■滝を見ながらのランは爽快そのもの
オレゴン州南部にあるクレーターレイク国立公園の見どころは、その名のとおり、火山の噴火によるカルデラ湖。いわば、スケールの大きな十和田湖だ。水深597メートルは、アメリカで一番深い湖として知られている。
訪れた5月末は、まだ雪が残り、ほとんどのトレイルは閉鎖されていた。観光の中心、リムビレッジから延びる、リムを周回する有名なトレイルも雪の中だ。しかし、へこたれるわけにはいかない。何とか雪をかきわけ、ディスカバリーポイントまでのたった1マイル(1.6キロ)をなんとか踏破した。最盛期なら人混みのトレイルだが、さすがにすれ違ったハイカーは数人だけだ。
夏になり、リムを降りて湖畔からボートに乗るトレイルもオープンしたようだ。かなりの難コースと聞いているが、この湖にボートを漕ぎ出す快感は想像を絶する。
ワシントン州北西部のオリンピック国立公園は、温帯雨林という特異な気候が生む森の景観が見どころ。まずは、クイノールト湖のトレイルヘッドから伸びる、初心者コースのレインフォーレスト・ナチュラル・トレイルに入った。
さまざまな苔が木と共生する不思議な景色にカメラを向けていると、「エクスキューズ・ミー」と明るい声が響いた。なんと、若い女性3人組のトレイルランナーが背後から近づいていたのだ。
考えてみれば、この森こそランナー憧れのシングルトレイルではないか。翌日、歩くはずだった3マイル(4.8キロ)のゴットンクリーク・トレイルは、ランニングで挑戦することにした。
クリークを超え、滝を見ながらのランは爽快そのもの。ときに足を止めて撮影をしながら、トレイルを楽しんだ。国立公園を訪れるときは、どうぞランニングシューズを忘れないように。
■数多の国立公園では大自然がそのままに
カリフォルニア州北部のラッセン火山国立公園は、1915年5月22日に起きた大噴火によって激変した景観と、今も続く火山活動が見どころ。冬の間、周辺はウインタースポーツを楽しむ人たちで賑わう。
チェックインしたマンザニータ・レイク・キャンプ場から延びる、湖畔を一周するマンザニータ・ループ・トレイルを歩いた。ラッセン山のビューポイントでは、かわいいガチョウの親子にも遭遇した。
ふと足を止めて上空を見上げると、大きな鳥が悠々と滑空している。その様子を眺めていると、それは突然、ものすごい勢いで湖面にダイブした!
この湖はトラウト・フィッシングで知られている。きっと鳥はトラウトを狙っていたのだろう。しばらく歩くと、ランプで1人の老アングラーがボートを下ろしていた。「鳥がダイブしていましたよ」と話すと、親指を上げてニヤッと笑った。
アメリカでは釣りは立派なスポーツ。スポーツショップに行くと、必ず大きな売り場が確保されている。国立公園に行くときは、釣り竿も忘れずに。
世界で初めて国立公園を制定したのは、もちろんアメリカだった。1872年、イエローストーン国立公園が初めて指定された。広い国土を活かした数多の国立公園は大自然がそのまま残されている。その国立公園でのトレイル・ランニングは新型コロナ禍により、狭い島国に長らく閉じ込められていた心身を解放するには、うってつけだ。
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著者プロフィール
牧野森太郎●フリーライター
ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。


















