11月17日に行われた男子プロテニスツアー最終戦「ATPファイナルズ」準決勝、ロジャー・フェデラー選手対アレクサンダー・ズベレフ選手との一戦。
第2セット、ゲームカウント6-6で突入したタイブレークでのラリー中、コート隅に控えていたボールボーイがボールを落とし、コート内に足を踏み入れてしまうアクシデントが発生した。
ラリーを途中でストップしたズベレフ選手に対して、背後のボールボーイの動きが見えておらずアクシデントに気づかなかったフェデラー選手も審判に対して説明を要求。

審判に説明を要求するフェデラー選手(c)Getty Images
選手たち自身は極めて冷静にアクシデントに対処していたものの、フェデラー選手を応援するファンからズベレフ選手に対するブーイングが行われるなど、O2アリーナは一時騒然となった。
フェデラー選手は世界中に多くのファンを抱えるテニス界のスタープレイヤー。O2アリーナに駆けつけたファンの中にもフェデラー選手を応援するファンが多かった。

フェデラー選手を応援する観客(c)Getty Images
ズベレフ選手がラリーをストップしたことで流れが変わりフェデラー選手の敗北を招いたのではないか、というファンの思いが、ズベレフ選手へのブーイングへと形を変えた恰好だ。
決勝進出決定後のインタビュー、ズベレフ選手が真っ先に口にしたのは謝罪の言葉だった
ズベレフ選手はフェデラー選手との試合に勝利を収めた直後のインタビューに向かう。ブーイングがまだ鳴り響く中でズベレフ選手が真っ先に口にしたのは、謝罪の言葉であった。

(c)Getty Images
「まず最初に、タイブレークで起きたことについて謝りたい。ボールボーイがボールを落としてしまったので、ルールに従いプレーをやり直す必要があった。」
続いて、フェデラー選手にも握手の際に謝罪をしたこと、フェデラー選手からは「気にすることはない。ルールに従っただけなのだから」と返答があった旨を言葉にし、重ねてフェデラー選手のファンに対しても謝罪をしている。
ズベレフ選手の対応はルールに基づくものであり、本来非難されるいわれのないものであった。それでも真っ先に謝罪の言葉を口にしたことに、ファンからはズベレフ選手を称賛する声が出ている。
What a gentleman! he didn’t need to appologize tho, he did nothing wrong. And all of you crybabies in the crowd need to learn some manners and grow up. Again well deserved Sascha! #Zverev #NittoATPFinals #teamsascha https://t.co/CUeK4slue8
— Soukayna Oufdil (@Soukayn10614408) 2018年11月17日
@sascha_zverev you are gentleman, don’t apologise for the rules, you are the next generation you deserved to win
— Matt Stevens (@Stiglar5360) 2018年11月18日
ズベレフってめちゃくちゃ良い奴やん
— Yuya@sw (@yuyaohashi0903) 2018年11月17日
アクシデントがあってのズベレフのロジャーへのコメント、大坂なおみちゃんの全米のコメントに被って、泣ける。態度、立派です。決勝進出、よかったね
— 桜水⭐M-DAY (@m14oSeiG1w0) 2018年11月17日
ナイスゲーム!
いい試合だった〜
ズベレフの良い人間性も見れたし本当にこれからが楽しみ— SpringRiver (@seishiro_tgm) 2018年11月17日
フェデラーも見せた紳士な対応…ボールボーイに対する気遣いも
一方で敗戦してしまったフェデラー選手。アクシデントが見えていなかったフェデラー選手からしてみれば、ラリーを突然ストップされてしまい、リズムを狂わされたと感じても仕方のない場面だった。
しかし、試合終了後の握手の際にズベレフ選手から謝罪を受けたフェデラー選手は「謝罪の必要はない」と返答。期せずして非難を浴びる形となってしまったズベレフ選手への配慮の態度を示した。
フェデラー選手の紳士な対応はこれだけではない。試合後の記者会見では改めてズベレフ選手について「ブーイングをすべき選手ではない。」とコメント。
“He apologised to me at the net and I was like ‘Buddy, shut up! You don’t need to apologise.'”
Federer weighs in on the Zverev ballboy incident…#NittoATPFinals pic.twitter.com/FldxG5Tcmx
— Tennis TV (@TennisTV) 2018年11月17日
さらには騒動の発端となってしまったボールボーイにも言及。「問題はない。これは起こり得ることだった。彼がよく眠れることを祈っている」と慮る態度を見せた。
大坂なおみの全米OP制覇の際にも起きたブーイング騒動
ルールに従ってプレーし勝利を収めた選手に対してブーイングが起きてしまう事態……。同様の騒動は、今年9月、全米オープンを制した大坂なおみ選手に対しても起きていた。
地元アメリカのセリーナ・ウィリアムズ選手を破って優勝した大坂選手にファンがブーイングを浴びせたのだ。
ブーイングの発端はセリーナ選手に対して厳しいジャッジを行った審判に対するものであったが、大坂選手が思わず涙し、今回のズベレフ選手と同様にファンへ謝罪したことは記憶に新しい。

(c)Getty Images
大坂選手の件と今回のズベレフ選手の件とで共通しているのは、どちらも重要な試合でレジェンドとされる選手を打ち破るというシチュエーションにあったことだ。
世界でその名を知られるプレイヤーにはそれだけ多くのファンがいる。自らが応援する選手にネガティブなアクシデントが起きた時の不満は、本来非難されるべきではない相手選手に向かってしまう。
しかし、一方でどちらの件ももう一つ共通することがある。それは、ブーイングを受けた選手が紳士な態度を示すことで、結果的にはより多くのファンを魅了することになった点だ。
テニスに限らずスポーツの世界では予期せぬアクシデントは起こり得るもの。しかし、ほんの少しの差が勝敗を分けてしまうトップレベルの世界では大きな注目を集める騒動となってしまう。
そうなった時にこそ、アスリートの人間性は垣間見える。ATPファイナルズ準決勝で起きたアクシデントは結果的にはズベレフ選手とフェデラー選手の紳士さを再確認するきっかけとなった。
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