黒い噂が現実に 元プロ野球選手・清原和博が覚せい剤所持容疑で逮捕

覚せい剤所持による清原和博の逮捕を報じる各紙

■スーパースター・清原和博がまさかの……

関係者の間で、まことしやかに囁かれていた黒い噂が現実のものとなってしまった。日本プロ野球界でも稀に見るスーパースター、そう評して良いはずだ……元プロ野球選手・清原和博が2月2日、覚せい剤所持容疑で逮捕された。昨年、読売巨人の3選手が、賭博により無期失格処分となり、事実上追放となった事件に続き、野球界の闇が取り沙汰されることとなった。

清原の薬物問題は『週刊文春』により、よく取り上げられるテーマだった。2014年3月6日発売の同誌において「薬物使用の治療の為、入院中」と報道。同26日発売号では「薬物は巨人時代からやっていた」という旨の記事を掲出した。これに対し清原のマネジメント会社は、発行元の文芸春秋に対し2億5000万円の損害賠償に加え、謝罪広告の掲載を求める訴訟を起こす準備を進めていると発表していた。

■暴力に奇行、関係者の間では様々な逸話も

清原の覚せい剤疑惑については、関係者の間では長らく囁かれて来た。文春の報道では、昨年離婚した元妻の亜希さんが清原の暴力的な点について友人に相談したとされている他、関係者の間では様々な逸話が飛び交っていた。実際、今回の逮捕劇についても、元ロッテの愛甲が、Xデーを知っていたとスポーツ報知にコメントを寄せているほどだ。

離婚前、息子たちが野球の試合に出場すると、清原がその応援に駆け付け、相手チームにえげつない野次を浴びせたと言う。球界でも「番長」の異名を取った清原だ。「自分の息子、可愛さに」と、少々やり過ぎにしても純粋な心から生まれた野次だと思われた。しかし実際、清原の野次が酷過ぎるということで、対戦を望まないチームも多くなり、カードを組むのに困ったという逸話もある上、清原は試合観戦中にも関わらず、唐突に球場を抜け出したかと思うと、所有するフェラーリを駆り、球場の周辺を大爆音で走り回ったというエピソードも耳にした。

逸話には、常に尾ひれがついて回るもの。話半分に聞いておけ……と言われたものの、振り返ると「実話だったのか」と勘ぐりたくもなる。

昨今、お遍路巡りを始めた……などという報道を目にし、マスコミにも徐々にその姿を見せるようになった。今年1月11日にヤフオクドームにおける名球会のイベントでは打席にも立ち、その健在ぶりをアピールしていただけに、離婚などで心がすさんだ時期から立ち直りつつあるのだろうと考えた。

しかし、「逮捕」が現実のものとなり、野球ファンとして衝撃以外の何物でもなくなった。

■清原個人のみの問題か 球界の改革も待ったなし

スーパースターの逮捕を報じる海外メディア

薬物疑惑に対する「逮捕」は、ほぼ「クロ」として過言ではない。捜査当局は疑いをかけた人物に対し、地道な捜査を仕掛ける。そして、薬を所持している確信がある場合に限って、現行犯逮捕に打って出る。

酒井法子は2009年、当時夫だった高相祐一が「渋谷の路上で」逮捕され、それがきっかけとなり芋づる式に逮捕された。薬物の所持で路上にて逮捕されるなど、高相が捜査当局に相当尻尾を掴まれていた証左だ。クリーンなイメージのほうが強かった、元チャゲ&アスカの飛鳥も同様。

清原の「所持」容疑も、当局からすると「満を持して」の逮捕だろう。野球ファンとして、清原の潔白を信じたいが、あまりにも残念な事件だ。

かつて、実質的に200勝200セーブを挙げている大投手・江夏豊も1993年に同容疑で逮捕。懲役2年4ヵ月を課せられた。しかし、仮釈放後、野球界の仕事に復帰。見事更生し、現在でもその活躍を見ることができる。

東京地検特捜部、現一般社団法人日本野球機構・熊崎勝彦コミッショナー(当時)にとって、賭博だけではなく、薬物使用についての啓蒙と教育が課題となった。高橋治之東京五輪委員会理事電通元専務)は、かねてより「プロ野球はスポーツではない。興行だ」としていた。その言葉を、翻意させる材料はなかなか揃わないのが実情だ。

今回の事件、清原個人の問題に過ぎないのかもしれない。しかし、清原が現役の巨人の選手だったとしたら、この事件も見えない力に庇護されたかもしれない。野球を愛する人物として、球界の新改革は待ったなしなのではないかと考える。

昨年12月に発表された2016年の野球殿堂入り候補には、清原の名前も見える。殿堂入りも幻と化すのか。清原が無実であるという一縷の望みを託し、今後の報道を見守りたい。

Yahoo!ニュース個人2016年2月3日掲載分に加筆・転載。

【野球】清原和博氏が公式Twitterを開設「清スポの応援、宜しくお願いします」

清原の逮捕劇、球界に責任なしか…NPBのアンチドーピング不徹底

著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨークで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。

著書に『My Lost New York ~ BAR評論家がつづる九・一一前夜と現在(いま)』、『麗しきバーテンダーたち』など。


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