【競馬】ジャパンC“三冠馬3強”の一角を崩す古牡馬の存在

牡牝3冠馬3頭が激突する今年のジャパンC。過去、中央競馬で三冠馬の直接対決は4回あり、1度目は1984年のジャパンCで、前年の三冠馬・ミスターシービーvs同年の無敗3冠馬・シンボリルドルフ。結果はミスターシービーが10着、シンボリルドルフが3着となり、勝ったのはカツラギエースだった。

ミスターシービーvsシンボリルドルフの三冠馬対決はその後も繰り広げられ、同年の有馬記念、翌1985年の天皇賞・春でシンボリルドルフが優勝している。

4度目は、2012年のジャパンC。前年の三冠馬で凱旋門賞2着のオルフェーヴルと、同年の牝馬三冠馬・ジェンティルドンナ。直線、馬体をびっしりと合わせた叩き合いの末、ジェンティルドンナがハナ差の勝利を飾った。

いずれも三冠馬2頭の対決で、三冠馬3頭による対決は史上初となる。しかも、コントレイルデアリングタクトは無敗の三冠馬であり、アーモンドアイは歴代最多の芝GI8勝を誇る三冠馬。

アーモンドアイは同レースでの引退を表明しており、今回が最初で最後の競演となる。まさに夢の対決だ。

では、今年のジャパンCは三冠馬3頭で決まりか。答えはノーと言いたい。

■アーモンドアイはスピード競馬でこそ

アーモンドアイは3歳時に挑んだ一昨年のジャパンCで優勝。勝ち時計2分20秒6は、1999年にアルゼンチンのアシデロが記録した2分21秒98を上回る世界レコードで、2005年ジャパンCでアルカセットがマークした日本レコード2分22秒1を1秒5も更新した。

この大レコードを引き出したのは、2着キセキの逃げ。前半1000m通過は59秒9と平均ペースだったが、5F目で11秒7、6F目で11秒8……とペースは上がり続けた。そのラップを並べてみると、

▼2018年ジャパンC(アーモンドアイ)のレースラップ
12.9-10.8-12.2-12.3-11.7-11.8-11.7-11.4-11.4-11.0-11.4-12.0

レースが動いたのが5F目で、以降はペースダウンどころかさらに加速してゴールまで駆け抜けているのがよくわかる。アーモンドアイはこういった究極のスピード競馬にめっぽう強い。しかし一方、道中緩急のある流れでは力を発揮できないタイプで、9着と惨敗した昨年の有馬記念がまさにそれ。

昨年の有馬記念は前半から11秒台のラップが続き、残り4Fは12秒3-13秒4-12秒2-12秒0。このレースはアーモンドアイの得意とするスピード競馬ではなく、苦手な消耗戦だったというわけだ。

ジャパンCは例年、道中に12秒台が数本入る消耗戦になりがちのレース。事実、過去のジャパンCではキタサンブラック、キセキ、シュヴァルグラン、エピファネイアなど、天皇賞・春や菊花賞といった長距離戦の実績がある馬の好走が目立つ。

2年前、アーモンドアイの得意なペースをつくり上げたキセキは、近走は控える競馬が続いている。逃げ宣言のヨシオ、他馬に脚を使わせたいトーラスジェミニの2頭はいるが、各馬がこれを追いかけるとも思えず、つまりアーモンドアイが得意とするスピード競馬にはならないと見る。

年齢を重ねてマイル~中距離の適性が色濃くなってきたアーモンドアイ。クラシックディスタンスでパフォーマンス全開といけるかは疑問符が付く。

■無敗の三冠馬2頭にも不安要素あり

では、無敗の牡牝3冠馬2頭はどうか。こちらはアーモンドアイ以上に不安要素があると見る。

まず、コントレイルはクビ差の叩き合いとなった菊花賞の疲労が懸念される。1週前追いは時計こそ悪くないが、併せた相手に半馬身遅れ。同馬が併せ馬で遅れたケースは記憶になく、しかも鞍上の手が激しく動いての遅れだった。

最終追い切りに福永騎手を乗せ、鋭く伸びたが、過去に最終追いでジョッキーを乗せたのは今回が初めて。1週前追いの内容に対する陣営の不満の表れでもあり、テンションの上がりやすいタイプだけに、いつもと調整過程が異なるのは気がかり。

デアリングタクトは三冠馬3頭の中では、距離・コース・馬場不問で、過去10年で菊花賞組【1-0-0-4】に対し、秋華賞組【2-1-0-2】とローテーションも問題なし。しかしながら、唯一の不安点が大きく、それが世代レベルだ。

オークス2着のウインマリリンはエリザベス女王杯で4着と健闘したが、3着ラヴズオンリーユーとは1馬身3/4差と古馬勢に完敗。桜花賞2着のレシステンシアも休み明けとはいえ、マイルCSで前有利の馬場の中、軽快に逃げるも8着に敗れた。今秋の現3歳牝馬の戦績を見ると、デアリングタクト以下のメンバーが手薄だったと言わざるを得ない。

また、3歳牝馬が注目される理由の一つが斤量53キロ。ただし、デアリングタクトの相手が古牝馬・アーモンドアイ、3歳牡馬・コントレイルで斤量55キロ。斤量53キロのジェンティルドンナvs斤量57キロのオルフェーヴルと状況が違う。

■三冠馬3強対決に待ったをかける古牡馬

結論。三冠馬3強には割って入る隙がある。そこでピックアップしたいのが、5歳牡馬グローリーヴェイズだ。

17着に大敗した宝塚記念は、出走予定だったドバイ国際競走の中止によるトンボ返りの影響も出たか、おまけにレースでは出負けし、まったく競馬にならず。まだ良化途上に思えた前走の京都大賞典では、スタートを決めてスムーズに立ち回り、斤量57キロと自身より1キロ軽いキセキを抑え込んでの勝利。

香港ヴァーズの圧勝劇からも古馬トップクラスの実力は疑いようがなく、中間の追い切りが唸るような内容からもようやく本領発揮となりそう。これなら三冠馬3強の一角崩しは可能と見た。

著者プロフィール

山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。

twitterアカウントはこちら⇒『SPREAD』編集長・山田

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