【スーパーフォーミュラ】野尻智紀が4戦連続PPでランキング1位堅持  一発の速さが王者決定に影響する熾烈な予選を見よ

本戦は3位ながら4戦連続PP奪取で首位堅持の野尻智紀(C)JRP

ファンの間では “ドラマチックSUGO”というキャッチコピーが浸透している。

そのキャッチ通り、今回のスーパーフォーミュラ第5戦もスタート直後にいきなりセーフティカーが導入され、そのリスタートでも1台がクラッシュしセーフティカー、その間にピットインが可能になる10周目が訪れ12台が一気にピットに流れ込むというイレギュラーな展開に。

そこでピットインした上位がどうリードを守っていくのか、ステイアウトし前に出た中団がそこからマージンをどのくらい築けるのか…その勝負となった。

ところが結果的にステイアウト組が大逆転劇を演じるようなドラマには至らず、2番手からスタートでトップに立ったサッシャ・フェネストラズKONDO RACING)がそのまま優勝、素早いピット作業で3番手から1つポジションを上げた大湯都史樹(ナカジマレーシング)が2位というちいさな波乱に留まった。

SUGOといえばもうひとつ特徴的なのが、コース全長が約3.5kmと短いことだ。約5.8kmの鈴鹿と比べると60%程しかない。したがってもともと僅差で争われるスーパーフォーミュラの予選はもっと僅差の争いとなるため、かなり見応えがある。路面温度が40℃を超える真夏のコンディションとなったことで、タイヤパフォーマンスのピークが出せるのはおそらく1周。コースが短いゆえ間合いをとるのも難しく、コース幅も狭いのでアタック中にペースの遅いクルマがいた場合、相手がうまく譲ってくれたとしてもタイムロスが全くなしとはいかない。そんな条件下での今回の予選は予想通り、かなりしびれる展開となった。

◆第4戦を制し2勝の平川亮とランキング首位を堅守する野尻智紀のチャンピオン争いを左右するもの

■野尻智紀が通算11度目のポール獲得

予選Q1Aグループでは、トップからQ2に進出できる6位までのタイム差は約0.4秒。Bグループに至ってはなんと、約0.15秒の中に6台がひしめくことになった。こうなると、Q2では誰がポールを獲ってもおかしくない。セッティング、ドライバー力、アタックタイミング、タイヤウォーミングアップ、全てにおいて100%が1周の間に出せるのは誰か、の勝負だ。

そこでポールを獲得したのが、ディフェンディングチャンピオンで今季もここまで選手権をリードしている野尻智紀(チーム無限)。これで4連続、通算では11度目のポール獲得となった。驚くべきは1分04秒349というタイムだ。SUGOのスーパーフォーミュラ予選で2位のフェネストラズに0.35秒差をつけたのは、脅威の速さだとしか言いようがない。

決勝ではまたもトップを守ることができず3位に終わった野尻だが、ランキング2位の平川亮(チームインパル)が7位に終わったことで、選手権ポイントではそれまでの7ポイント差から17ポイント差へとギャップを広げることに成功した。そのトータル81ポイントのうち、12ポイントが予選ポイントだ。もし最終的に予選ポイントがタイトルへの決め手となったとしたら、予選ポイントがなかった時代からのファンはどう思うだろうか。

F1にはない予選ポイント、他のレースでもポールの1点だけというケースが多いのに対し、最高3ポイントが与えられるスーパーフォーミュラは、クルマとドライバーの純粋な速さを競う予選の価値を上げているようで喜ばしいと感じている。スーパーフォーミュラの予選は、グリッド順を決めるだけものではないではない。

決勝にも匹敵する熾烈な争いが見られ、それがタイトルに大きく反映される。観客動員数を毎回見ていると、予選日は決勝日の半分ほどしか来場していないことがほとんどだ。いずれ、土曜日の予選も見たい、いや、予選をむしろ見たいというファンも増えるのではないだろうか。

◆KONDO RACINGのサッシャ・フェネストラズがSF初優勝 PP野尻智紀はジンクス破れず3位

◆第3戦は松下信治が初優勝 負けてなお貫禄のチャンピオン野尻智紀

◆ダブルヘッダーの開幕2戦、もっとも躍動したのは前年チャンピオンの野尻智紀

著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。


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