無良崇人が、フィギュアスケート選手を引退したからこそ気づけたこと

1月7日〜3月3日まで、東京ミッドタウンにて「MIDTOWN ICE RINK in Roppongi」が開催される。このイベントは、六本木の屋外に設置されたアイスリンクで、誰でも気軽にスケートを楽しめるというもの。

開催初日の1月7日にはオープニングセレモニーが行われ、浅田真央さんや無良崇人さんらが参加した。セレモニー後、編集部は無良さんに現役を引退してから変化した心情などについて話を聞いた。(聞き手・撮影=大日方航)

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2018年3月にフィギュアスケート選手を引退し、プロに転向した無良さん。現在は浅田さん率いる『浅田真央サンクスツアー』に出演し、アイスショーを各地で行いながら全国を巡っている。今年は北海道から沖縄まで全国21カ所で開催予定だ。

撮影=大日方航

引退したいま、気づけたこと

—:引退した今だからこそ、気づけたことなどはあるでしょうか。

無良:今くらい、演技に対しての探究心が現役の時にあったらまた違ったのかな、という思いもあります。でも、離れてみたからこそ得られた感覚なのかな、と。アイスショーの数をこなせばこなすほど、感じる部分がたくさんあります。

まず、競技をやっている時は「成功する、失敗する」っていう技術的な部分に目が行きがちでしたし、4回転の成功率が低いと自分の気持ちも「うーん、なんでなんだろう」と落ち込んでしまうことも。

そういう技術的なところが主になってくると、競技中は「次ジャンプする時にどういう動きをしよう」とか、そういうことを考えていました。

それが今は、4回転とかどうこうじゃなくて、「いかに見ている人を楽しませられる演技ができるか」という風になってきています。

だから、指の一つ、足先の一つの動きへの意識が、競技をやっていた頃とは全然違う感覚ですね。

(c) Getty Images

「自分の気持ちも豊かじゃないと、演技も豊かにならない」

—:多忙な無良さんですが、プライベートとスケーターとしての活動は分けられていますか?それとも、関連するところも多いのでしょうか。

無良:すごく得られるものがあったらスケートにも活かしますが、気持ちを切り離していないと休めないときもありますし、うまいバランスの取り方ができている時は調子がいいなと思います。

—:調子がいい時は、オフの時間はどういった過ごされ方をしているのでしょうか。

無良:僕は出かけるのが好きなので、遠出をすることが多いですね。いろいろなところに行って、いろいろな景色を見て。綺麗だな、と感じたり、そういうふとした部分から感覚を養うというか。自分の気持ちも豊かじゃないと、演技も豊かにならないと思うので。

景色を見ていても「緑が綺麗だな」と思わない人は思わないだろうし。そういう感覚を自分が養っていくのも演技をする上では必要なのかな、と思っています。

(c) Getty Images

一つ一つのことにしっかり取り組むことの重要性

—:長年の競技生活を通して学べたことというのはどういったものがあるでしょうか。

無良:結局、日々の努力と、自分の気持ちをどれだけ前に向けて一つ一つをやっていくかってことですかね。

フィギュアスケートはジャンプ、スピン、ステップなどそういう一つ一つの動きが評価され点がつくという競技になっているので、どれに長け、どれが劣っているかじゃなく、全体的にバランスを上げていかなくてはいけないのです。

一つだけじゃなくて、これもあれも、と全体的にバランスを整えていく中で、一つ一つのことにしっかり取り組むことの重要性を競技を通して学びました。

—:現在の目標を教えてください。

無良:スケートに関しては、「どれだけ見に来ている方を感動させられるか」っていうかというところが自分のモチベーションです。

今年は特に忙しいので、しっかり体を疲れている状態からリラックスした状態に戻せるか。こうしたところを意識していきたいと思います。

取材後記

セレモニー後の囲み取材で、私は浅田さんに昨年のサンクスツアーを終えて、改めて無良さんのことをどういう存在だと認識しているのか聞いてみた。

浅田さんは、無良さんを小学校3年生から競技で関わってきた「幼馴染」のような存在だと明かした後、「サンクスツアーで、一緒にアイスショーを作り上げていくなかで無良っちの存在はすごく大きいですし、今まですごく助けられたので、これからも一緒にサンクスツアーを作り上げて行きたいと思っています」と無良さんに頭を下げていた。

確かに、チームとして何かを成し遂げていく上で、様々な気配りのできる無良さんのような存在は欠かせないだろう。その周囲に対する細やかな配慮のあり方は、私との短いインタビュー時間の中でも十分に伺うことができた。

スケートリンクを背景にして、無良さんの写真を撮影させてもらうタイミングだった。

無良さんは、数メートル先でとあるテレビ局が行なっていた浅田さんへの取材を妨害しないように声を潜め、他社のテレビカメラのアングルに自身が写らないように率先して撮影場所を調節したのだ。

取材する側の気持ちをここまで汲み取れる人は、そう多くない。私は素直に驚いた。こうした気配りができるからこそ、浅田さんをはじめとした多くの選手に頼られているのだろうと感じた。

短い時間でお話を伺っただけなので、無良さんが本当はどういった性格の人物なのかを把握することはもちろんできるはずもないが、少なくともサンクスツアーを完遂していく上で重要な人物であることは感じることができた。

《文・撮影=大日方航》

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無良崇人

1991年2月11日生まれ。千葉県出身。2007年の全日本ジュニアで優勝し、2008年全日本選手権で初めての表彰台となる銅メダルを獲得。

10年にわたりシニアで戦い続け、世界選手権には3度出場。2018年3月に選手を引退し、プロに転向。現在は『浅田真央サンクスツアー』に出演するほか、テレビ出演、フィギュアスケートの解説など幅広く活動している。

撮影=大日方航

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