戦し、早大が52-12と完勝しているが、それは参考にならないだろう。むしろ、悔しさをバネにする天理大の気力が上回るのではないか。

天理大が決勝戦に挑むのは3度目。最初は2011年度、帝京大から後半38分に同点トライを奪うも、終了間際のPKで12-15と涙を飲んだ。このときは帝京9連覇の3年目だった。2度目は2018年度、明治に22-17と1トライ差での接戦を落とした。そろそろ機が熟し、優勝杯に手が届く予感がする。

余談だが、天理大ラグビー部は、1925(大正14)年、開校とほぼ同時に創部している。そのときにユニフォームとして、オールブラックスのジャージが寄贈されたと伝えられる。黒地に白文字のユニフォームは王者の系譜なのだ。

いずれにしても決勝戦にふさわしい、白熱の試合になることは間違いない。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」(産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。

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