スーパーミドル級世界4団体統一チャンピオン、サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)とスーパーウェルター級世界4団体統一チャンピオン、ジャーメル・チャーロ(アメリカ)の一戦が30日にアメリカのラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われる。
両者合わせて8本のベルトというスーパースター同士の大一番。試合の見どころを検討していこう。
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■メキシコの英雄vs.双子チャンプの弟
カネロといえば、メキシコの英雄だ。5月にジョン・ライダー(イギリス)を迎えて、およそ12年ぶりに故郷で行った防衛戦には、サッカースタジアムに5万人の大観衆を集めた。王冠をかぶって登場したカネロは、まさにヒーロー中のヒーロー。挑戦者の鼻をへし折り、5ラウンドにダウンを奪う圧勝で凱旋試合を勝利で飾った。
一方のチャーロは、兄のジャモールとの双子世界チャンプとして知られる。ミドル級の兄がアグレッシブなファイターなのに対し、弟はスピードのあるボクサー・タイプだ。直近の試合は、昨年の5月。一度、引き分けたブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)を10ラウンドに連打でKOし、4団体統一を果たした。戦績は35勝(19KO)1敗1分だ。
その後、今年の1月に人気者のティム・チュー(オーストラリア)の挑戦を受ける予定だったが、左手を骨折しキャンセル。今回が1年4カ月ぶりの復帰戦となる。
■カネロは重量級の戦い方にモデルチェンジ
この試合、原稿執筆時点でのオッズは7対2でカネロ有利。関係者の予想もカネロを支持する声が大きい。59勝(39KO)2敗2分の戦績は圧倒的で、フロイド・メイウェザー、ゲンナジー・ゴロフキン、ミゲール・コット、カレブ・プラントなど、戦ってきた相手は超一流ぞろいだ。
ライトヘビー級のディミトリー・ビボル(ロシア)に敗れ、その後も判定勝利が続いたことから、衰えを指摘する声も聞くが、それは正しくないだろう。15歳でプロデビューしたカネロは、まだ33歳。チャーロと同い年で老いるには早すぎる。
むしろ、最近はすっかり重量級の戦い方にモデルチェンジした印象だ。ウェルター級からミドル級だった頃は、ボディワークや軽快なステップで相手のパンチをかわしていたが、近年はブロッキングでのディフェンスが主体になった。ガードを固めてプレッシャーをかけ、追い詰めてから強いパンチを打ち込む省エネ・スタイルだ。今回もその作戦は変わらないだろう。