【カタールW杯】日本、韓国、豪州がベスト16進出 欧州に次ぐアジア勢大躍進の背景

 

【カタールW杯】日本、韓国、豪州がベスト16進出 欧州に次ぐアジア勢大躍進の背景
韓国代表のソン・フンミン (C) Getty Images

■「欧州囲い込み」戦略に対する日本サッカー協会の努力

しかし、ブラジル大会で未勝利に終わった頃のアジア勢には、その結果以上に険しい未来が見えていたはずだ。近年のサッカー界は代表チームよりもクラブ優先の構図が著しい。大きなお金が動く一大ビジネスだからだ。代表戦の魅力そのものが失われることはないだろうが、そのあり方に関しては変化が求められている。

UEFA(欧州サッカー連盟)が2016年大会から欧州選手権『EURO』の出場を従来の16から24へと拡大し、2018年から代表戦の新たなコンペティション『UEFAネーションズリーグ』をスタートさせたのは、その一環だ。これまで親善試合に過ぎなかった代表戦が全て公式戦となったことで、試合の価値が上がり、新たなスポンサー獲得とチケット収益増も見込めたからだ。これで欧州各国の代表戦ウィークはW杯予選とEURO予選、ネーションズリーグで完全に埋まってしまった。この「欧州囲い込み」戦略で割を食ったのは、欧州の強豪国と強化試合を組みたいアジア勢だった。

また、FIFAのルールとして、現在の代表戦は各国リーグがない週末を挟んだ木曜日か金曜日に1試合、火曜日か水曜日にもう1試合の合計2試合を「国際Aマッチウィーク」として戦うスケジュールとなっている。その中で「長期移動による負担をかけないため、その2試合は同じ大陸で行わなければならない」のも大きなハードルとなった。

それでも日本サッカー協会(JFA)は考えた。韓国やイランの協会と協力して強豪2カ国をアジアに招き、2試合を交互に戦うマッチメイクも実行した。現在は欧州でプレーする選手が多いため、欧州でブラジルら南米の強豪国と対戦する強化試合も行った。これにはJFAの拠点が欧州にも新設されたことで、欧州の地で代表戦を戦うこともスムーズになった背景もある。

こうしたアジアの強豪国同士の協力があってこそ、W杯本大会の決勝トーナメントへ史上最多3カ国が進出する流れができたのだ。ピッチ外でも欧州勢との対戦を続けて来たアジア勢のさらなる躍進を期待したい。

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文●新垣博之(しんがき・ひろゆき)

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