パリ五輪イヤーとなった2024年の卓球界は各大会で盛り上がりを見せてきた。1月の「2024年全日本卓球選手権大会」から始まり、2月の「世界卓球2024 団体戦」や、五輪後に行われた「ITTFアジア卓球選手権2024」や国際大会であるWTTシリーズなどーー。
今回はパリ五輪をはじめとした主要大会を中心に7トピックを選出。2024年を湧かせた各選手の戦いを振り返る。
◆卓球女子は早田ひなが日本勢トップの6位で上位変わらず 16歳張本美和が7位、20歳大藤沙月が8位でトップ10圏内キープ【最新世界ランキング】
目次
■男子団体はあと一歩でメダルを逃す
早田ひな/パリ五輪女子シングルス3位決定戦
熾烈な女子の選考争いを独走して初の五輪出場を果たしたのが早田ひな。日本の新たなエースに成長して挑んだ24歳は女子シングルスで勝ち進むも、準々決勝で左腕を負傷するアクシデントに見舞われた。その後、出場も危ぶまれたなか3位決定戦に挑むと、申裕斌(韓国)相手に4-2で勝利して銅メダルを獲得。涙を見せた早田のもとに駆け寄った申裕斌のスポーツマンシップも称賛を浴びた。
平野美宇/パリ五輪女子シングルス準々決勝
平野美宇は、同学年である伊藤美誠との激しい選考争いを勝ち抜き、自身初となる五輪シングルスの舞台にたどり着いた。第8シードとして挑んだ戦いで準々決勝で対したのが申裕斌。好調を維持した相手に第3ゲームを終えて0-3のビハインドと絶体絶命のなか、攻めの姿勢を貫き3-3と驚異的な粘りで追いつく。第7ゲームでもマッチポイントを奪うなど死力を尽くしたが、最後は11-13で奪われベスト8で敗退した。24歳で掴んだ五輪シングルスの舞台で、大会屈指の名勝負を演じた。
男子団体/パリ五輪準決勝・3位決定戦
銀メダルのリオ五輪、銅メダルの東京五輪に続き3大会連続のメダル獲得に挑んだのが男子団体。張本智和、戸上隼輔、篠塚大登の3選手で挑んだ戦いは、準決勝でスウェーデン戦相手に戸上・篠塚のダブルス、張本智のシングルスで先取するもまさかの逆転負け。さらに、地元フランスとの3位決定戦では戸上、張本智が奮闘するもフルゲームの末に敗戦。スウェーデン戦後にはエースの張本智が責任を背負う姿も見られるなど、同世代3人で挑んだパリでは悔しい想いを味わった。
女子団体/パリ五輪決勝
同学年の早田、平野に加えて3人目に抜擢された16歳の張本美和を加えたメンバーで“打倒中国”に挑んだ日本女子。順当に決勝まで勝ち進み、迎えた決勝では早田、張本美をダブルスにサプライズ起用し、陳夢・王曼昱ペアを2-3で追い込んだ。平野も世界女王の孫穎莎に序盤リードを奪うなど奮闘したが敗れ、最後は張本美も王曼昱に屈し銀メダル。史上最強の呼び声も高かった五輪トリオは4大会連続メダルとなる3度目の銀でパリ五輪を終えた。
■飛躍を遂げた女子若手選手たち
張本美和/アジア卓球選手権女子団体決勝
パリ五輪への初出場を経てさらなる成長を見せたのが張本美和。10月に行われた「ITTFアジア卓球選手権2024」では怪我の早田に代わり主力を担いチームをけん引。中国との決勝では第1マッチで王芸迪を3-2で下すと、第4マッチではシングルスでは未勝利だった世界1位の孫穎莎を3-2で下す圧巻の2点取り。中国を倒しての金メダルは1974年大会以来となり16歳が50年ぶりの偉業達成の立役者となった。
大藤沙月/WTTチャンピオンズモンペリエ決勝
早田、平野、伊藤という黄金世代に張本美が絡んでいた近年の女子卓球の争いに2024年新たに加わったのが大藤沙月。20歳の新星は強烈なバックハンドやラリーに磨きをかけ国際大会のWTTシリーズで優勝を重ねる。ハイライトは10月に行われた「WTTチャンピオンズモンペリエ」で、平野、伊藤と下すなど快進撃を見せて決勝へ。張本美との戦いとなったなか、激しい打ち合いを制し初出場初優勝を達成。4月に125位だった世界ランキングを8位まで上げた大藤が、ロサンゼルス五輪に向けて新たな注目株として名乗りを挙げた。
張本智和/WTTファイナルズ福岡2024準決勝
パリ五輪での悔しさを経て、ロサンゼルス五輪へ向けて動き出した男子のエース。張本智は10月の「ITTFアジア卓球選手権2024」で日本勢50年ぶりの金メダルを獲得すると、国際大会の最終戦となった「WTTファイナルズ福岡2024」でも魅せた。1回戦で梁靖崑に勝利すると、準決勝では中国の次世代エース候補の林詩棟をフルゲームで下し決勝進出。圧巻のプレーで日本大会準優勝を飾った張本智は世界ランキングを7位から3位まで急上昇させて19カ月ぶりのトップ3入り。紆余曲折を経た1年を過ごしたなか、2025年へつながる戦いで最後を締めくくった。
◆卓球男子は張本智和が中国勢に次ぐ3位で日本勢最高位 戸上隼輔23位、宇田幸矢30位で上位陣の顔ぶれ変わらず【最新世界ランキング】