【WEC】TOYOTA GAZOO Racing ハイパーカー全レースを制覇 勇退の中嶋一貴組が有終の美、小林可夢偉組が王者戴冠

有終の美を飾りチームメートにかかえられる中嶋一貴(中央)(C)TGR

2021年FIA世界耐久選手権WEC)は11月6日、バーレーン・インターナショナル・サーキットでバーレーン8時間決勝レースが行われ、TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)のハイパーカーGR010 HYBRIDが最終戦で1-2フィニッシュを決めた。

中嶋一貴セバスチャン・ブエミブレンドン・ハートレーのGR010 HYBRID 8号車が今季3勝目を挙げ、TGRのWECレギュラードライバーとして今シーズン限りで勇退を発表している中嶋は有終の美を飾った。

今季ル・マン24時間レースを制した小林可夢偉マイク・コンウェイホセ・マリア・ロペスが駆るGR010 HYBRID 7号車は2位でこのレースをフィニッシュ、ハイパーカー時代初代ドライバーズチャンピオンを獲得した。

小林はこれで、4輪レースで初めて2度の世界チャンピオンを獲得した日本人ドライバーとなり、ロペスはアルゼンチン人として、偉大なる先達のファン・マヌエル・ファンジオに並ぶ、5度目のFIA世界チャンピオンを獲得。

◆TOYOTA GAZOO Racing、エースのナッサー・アル-アティヤを筆頭に4台体制でダカールラリー2022参戦を発表 「T1+」クラスに新型投入

■ル・マン24時間を3度制した中嶋一貴

2021年最終戦表彰台 中央が中嶋組、左に小林組(C)TGR

中嶋は「このような最高の結果でWECのキャリアを終えることができ、本当に嬉しいですし、最高のチームメートに恵まれた私は幸運でした。チームとして最後まで全力で、諦めることなく戦い続けました。ファイナルラップでは、感情を抑えきれず、ドライビングに集中するのが大変でした。しかし、なんとかトップでチェッカーフラッグを受けることができ、私自身はレースで勝利、7号車がドライバーズタイトル獲得、TOYOTA GAZOO Racingがチームタイトルを獲得するという最高の結果となりました。ずっと支えてくれた全ての人に本当に感謝しています」と感謝のコメントを寄せた。

小林は「1回目と2回目を比べるのは難しいですが、再びマイクとホセとともに勝ち取った世界チャンピオンは最高です。このタイトル獲得を支えてくれたチーム関係者に感謝しています。特に日本からはとても大きなサポートを貰いました。8号車は今年毎回とても強く、彼らは最高のライバルでした。ずっとぎりぎりの戦いをしてきましたが、常にフェアに、お互いに敬意を払いながら戦ってきました。その素晴らしいチームワークが、最高のパフォーマンスを引き出したのだと思います。一貴はここバーレーンでも最後まで集中を切らさず、素晴らしい走りでした。彼とは若い頃から一緒にレースをして育ってきたので、彼がWECキャリアを勝利で締めくくることができたのは嬉しく思っています」とチームの優勝に感謝を示すとともに、中嶋を労った。

今大会に出場した2台のGR010 HYBRIDには、3度のル・マン24時間制覇を成し遂げた中嶋の耐久レースでのキャリアに敬意を表した特別なマーキングが施された。中嶋はWECのレースに通算59戦出場し、17勝。2018-2019年シーズンには、ブエミとフェルナンド・アロンソとのトリオで、日本人として初となる、4輪のサーキットレースでのFIA世界チャンピオンに輝きました。

■前シーズンからの連続優勝記録を「9」に更新

この日TGRは、WEC史上初の、シーズン全戦での勝利と言う新たな記録を打ち立てた。2012年の参戦以来通算70戦目となったこのレースで、また前シーズンからの連続勝利記録も9へと伸ばしたかたちだ。

バーレーンの2連戦で、全てのセッションを1-2で占める完璧な戦いを見せたTGRの2台は、この日も最前列グリッドを占めてスタート。しかしその直後、3番手グリッドからスタートしたアルピーヌ36号車の先行を許す。2台のGR010 HYBRIDは離されることなくトップに食らいつき、10周目には揃ってアルピーヌをかわし1-2体制を確立した。

中嶋がドライブするGR010 HYBRID 8号車は歓喜で迎えられた(C)TGR

レースは折り返しの前に日没を迎え、夜間の戦いに突入。この時間、8号車が首位に立ち、7号車との差を広げていく。6時間が経過した頃、8号車はギアシフトのトラブルに見舞われ、ピットイン時にステアリングの交換作業を余儀なくされましたものの、この作業は予定のピット時間に対し、数秒のタイムロスで解決、2台の差は僅かに縮んだものの、8号車は首位を守った。

最終スティントでは、中嶋が8号車をドライブ。WECでの最後の走りを披露した。2012年1月にTS030 HYBRIDでの初走行から10年に渡るWECでの中嶋の戦いは、現地時間午後10時に、彼がドライブする8号車がトップでチェッカーを受け、幕を閉じた。そして、7.351秒後にロペスの駆る7号車が2位でフィニッシュし、この瞬間7号車の小林をはじめとする3名が2021年ドライバーズチャンピオンに輝いた。

TOYOTA GAZOO Racingチームオーナーでもある豊田章男社長は「ハイパーカー最初の年に6戦全戦で優勝してくれました。しかし、それらが決して楽な勝利でなかったことはわかっています。そんな2台のクルマをチャンピオンカーにしてくれたこと本当に感謝しています。可夢偉とマイクとホセはドライバーズタイトルもおめでとう! ル・マン優勝おめでとう! ドライバーズチャンピオンもおめでとう! この両方を言えていなかったのでようやく言えてホッとしました。本当によかった!!」まずは祝意を述べた上で「一貴は2012年からこの挑戦に力を貸してくれていました。10年間、戦ってくれたレースの距離はおよそ3万キロ。シーズン前の30時間走行テストなども考えればもっと長い距離かもしれません。耐久レースという本当に過酷な道の上でトヨタのハイブリッドを鍛え続けてくれたこと感謝しています。このハイブリッドの進化は今の世の中、そしてこれらからの世の中にも大きく関わっていくものになっていると思います。3万キロの戦いをありがとう」と勇退する中嶋への感謝のコメントを寄せた。

さらに「これからも“トヨタのもっといいクルマづくりのため” “モータースポーツのため”そして“自動車産業のため”に一緒に戦っていってほしいと思っています。引き続き、力を貸してください」と今後の活躍への期待を滲ませた。

◆ル・マン3連覇、FIA殿堂入りの中嶋一貴がGAZOO勇退

◆小林可夢偉組が悲願の初優勝! “ハイパーカー元年”にトヨタは4連覇達成/ル・マン24時間決勝レポート

◆初走行のオートポリスを誰よりも知り尽くしていたアレジ

文・SPREAD編集部


この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします