■宮澤を輝かせる恩師と新システム
宮澤は現在のなでしこジャパンを率いる池田太監督が指揮した2018年の『FIFA U-20女子W杯』を制した優勝メンバーのひとり。決勝のスペイン戦で見事なミドルシュートによる先制点も挙げたが、当時は懸命にプレスバックしてボールを奪うなど、守備でもハードワークできるサイドアタッカーだった。
しかし、攻守両面で高い能力を兼ね備えることで、仙台での彼女はチーム全体の総合力を上げるために中盤でプレーすることが多くなり、自身のプレースタイルが確立されずに代表から外れることもあった。
そんな中、東京五輪後になでしこジャパンの指揮官に就任した恩師は、昨年10月から新システム[3-4-2-1]を採用。現在の宮澤は2列目のシャドーの役割を担う。
攻撃には「幅」と「深さ」が必要とされるが、幅とり役は「4」の両翼である左の遠藤純(エンジェル)と右の清水梨沙(ウエストハム)に任せ、「深さ」は1トップの田中美南(INAC神戸)が相手DF陣とのつば競り合いを制してスペースを作ってくれる。そのうえで、サイドでも中央でもプレーでき、「味方に活かされるだけでなく、活かす側にもなりたい」と話す宮澤は、その中間にあって相手のマークを受けにくいハーフスペースでボールを受け、攻撃の起点となる。得意のミドルシュートを狙う機会も多い。
守備時は[5-4-1]に変形し、従来のサイドハーフとしてハードワークもできる宮澤は新システム採用によって大ブレイクした。
■元同僚たちのサポートを得て得点王へ
今大会は得点の場面だけでなく、1トップの田中が引いて出来た中央のスペースへと宮澤が走り込み、相手DFラインの背後へ抜け出る形が幾度も炸裂している。最前線の田中が大会最多タイの3アシストを記録しているのも特徴的だ。
そして、その田中と左の遠藤は、宮澤が2018年から3年間在籍した日テレ東京ヴェルディ・ベレーザで、2年連続の3冠を達成した当時の3トップでもある。同じく右の清水や司令塔のMF長谷川唯(マンチェスター・シティ)も当時のチームメイト。連携が抜群なのも頷ける。
そんな日本の次戦は11日に行われる準々決勝のスウェーデン戦。FIFAランク3位にして、前回大会3位の強豪は2021年の東京五輪でも準優勝。今大会でもアメリカ(同1位)にPK戦の末に競り勝ち、ベスト8へ勝ち上がってきた。
スウェーデンは主将MFコソヴァレ・アスラニが攻撃のリズムを作り、最前線のFWスティナ・ブラクステニウス、スーパーサブとなったベテランFWソフィア・ヤコブソンが絡む攻撃は、個でもトリオとしても機能性がある。近年の国際大会でお馴染みとなっているこのトリオは要警戒だ。
日本は主将DF熊谷紗希(ローマ)を中心にここまで1失点に抑える堅守を継続し、宮澤ら元ベレーザ陣が揃う攻撃陣に上手く繋げられるか。攻守に万能なチームプレーヤーでもある宮澤が、レジェンド・澤が成し遂げたように、チームの優勝を自身の得点王獲得で導く。
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文●新垣博之(しんがき・ひろゆき)











