【CHIMERA A-SIDE THE FINAL】日本のエース堀米雄斗が見せるスケートボードの魅力と今後の展望 織田夢海がストリートリーグ・スーパークラウンへ向けさらに加速 前編

「キメラAサイド・ファイナル」で声援に応える堀米雄斗 撮影:小嶋勝美

賞金総額6000万円の世界大会、キメラAサイド・ファイナルCHIMERA A-SIDE –THE FINAL-)は10月29日、30日、さいたまスーパーアリーナで開催され、スケートボード、BMXフリースタイル、BMXフラットランドの3種目が行われた。

前回の開催が2020年1月26日だったので、コロナ禍での影響により2年ぶりの開催となった今大会のスケートボード競技は、男女とも予選を1位で通過した堀米雄斗織田夢海が優勝。男子準優勝はオーストラリア出身のトミー・フィン、3位が根附海龍(カイリ)。女子準優勝は中山楓奈、3位に上村葵とそれぞれ表彰台に立った。

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■2020年以来、2年ぶりの開催

金メダル獲得で笑顔を見せる堀米と織田 撮影:小嶋勝美

前回大会は名古屋で開催され、その時はスケートボード界では絶対王者と言われるナイジャ・ヒューストンが来日、東京五輪の開催前に日本で堀米雄斗とナイジャ・ヒューストンの競演が見られるとあって、多くのスケートボードファンが歓喜し、伝説的な1日となった。

そして今大会も、世界で活躍する中山楓奈を始め、オーストラリアを代表するトミー・フィンやオランダ代表の実力派で東京五輪にも出場したロース・シュウェツルート、12歳ながらX Gamesなどの国際大会で結果を残しているクロエ・コベルなど、国内外を含めた招待選手と、国内予選を勝ち抜いてきた選手によって、日本で行われる大会としては夢のような賞金額(男子は優勝賞金1,000万円、女子は300万円)をかけた戦いが繰り広げられた。

残念ながら前回王者のナイジャ・ヒューストンは怪我の影響からか(今年8月に本人のSNSで膝前十字靭帯損傷を手術した事を発表)今大会の出場はなかったが、ビッグコンテストでの堀米雄斗・織田夢海の活躍に迫ってみた。

■優勝賞金1000万円、夢の大会・キメラAサイド

撮影:小嶋勝美

まずは前回、2020年1月に開催されたキメラAサイドから振り返ってみよう。東京オリンピックイヤーだっただけにその盛り上がりは凄まじく、テレビ各局から新聞社各まで多くのマスコミが駆け付けた。そのお目当てはもちろん、日本のエース堀米雄斗とアメリカの絶対王者ナイジャ・ヒューストンとの戦い。

絶対王者に立ち向かう堀米の構図に、スケートボードファンなら誰もが注目した大会の結果はナイジャが優勝、堀米が準優勝という結果だった。もちろん注目はこの2人だけにとどまらず、ジェイミー・フォイやかつての堀米のルームメートのダショーン・ジョーダンなど、今もコンテスト・ストリート共に最前線で活躍する人気スケーターや、オーストラリアを代表するスケーターのトミー・フィン、ジェイク・イラーディ、トム・アスタなど世界中から認められているスケーターが参戦。

日本勢からは東京五輪に出場した青木勇貴斗、白井空良に加えて、海外からのデッキスポンサーを受ける実力派スケーターの池慧野巨(ケヤキ)、根附海龍(カイリ)が出場し大健闘した。

当時、日本開催の大会としては考えられないようなメンツを集める事を可能にした、夢のようなコンテストがキメラAサイドだった。

■すぐに控えるストリートリーグ・スーパークラウン

今大会が終われば堀米、織田、中山はすぐに11月5日~6日にブラジルで行われる、ストリート種目世界最高峰のスケートボードコンテスト、ストリートリーグStreet League Skateboarding 通称SLS)の最終戦の世界選手権・スーパークラウンに挑む形になる。
堀米と織田はSLS今期の結果からスーパークラウンのファイナルに出場が決まっており、中山は予選からの出場となる。

スーパークラウンの顔と言えば、SLS通算23回の優勝を誇るナイジャ・ヒューストン(2022年11月1日時点)。

今年の主な国際大会では、7月3日に開催されたパリ五輪予選・ローマ大会で優勝。同18日に行われた2022年SLS初戦のジャクソンビル大会は5位。同じく25日に行われたX Games南カリフォルニア大会5位を最後に、膝前十字靭帯損傷を負い8月(SLSシアトル大会)10月(SLSラスベガス大会)を相次いで欠場した。11月5日から6日に開催予定のSLSスーパークラウン予選への出場も10月24日に投稿されたストリートリーグのInstagramでナイジャ・ヒューストンの欠場が発表されている。

スーパークラウンに関して言えば、堀米は2019年に行われたスーパークラウン(東京五輪予選の最終戦も兼ねて行われた大会)2位が最高位。

今大会でのインタビューで「スーパークラウンのトロフィーと東京五輪の金メダルどちらが重いですか」と質問した所「どの大会も自分にとっては大事な大会だけど、ストリートリーグは自分が小さい頃からずっと見ていた大会で、そこで優勝したいという夢は叶えたけど、スーパークラウンの(優勝)トロフィーだけはまだ持っていないので、来週はスーパークラウンのトロフィーを持って帰りたい」と話してくれた。

■堀米が引き出しの多さとメイク率の高さで制す

堀米雄斗のノーリーバックサイド270ボードスライド 撮影:小嶋勝美

キメラAサイドファイナルは、50秒間コース内で自由に技を披露するランを2本と、一発技のベストトリックを5本行い、ランの最高得点とベストトリックの上位3本の合計得点で順位が競われる。

1本10点満点で、最高得点は40点、審査基準は「難易度・完成度・オリジナリティ・バリエーション・リスク」となっている。つまり上位に入るにはランを1本はフルメイク(ノーミスで滑りきること)し、ベストトリックは最低でも3本メイク(成功させる)させる事が必須になってくる。

その上で、今大会特徴的だったのが、男子決勝でのベストトリックだった。1本目のベストトリックはなんと、トミー・フィン以外全員がミスしてしまう展開に。これはトミー・フィンが精神的にかなり優位にコンテストを進められたのは言うまでもない。結果的に言うと、今大会のベストトリック5本中3本以上メイク出来たのは、堀米雄斗と準優勝のトミー・フィンだけだったのだ。

堀米雄斗/ノーリーフロントサイド270ボードスライド(撮影:小嶋勝美)

大会終了後のインタビューで堀米は1カ月半前に右膝を負傷しており、今大会も前日まで出場出来るかわからない状態だったという。それでもしっかり滑りきれたのは、これまで様々な国際大会で滑ってきた経験と、やはりトリックの引き出しの多さにあると感じた。

堀米雄斗の代名詞と言えば、ノーリー270ボードスライド(利き足とは逆の足でノーズと呼ばれる板の先端を弾いて飛び上がり、空中で270度回転してレールを滑り降りる技)だが、この技で言うと、今大会のベストトリックで決めたのはノーリーバックサイド270ボードスライド(2本目9.0点)とノーリーフロントサイド270ボードスライド(3本目8.4点)だったのだが、他にも堀米にはさらに高得点を狙えるノーリー270リップスライドという技がある。他にもスイッチ360フリップリップスライドなど多数あるが、リップスライドは空中での回転する方向がボードスライドに比べて難しい為、得点が高くなる。

膝の影響もあって大会の展開を見極め、それらを温存していたのかは不明だが、自身の持つ最高難度の技を出さずとも優勝してしまうあたりはさすがである。

堀米雄斗のスイッチバックサイド180ヒールフリップ  撮影:小嶋勝美

ベストトリック最後には、膝を痛めている中でのウィニングランであるにも関わらず、6段ステア(階段)でスイッチバックサイドヒールフリップ(利き足と逆側のスタンスで飛び上がり、空中で180度回転しながら板を縦に1回転させる技)をメイクし観客を沸かせる姿にはもう脱帽だった。

>>>後編へ続く
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■著者プロフィール

小嶋勝美●スケートボードライター

放送作家で元芸人のスケーター。スケートボード歴は一応25年弱。


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