キプチョゲはなぜ結果を出せる?…3つの角度で師と仰ぐ、コーチとの深い信頼関係

マラソン世界記録保持者であるエリウド・キプチョゲ選手が来日し、自身のコーチであるパトリック・サング氏とともに、日本の陸上競技選手やコーチに向けた「ナイキ エリート ランニング キャンプ」と称されたトレーニングセッションを11月10日に駒澤大学で行った。

セッションでは、自身とコーチの関係性などについても明かした。

キプチョゲ選手は2018年9月16日に開催されたベルリン・マラソンで、これまでのマラソンの世界記録を1分以上更新し、2時間1分39秒の世界記録で優勝を果たした選手。

エリウド・キプチョゲ選手

トレーニングセッションには、設楽悠太選手(ホンダ)、村山謙太選手(旭化成)、村山紘太選手(旭化成)、中村匠吾選手(富士通)といった陸上競技選手や、各大学の陸上部監督・選手計30名前後(駒澤大学、東洋大学、中央大学など)が参加した。

パトリック・サング氏

キプチョゲ選手のコーチであるパトリック・サング氏は、1992年バルセロナ五輪に出場し、3千メートル障害で銀メダルを獲得した元陸上選手。キプチョゲ選手にとっては同郷の偉大な先輩とも言える。

パトリック・サング氏

3つの角度で師と仰ぐ

キプチョゲ選手にとってサング氏は、「競技コーチ、ビジネス分野でのコーチ、人生のコーチ」という3つの角度で師と仰ぐ存在であるという。日頃よりトレーニングの話だけではなく、人生論まで話し合う。

選手としてのキャリアを歩みだした瞬間から、サング氏の指導を仰いでいる。

そんなキプチョゲ選手がサング氏からしばし聞くアドバイスは、「スタートラインに立てば自分は最高だと思えるようにする」というものだ。言葉にすると単純なものとなるが、密な信頼関係があるからこそ、こうした言葉が効いてくるのだろう。

「コーチがちゃんと選手の才能だけじゃなく、あらゆる面をサポートしてくれる。だからこのような成功がある」と感謝の言葉を連ねていた。

キプチョゲ選手の練習に対する意識

サング氏にとってもキプチョゲ選手は特別な存在だ。

私は彼のコーチができてラッキーだ。信頼関係もある。トレーニングもチャレンジ精神にあふれているし、決意もできる。あたたかい心をもって仲間に接する素晴らしい選手だ

また、練習への意識も「特徴的」だという。「彼は18歳からどんなトレーニングを与えても、『なぜこの練習をするか?』と聞かず、やるべきだと理解してやってくれるのでコーチとして楽だった」と語った。

キプチョゲ選手は若い時から、練習の意義について説明するまでもなく、自身のなかで理解し、消化できる能力を備えていたのだという。

「選手が気楽にトレーニングできるように」

最後に、コーチをする上で心がけていることについて明かした。

「選手はそれぞれ違うということ。能力だけじゃなくてどんな心持ちでいるかを気にかけている。選手の心を軽くするように。心が開いているとコーチがしやすい。選手が気楽にトレーニングできるように意識している

《大日方航》

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