【超RIZIN/RIZIN.38】朝倉未来のメイウェザー戦、「2ラウンドKO劇」は起こるべくして起きたのか 試合展開の“舞台裏”を分析して振り返る

 

【超RIZIN/RIZIN.38】朝倉未来のメイウェザー戦、「2ラウンドKO劇」は起こるべくして起きたのか 試合展開の“舞台裏”を分析して振り返る
第4試合:フロイド・メイウェザーvs.朝倉未来(C)RIZIN FF

■2ラウンドKO劇は“必然”だったのか

これまでのキャリアでKO負けのなかった朝倉が、初めてパンチで立ち上がることができなかった。一撃で朝倉をなぎ倒したようにも見えたが「最後のパンチはそんなに強く打っていない。そこまでの積み重ねで倒れた」とメイウェザーは言う。

映像を振り返ると、確かに第2ラウンドにメイウェザーのボディ打ちで朝倉が若干“くの字”になっている。深刻なダメージがあったかは定かでないが、このボディが布石となり、フィニッシュに繋がったのかもしれない。それだけではなく、KOパンチの直前にメイウェザーの右が朝倉のアゴ下辺りにヒットしている。第2ラウンドに入ってのダメージの蓄積がフィニッシュに繋がった可能性もある。

メイウェザーは「試合前に日本の親しい友人から『第1ラウンドは伸ばして、第2ラウンドに倒してほしい』と言われ、そのリクエストに応えた」と2ラウンド決着となった理由を語る。この言葉がジョークなのか、真意なのかは定かではない。

「彼(朝倉)の打撃を受けて、こっちもボディに強めの打撃を入れて『そのつもりならこっちも』とメッセージを送った。彼は笑って舌を出したりしたので遊ぶつもりか、じゃあ、こっちもやってみるか」と試合中の心境を明かしている。メイウェザーのエキシビションは「相手がその気なら、これくらいは攻撃を返すぞ」といった心境から、展開が生まれていくようだ。

第1ラウンド終了時、朝倉は笑顔だった。試合中にはメイウェザーのパンチがかすめるたび笑い、舌を出すシーンもあった。そんな朝倉を見てメイウェザーも少しずつ本気度を増していったのだ。相手が朝倉だったからこそ名勝負が生まれた。なぜなら、朝倉がKOを目指して勝負をかけたからこそ、メイウェザーも大きな見せ場を作ったのだ。相手に合わせつつ、自身のレベルの高さを見せる。それこそがメイウェザーのエキシビションの魅せ方なのかもしれない。

朝倉は試合後インタビューで「よく記憶がなくて、映像を見返したけれどなぜあれで倒れたのか謎。めちゃめちゃ頭が痛いです。多分ですが、気を抜いていたのかも。第1ラウンド終了の時に様子を見て終わったから、次もそんな感じで来ると思っていました」 と話している。

「なぜあれで倒れたのか謎」の言葉が、メイウェザーとの実力差を物語っている。可能性としては、第2ラウンド以降にヒットしたパンチのダメージの蓄積、見えない角度からのパンチを被弾してしまったことなどが考えられる。朝倉は「全部が凄かった。凄い反応速度とすべてのレベルが異次元でした」と語っている。

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■朝倉の見据える先、メイウェザーは三度の来日か

朝倉は初のボクシングルール挑戦で、MMAファイターとしてのスキルアップを確信。「普通の人にはできない体験をしたし、MMAの選手として成長した。凄くボクシングテクニックが向上していると思う。オープンフィンガーならもっとパンチが速くなる。メイウェザーとここまで戦えたのは自信になります。MMAの選手には今後負けないよって思います」と語るほど。

朝倉のファイトスタイルは、得意なパンチと蹴りで試合を作るストライカー。今回のボクシング練習で得たアッパーのカウンターや飛び込みのフックなど、MMAの打撃に応用できる部分は多いにある。今回の学びをMMAの練習に落とし込み、リングに戻ってきてほしい。

一方のメイウェザーは、今年11月にはドバイでボクシング経験もあるYouTuberで、プロボクサーのKSIを兄に持つ弟・デジとのエキシビションが控えている。自身は「ボクシングを引退した身」との立場を明確にしつつ「これ以上、エキシビションで自分の身体に余分なダメージを伴うリスクは負わない。この先は自分がやりたいことをやり、それで楽しく世界中のみんなにエンターテインメントを届ける」と話している。

現役を退いた存在でありながら、世界中のエキシビションに参戦するメイウェザー。現役ボクサーではないからこそ、魅せられるエンターテインメントをこれからもファンに届けてくれるはずだ。試合後のマイクでは「また私は戻って来ます」と、三度の来日をほのめかす発言を残している。

■大騒ぎの“花束問題”「ごぼうの党」の奥野卓志代表に非難の声

メイウェザーと朝倉の試合前に、前代未聞の事件が起こっていた。プレゼンターを務めた「ごぼうの党」の奥野卓志代表が、メイウェザーに渡すはずの花束を、足元に投げつけてしまったのだ。リング上の花束贈呈は、今回販売されたNFTチケットの最高落札者の特典だった。
 
「RIZIN」の榊原信行CEOは「リング上でも謝罪しましたが、花束を投げ捨ててしまったことは予期せぬこと。品性下劣な男を上げてしまい、配慮が足りなかった。二度と起こさないようにお約束します。改めてお詫びをします。すみませんでした」と謝罪。「超RIZIN」が盛り上がりを見せたこと、海外中継もあったことで、より今回の事件に大きな注目が集まり炎上する結果になってしまった。今後の再発防止が求められる。

■総合力で上回った堀口、フライ級への転向視野に

一方の「堀口恭司 vs. 金太郎」戦を振り返ってみよう。

試合序盤はスタンドの展開に。金太郎はいつも通りの金太郎を貫き、蹴りに対しての左のカウンターでフラッシュダウンを奪う。堀口の攻撃に対して、冷静にパンチや蹴りを合わせる戦法で“あわや”の場面を作った。フラッシュダウンを奪取した際は、無理には倒しに行かなかった金太郎。

だが、第2ラウンドに堀口高速タックルで一気にテイクダウンに成功。金太郎にとっては耐えどころだったが、さすがは海外経験の豊富な堀口。すぐにパスガードして、マウントポジションに。そこから肩固めで金太郎を極め切って勝利した。金太郎も一撃で試合を終わらせてくれるという期待感をファンに持たせ、一方の堀口も総合力で上回るという熱戦が生まれた。

試合後には、所属ジムコーチのマイク・ブラウンからは「何やってんだお前、もっと最初からテイクダウンに行け」と怒られてしまったという堀口。今後は減量が4キロほどしかないことから、フライ級への転向を見据えている。ちなみに、UFCとは異なりベラトールには男子フライ級がない状態。フライ級に落とす場合は、階級創設からのスタートとなる。RIZIN参戦の場合は、「RIZIN.37」でベテラン所英男を下したホープ、神龍誠など若手も対戦候補に挙がってくることになりそうだ。

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文●吉田崇雄

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