プロテニスプレイヤーが語る“不安”
2018年の全日本テニス選手権を制覇、現在は世界を転戦している清水綾乃は、ITFからの通知をオーストラリアへの出発前夜に自宅で受け取った。
「国内での大会中止は想像できましたが、まさか全世界で大会が止まるとは思いもしませんでした。オーストラリアではそれほどコロナが流行ってなかったし、試合ができると予想していました。正直、びっくりもしたし『どうしよう!?』と戸惑いました」
清水はすぐに飛行機とホテルの予約をキャンセルし、コーチとこの先、どうするか話し合った。予定していた5週間の遠征がなくなり、今後はオフシーズン同様のトレーニング期間に入るそうだ。
「シーズン中に6週間もスケジュールが空くなんて初めての経験なので、今はコーチがトレーナーを確保できるか問い合わせてくれています。まずは2週間、身体をつくりなおし、6週間後にツアーが再開されるつもりで準備をします。けど、やっぱり不安ですね。全仏(オープン)はどうなるでしょう」
この現状に、選手だけでなく各国大会側も戸惑い続けている。5月24日から開催予定の全仏オープンに向け、ヨーロッパでは数々の前哨戦が用意されている。
だが、イタリアをはじめ近隣諸国で感染者が増え続けていることから、予断を許さない状況に陥っている。

2019年 全仏オープン (c)Getty Images
残る懸念、今後の動向
そして選手からは世界ランキングに関わるポイントに対して、不満の声が上がっている。一部の大会中止に伴い、ポイントを獲得できなかった選手たちから「不公平だ」という意見が出るのは当然だ。
特に五輪選考に関わっている選手にとっては、予期せぬハプニングから不安や焦りは高まるばかり。現段階で、世界ランキングのポイント問題についての対処は発表されていない。
先週末、兵庫県三木市で開催されていた国・地域別対抗戦のデビスカップ(対エクアドル戦)も、ビッグイベントにも関わらず無観客試合となり、両国ともに会場での声援がないことに困惑が大きかった。
スポーツは、「プレーする人」も重要だが「プレーを観る人」なしでは盛り上がりに欠けることを再確認した。
先の見通しもたたないこの現状に、関係者からは「選手たちのモチベーションは保てるのか」と心配の声も上がっている。
男女ともにツアー休止が決まり、6週間ほどの空白が生まれた。選手たちは、いったいどのように過ごしているのだろう。
トレーニングに明け暮れる選手もいれば、しばしのお休みと捉えて家族との生活を楽しむ選手もいるだろう。この機会をどう使うかは、選手の性格が露呈しそうで興味深いとも言える。
この現状を突破した時、強くなったと言える活躍を見せるのは誰だろうか。今後の選手たちの動向には、ことさら注目したい。
≪久見香奈恵 コラム≫
著者プロフィール
久見香奈恵
1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。
園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。
2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動をはじめ後世への強化指導合宿で活躍中。国内でのプロツアーの大会運営にも力を注ぐ。










