今週は古馬の長距離最強馬決定戦、第173回天皇賞・春(GI、芝3200m)が京都競馬場で行われる。
今年は、大阪杯でGI3勝目を飾ったクロワデュノールに、レース連覇を狙うヘデントール、前哨戦の阪神大賞典を制したアドマイヤテラの3強ムード。対するは、ダイヤモンドSを制したスティンガーグラスや、阪神大賞典2着アクアヴァーナル、海外帰りのシンエンペラー、大阪杯4着タガノデュードなどが、大金星を狙う構図だ。
そんな中、父子制覇を狙うクロワデュノールが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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目次
■距離未経験、ダービーとの親和性の無さなど危険因子
今年初戦となった前走の大阪杯。ハイラップを刻み、逃げ切り勝ちを狙ったメイショウタバルを、ゴール前で図ったように捉えてGI3勝目を飾ったクロワデュノール。ダービー馬の底力をまざまざと見せつけ、1番人気に応える見事な勝ちっぷりだった。次は2016、17年と天皇賞・春連覇を果たした父キタサンブラックと同様、大阪杯からの臨戦で父子制覇を目指す戦いとなる。
クロワデュノールにとっては、キャリア初の3000m超えの戦いとなり、距離への対応力が大きなカギとなるだろう。過去10年の天皇賞・春の優勝馬、延べ10頭は、いずれも芝3000m以上のGIで3着以内に入った経験がある馬で、勝つためには距離経験値は大きな決め手となる。
加えて、過去30年を遡ってみると、芝3000m以上が未経験で本レースを制したのは、1996年サクラローレル、2009年マイネルキッツ、13年フェノーメノの3例のみ。この3頭は芝2500mは経験しており、芝2400mまでしか経験のない馬が勝った例は、1984年のグレード制導入以降存在しない。クロワデュノールの最長走破距離は芝2400mで、勝てば大偉業となる戦いに挑むこととなる。
また、距離適性に関連することで、菊花賞との親和性の高さは周知のところ。過去10年だけでも、延べ6頭の菊花賞馬が天皇賞・春を制している。一方、ダービー馬の相性は決して良くない。ダービー馬が天皇賞・春を制したのは、歴史上8頭のみで、2007年メイショウサムソンが最後。以後、オルフェーヴルやキズナなど6頭が参戦しているが、エイシンフラッシュ(2着)を除けばいずれも馬券圏外に敗れており、近代競馬においてダービーを勝つ強さが春の盾に結び付くわけではない。
そして、阪神大賞典の当コラムでも触れたが、キタサンブラック産駒は、芝1200mから障害競走まで、幅広く重賞ウイナーを輩出しているものの、芝3000m以上の重賞では【0.0.2.6】の成績で、いまだ連に絡んだことがない。産駒の天皇賞・春参戦は、今回のクロワデュノールと、もう1頭ヴェルテンベルクが初めてとなるが、父自身が最も得意としていた長距離戦が、産駒のウィークポイントかもしれず、注意を払いたい。
本レースは、過去10年で1番人気が5勝で連対率も80%、加えて2番人気が4勝、3番人気が1勝と上位人気が強く、簡単には逆らえない一戦。クロワデュノールも少なくとも2番人気以内には入り、バッサリ切るのは勇気がいる。それでも、距離の経験値や血統面など、過去の傾向から考えると、盤石の信頼は寄せにくく、妙味を考慮すると、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。















