今週は、オークストライアル、第60回フローラS(GII、芝2000m)が東京競馬場で行われる。
今年はフラワーC3着のゴーソーファーや、フリージア賞を制したヴァルキリーバース、君子蘭賞を勝ったルクスジニア、フェアリーS2着のティラトーレ、2戦無敗のブラックルビーらが主軸か。抽選組からはエルフィンS2着のグローリーリンク、同4着のカムニャック、GI馬マリアライトの仔ロジャリーマインなどが権利獲得を狙っている。
そんな中、重賞で連続3着のエストゥペンダが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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目次
■マイル重賞で連続3着が仇となる
初勝利まで3戦を要したエストゥペンダだが、1月のフェアリーSで3着に好走すると続くクイーンCでも3着と重賞で連続好走して見せた。クイーンCを制したのが、のちに桜花賞を勝つエンブロイダリーで、2着だったマピュースも桜花賞で4着に好走。フェアリーS覇者エリカエクスプレスも桜花賞では5着と、ハイレベルな重賞で連続3着しておりエストゥペンダにも大いに期待が高まる。
しかし、エストゥペンダはデビューから一貫してマイル戦を使われており、今回一気に距離が伸びる芝2000m戦となると話は別。マイルで好走してきた経歴が一転して弱点に変わる。
過去10年のフローラSで、前走がマイル重賞だった馬の成績は【1.4.1.17】。まずまずの好結果を残しているが、その内訳を調べると3着以内に好走した6頭中5頭は前走のマイル重賞で着外に敗れていた馬たち。つまり、マイル戦で好走できなかった、マイルに適性がなかった馬が2000mに距離が伸びたことでフローラSで好結果を残すことができたのである。
逆に、前走マイル重賞で5着以内に好走して臨戦してきた馬は、16年フロンテアクイーン(クイーンC2着→フローラS4着)、18年サラキア(チューリップ賞4着→フローラS4着)、23年イングランドアイズ(クイーンC4着→フローラS4着)など【0.0.1.8】の成績で、劇的に着順を上げることはできていない。これらを踏まえると、フローラSではマイル適性が低かった馬が、中距離に変わることでチャンスが生まれる傾向にあり、マイル適性の高いエストゥペンダは中距離ではチャンスが低くなるのではないか。
また、父サートゥルナーリアは昨年から産駒デビューを果たし、今年の毎日杯でファンダムが重賞初制覇。距離も芝では1200mから2400mまで満遍なく勝利を飾っているが、牝馬に限ると勝ち鞍は1200mから1800mまで。芝2000m以上は【0.1.0.21】と好走できていない。総じて小柄な仔の多いサートゥルナーリア産駒だが、牝馬に関しては距離の壁があり、中距離以上は厳しい戦いを強いられそうだ。
デビュー2戦目からレースの上がりは常に最速で、終いの切れ味は堅実なエストゥペンダ。しかし、フローラSは開幕週の東京で、先行勢に有利な馬場状態だ。近2走は後方待機策から終いを活かすレースをしており、同様の戦法では、今回も届かない恐れが懸念される。加えて距離適性や血統面など芝2000mで実力を出し切れるか微妙な印象で、過剰に人気を集めるようであれば、妙味を考えると少なくとも「頭」勝負は避け、場合によっては「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。