今週は皐月賞へ向けたトライアル、第63回弥生賞ディープインパクト記念(GII、芝2000m)が中山競馬場で行われる。
今年は、昨年の東スポ杯2歳Sを制したパントルナイーフと、デイリー杯2歳Sを制したアドマイヤクワッズの重賞ウイナー2頭が主役候補。対して、東スポ杯2歳S3着ライヒスアドラー、同4着テルヒコウ、京成杯4着タイダルロックや同5着ステラスペース、未勝利勝ちから臨むバステールなどがクラシック出走権を懸けて参戦する。
そんな中、朝日杯FS3着のアドマイヤクワッズが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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目次
■中山、距離延長と初モノ尽くし
デビューから2連勝でデイリー杯2歳Sを制したアドマイヤクワッズ。前走の朝日杯FSでは1番人気に支持されたが、4コーナーで他馬と接触する不利もあり、厳しいレースを強いられて3着に敗戦。それでも勝ったカヴァレリッツォとは0秒3差で、デイリー杯2歳Sでは一度倒した相手。世代では屈指の能力を秘めていることは確かで、今回も主役の1頭として注目を集める存在だろう。
とはいえ、過去3戦は一貫してマイル戦を使われており、2000mへ一気の距離延長は気になる材料。過去10年の弥生賞で、前走2000m戦だった馬は【7.4.8.41】勝率11.7%の成績であるのに対し、前走1600m戦だった馬は【1.4.1.11】勝率5.9%で、勝利数および勝率という面で劣る。唯一勝ったのは2018年のGI馬ダノンプレミアム。同馬は1800mで勝った実績があるのに対し、1600m以下しか経験のなかった2016年エアスピネル(3着)や21年シュネルマイスター(2着)などは、弥生賞で勝ち切るまでには至らなかった。アドマイヤクワッズも過信できない有力馬の共通点に合致してしまう。
■朝日杯FS「1番人気」「3着」の罠
もうひとつ気になるのは、朝日杯FSで1番人気に支持された馬の次走成績は決して芳しくない点だ。阪神開催となった2014年以降(24年京都開催を含む)、11頭中9頭が次走で敗れており、GIで高い評価を受けたにも関わらず、その後の成績は伴っていない。
同様に2014年以降、牡馬で朝日杯FS3着馬の次走成績は【1.1.1.6】で、こちらもGI実績ほどの結果を残せていない。また1800m以上だと【0.0.1.5】となっており、過去にはレッドベルオーブがデイリー杯2歳S勝ち→朝日杯FS3着と、アドマイヤクワッズと似たような系譜を辿ったが、その後は皐月賞8着に敗れた。
そして、弥生賞は上位人気馬による堅い決着のイメージがあるが、近5年は3~7番人気の馬が勝利しており、1番人気は2019年から7連敗中と、ひと波乱あるレースに変貌している。朝日杯FSを制したドウデュースでさえ弥生賞は2着である。実績馬がトライアルを経ずに本番へ直行するケースが多くなり、一発を狙う実績のない伏兵馬が台頭する傾向だ。現3歳世代で重賞2勝をマークしているのはリアライズシリウス1頭のみで、混とんとしている現状。果たして、弥生賞も額面通りの決着となるだろうか。
アドマイヤクワッズは初めての中山で、今回が中距離戦を歩むか、マイル戦線へ進むのか、試金石となる一戦。賞金的には皐月賞への参戦は可能で、どちらに進むにしても、ここは試走の意味合いが強いだろう。決してメイチの仕上げでもなく、取りこぼしても良しとする姿勢ならば、馬券的には大きく乗っかれないため、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。














