■経験と成長を両立させた王者

W杯2連覇を狙うフランス(C)Getty Images
FIFAランキング4位のフランスはエンゴロ・カンテやポール・ポグバ、カリム・ベンゼマなどの主力が負傷欠場。しかし、前回王者が苦戦するというジンクスを感じさせない戦いで2大会連続の決勝にたどり着いた。負傷した選手に替わるタレントが次々に現れる選手層の厚さは世界随一であり、選手としても監督としてもW杯を制してきたディディエ・デシャン率いるチームは経験を活かしつつ、成長を両立させてきた。
攻撃においては前回大会を知るキリアン・ムバッペ、オリヴィエ・ジルー、アントワーヌ・グリーズマンらが健在。ムバッペは5得点2アシストと躍動し、エースとしてチームを牽引してきた。独力で違いを生み出すことができるその爆発的なスピードは、分かっていても止められない凄みがある。パリ・サンジェルマンのチームメートであるメッシとの得点王争いとW杯制覇を懸けた戦いは見どころである。
また、ここまで4得点のジルーは前線のターゲット、ムバッペにはない強みがある。準々決勝のイングランド戦のようなムバッペのスピードが封じられた場合でも、サイドからのクロスはフランスの武器となる。また、トップ下を務めるグリーズマンは4ゴールを決めた前回大会のようなフィニッシュに絡む局面は減ったものの、攻守にわたる貢献度は高く、準決勝のモロッコ戦でも守備に奮闘する姿が見られた。
■新たなアイコンとして名を刻むか
フランスが連覇を果たすためには攻撃陣の奮闘はもちろんのこと、守備陣もカギを握ってくる。そんな中、カンテやポグバに代わる新たな中盤のキーマンとして君臨するオーレリアン・チュアメニや、最終ラインのダヨ・ウパメカノ、ジュール・クンデといった若手の台頭は頼もしい。経験値を備えた主力と、成長著しい若手が融合した前回大会にはない新たな強みはアルゼンチン相手にも生かされるだろう。史上3カ国目の偉業達成に向けて、攻守に隙の少ないチームが生まれている。
そんな中でも、球際で粘り強く戦ってくるアルゼンチン相手に最終局面で頼りになるのはやはりムバッペ。“最後のW杯”として挑んでいる35歳のメッシに対して、23歳と一回り年の離れたムバッペが引導を渡し、新たな時代のスターとしての地位を不動のものとできるか。メッシやクリスティアーノ・ロナウド、ルカ・モドリッチなどのベテランが集大成を迎えた今回のカタール大会において、新世代の旗手の出現が求められている。
メッシを最大限に生かしたインテンシティーの高いフットボールで、2大会ぶりの決勝に進んだアルゼンチンが悲願のW杯奪取となるか。前回大会からアップデートを重ねて総合力でファイナルに進んだフランスが王者を守り切るか。互いの意地を懸けた一戦で1カ月に渡ったW杯の舞台もクライマックスを迎える。
◆フランス、過去7大会で4度目の決勝進出 ジダン擁した1998年と前回ロシア大会で優勝
◆得点王争いはムバッペとメッシの両雄が決勝で“直接対決”へ ジルー、アルバレスが続く4つ巴の展開に
◆メッシを上回る「0.57」のスタッツ アルゼンチンを36年ぶり優勝へ導く“キーマン”はJ・アルバレス
文●井本佳孝(SPREAD編集部)















