「ノジマTリーグ 2023-2024シーズン」は11日、江戸川区総合文化センターで行われ、今季のホーム開幕戦となった木下マイスター東京は岡山リベッツに3-1、木下アビエル神奈川は日本生命レッドエルフを3-1で下した。
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■全農CUPでは体調不良を訴える
昨シーズンはリーグ戦を首位で終えながら、プレーオフでは琉球アスティーダに敗れた木下マイスター東京。今季は来年のパリ五輪選考2位につける戸上隼輔(明治大)が加入し、チームの総合力を上げた。昨年果たせなかった優勝に向けて進む戦いで、岡山相手に4番手で登場した戸上は元世界ランキング7位の難敵、ヤン・アンを退け、その役目を果たした。
一方で、戸上は7月のパリ五輪選考会「全農CUP東京」では、決勝まで勝ち進んだものの、体調不良を訴える場面もあり、Tリーグ開幕となった7月29日の琉球戦を欠場。パリ五輪選考3位につける篠塚大登(愛工大)も在籍する木下マイスター東京にとっては、海外遠征と国内戦での選考会やTリーグの連戦を繰り返す選手を抱える中での今季となる。来年の五輪行きも見据えてのシーズンで、コンディションの維持はポイントになるのではないか。
しかし、ナショナルチームの監督歴もある倉嶋洋介総監督にこの点を尋ねると、「選手たちはあんまり気にしてないです」との言葉が聞かれた。
さらに、「自分たちでTリーグや国際大会も行きながら無理にガンガン行ったらそれは疲れるに決まっている。普通のペースでやっていれば、全然そこまで疲労がくるとか、調子を急激に落とすということはない。戸上に関しても篠塚に関しても今すごくいい形で練習ができているので、このペースでしっかり戦っていきたい」と語り、パリ五輪選考ポイントの対象大会にもあたるTリーグだが、そこを大きく意識することはないと明かしている。
■主力を欠いた日本生命に苦戦
木下アビエル神奈川は、石川佳純が5月に引退を発表し抜けたものの、平野美宇(木下グループ)、張本美和(木下アカデミー)、木原美悠(木下グループ)、長崎美柚(木下グループ)と“オールスター”と呼べる面々が揃う。今季も昨季に続く優勝候補に変わりはないが、帰国直後の選手が大半を占めた11日は、リオ遠征中の早田ひな(日本生命)、メンバーから外れた伊藤美誠(スターツ)と主力2人を欠く日本生命相手に苦しむ場面が見られ、各選手の疲労の影響が心配された。
なかでも「WTTコンテンダーリマ」の2回戦を棄権した平野の状態は懸念されていたが、笹尾明日香(日本生命)相手に3-1で勝利し、その心配を払拭。序盤の入りから動きも悪くなく、コンディションは心配ないように思えた。
試合後には「(リマでは)疲労でつってしまっていたんですけど、無理する大会ではないという判断で、状態的には悪くはないです」と明かした。一方で、「五輪ポイントをできるだけ稼ぎたかった」と語った通り、パリ五輪選考ランキング2位につけ、自身初の五輪シングルス出場権を見据える平野にとっては、一つひとつの大会が重要であることも確かだ。
日本生命レッドエルフは伊藤がコンディションも考慮されてか、姿を現さなかった。今季はパリ五輪行きをかけた戦いが終盤に入る中、タイトなスケジュールをどう乗り切るのか。Tリーグの優勝争いの行方には注目が集まる一方で、スター選手を抱えるチームがどのように選手をマネジメントするかは求められている。
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取材・文●井本佳孝(SPREAD編集部)