■ポイントはチャーロの体重。何キロでリングに上がるのか……
勝負のポイントはウエイト。チャーロは素早く動いてワンツーで試合を組み立てる中量級の戦い方が持ち味だ。前の試合では、スーパーウェルターのリミットを大幅に下回る体重に仕上げ、体のキレ、パンチのスピードともに生涯最高の出来を披露した。
重いクラスは、階級間のウエイト差が大きい。スーパーウェルターとスーパーミドルでは約6.4キロの差がある。つまり、リミットまで増やすと、前の試合よりも7キロも重くなってしまう計算だ。これでは持ち前のスピードが生かせないだろう。
チャーロのトレーナーも「(リミットより5ポンド軽い)163パウンド(73.35kg)くらいでリングに上がるだろう」とコメントしている。それが本当なら、カネロとは3kg以上の体重差があるハンディキャップ・マッチになる。
■ロイ・ジョーンズの偉業の再現なるか
これで思い出すのが、2003年に行われたジョン・ルイスとロイ・ジョーンズ・ジュニア(ともにアメリカ)のWBA世界ヘビー級タイトルマッチだ。当時、ライトヘビー級の王者だったジョーンズの体重は88kg、一方のルイスは103kg。試合はスピードで上回るジョーンズが15kgの体重差をものともせず、文句なしの判定勝ちを収めた。
チャーロは、スピードで試合をコントロールして圧勝する、と自信満々の発言を繰り返している。はたしてロイ・ジョーンズの偉業の再現はなるのだろうか。
■複雑な試合のバックグラウンド
もうひとつ気になるのが、この試合が決まるまでの経緯。今回の試合はチャーロがカネロのタイトルに挑戦する形で行われる。仮に負けても、自分が保持しているスーパーウェルター級の4本のベルトは傷がつかない。
では、もし、勝った場合、王座はどうするのか……それに、一旦、自分のケガで延期になったチューとの試合はどうなったのだろう。うがった見方をすれば、カネロとのビッグ・マッチで一儲けして、その後じっくりと防衛戦を行う、という計算が働いたのではないか。そもそも、カネロ戦に意欲を燃やしていたのは、2年以上試合をしていないチャーロ兄のほうだったはず……。
いくつもの疑問符が残るマッチメイクではあるが、超一流のボクサー同士が戦うドリームマッチであることに変わりはない。ここでの予想は3~4ポイント差で、カネロの判定勝利。興味深い一戦を、じっくりと楽しみたい。
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著者プロフィール
牧野森太郎●フリーライター
ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。










