【野球】田中将大が切り開く新しい日米挑戦のかたち 楽天復帰の背景とは?

ニューヨーク・ヤンキースからフリーエージェント(FA)となり、東北楽天ゴールデンイーグルスへの復帰を果たした田中将大が30日、都内で入団会見を行った。三木谷浩史オーナー、立花陽三オーナー代行、石井一久GM兼監督も同席した会見で田中は、復帰にあたっての心境などを語った。

これまでもMLBからNPBへ復帰する選手は数多く存在したが、その多くはキャリアの晩年を迎えたタイミングで実現したものだった。

現在田中は32歳、そういった意味で今回の復帰劇はかなり特殊なケースとなった。

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■「今まで考えたことないくらい考え、悩みました」

コロナ禍で2020年シーズンは短縮となり、MLBにおける球団経営も苦しい状況となっている。今オフも各球団は、経済的負担が大きいFAではなく、トレードによる戦力補強を活発化させており、サイ・ヤング賞を獲得したトレバー・バウアーを筆頭に、市場には未契約の大物が数多く残っている。

会見では、田中自身もFAとなった当初はヤンキースとの再契約を望んでいたが、かなり早い段階でその実現が難しい状況であると感じた、と振り返った。その後の状況については「今まで考えたことないくらい考え、悩みました」としながらも、古巣である楽天ファンの前で投げることに勝るオファーはなかった、というのが復帰の決め手となった。

「日本に帰ってきてまたイーグルスで、キャリアの晩年ではなく、どこかいいタイミングで、バリバリ投げたい思いはありました」と、MLB 移籍後も温めてきた思いを田中は会見で語っており、その意味でも32歳での古巣復帰はこれ以上はないタイミングであったのだろう。

■MLB再挑戦の可能性は否定せず

しかしその一方で、田中は将来的に再びMLBへ挑戦する可能性については否定しなかった。

楽天とは2年契約であるが、1年が終わった段階で球団と話をする機会を設けるという内容になっているとし、「とにかくまだアメリカでやり残したこと(ワールドシリーズ制覇)はあると思っている」とその理由を明かしている。

ヤンキース在籍時はポストシーズンで抜群の安定感(10試合、5勝4敗、防御率3.33)を発揮しながらも、田中は最後までワールドシリーズとの縁がなかった。今回の楽天復帰にあたっても、こだわりたい部分は個人成績ではなく「日本一」と即答するその責任感を考えれば、この悔しさはなおのことだろう。

仮に1年間楽天でプレーし、その後MLBへ再挑戦となってもまだ33歳。大きな故障がなく、世界経済の状況に進展があれば、移籍先を見つけるのはそう難しくはないはずだ。

■田中が新しいロールモデルを提示する可能性

「腰掛けでなく、本気で日本一をとりにいきたい。生半可な気持ちでは成功できないので、まずは今シーズン全力で戦いたい」と並々ならぬ思いで復帰を決断した田中。

三木谷浩史オーナーも「楽天イーグルスに帰ってきてくれることに、男気も含めて感謝しています」と最大級の敬意を会見では表したが、「男気」というワードも含めて多くの野球ファンが想起するのは、2014年末に同じくヤンキースから広島に復帰した黒田博樹だろう。

しかし、39歳というキャリア最終盤で復帰を決断した黒田と、今回の田中のケースを一概に同列では扱えない。NPBで古巣を日本一に導き、再度のMLB挑戦を成功させた場合、田中はこれまでになかった新しいロールモデルを提示することになり、今後他選手のMLB挑戦にも大きな影響を与えるかもしれない。

様々な期待は膨らむ一方だが、まずは田中が8年ぶりとなる日本のマウンドにどうアジャストするか注目したい。語り継がれる楽天の元エースとして、また名門ヤンキースの主戦投手として、田中の帰還が2021年のNPBを熱くする。

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文・SPREAD編集部

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