【プロ野球】往年の名捕手が語るセ・リーグ優勝争い かつての教え子の活躍は「こんなに嬉しいことはない」

中日や巨人などで活躍した中尾孝義氏(写真:SPREAD編集部)

今年のペナントレースも、残すところ20試合ほど。セ・リーグは巨人が息切れし、総合力で勝るヤクルト阪神が優勝争いをリードする展開へと変わりつつある。

SPREAD編集部では、かって中日、巨人などで活躍し、1982年に捕手として初のリーグMVPにも選出された中尾孝義氏にインタビューを実施。現役引退後も指導者や阪神のスカウトを歴任した往年の名捕手が、今シーズンの展望や、かつての戦友について語った。

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■最終盤で失速気味の巨人

三つ巴の戦いとなっていたセ・リーグだが、ここにきて失速が目立つのが巨人だ。打線ではシーズン半ばで離脱となったテームズ、スモークに続き、体調不良によりハイネマンの帰国も発表された。中田翔の獲得も話題になったが、突貫で補強をした巨人打線が繋がりに欠けることは明白。中尾氏もチームを鼓舞し続ける坂本勇人の存在を評価しつつも「投げ損じさえしなければくみしやすい。ちょっと淡泊な印象の打線ですね」と振り返った。

投手陣については、戸郷翔征や髙橋優貴といった躍進中の若手に期待を寄せつつ、満身創痍の菅野智之を気遣う言葉が印象的だった。

「今年の菅野は投げ方がよくないです。故障を抱えていると、投手の方が大きく影響を受けてしまう。野手は騙し騙しプレーできますけどね」。

コリジョンルールのなかった時代に、度重なる故障と戦い、捕手としてグラウンドに立ち続けた氏の言葉には含蓄がある。

■ヤクルトと阪神の共通点とは

激しい首位争いを続けるヤクルトと阪神に目を向けると、中尾氏はどちらも上位打線の活躍が好調の要因であったと語った。

「ヤクルトは今一番勢いがあるチームだと思います。村上宗隆、山田哲人を始め、彼らを生かせる塩見泰隆もいる。『全員野球』を体現していて、チームの雰囲気がすごくいい。

阪神も、前半戦の象徴は佐藤輝明でしたが、躍進の原動力は近本光司や中野拓夢でしょう。上位陣に足を使える選手が増えてきて、中心打者と噛み合うようになってきましたね」。

また、投手で名前が挙がったのは、ヤクルト2年目の奥川恭伸だ。中尾氏も「投げるたびによくなっている。頭のいい投手」と若き右腕を高く評価。一方の阪神では、先発の秋山拓巳や、中尾氏がスカウトをしていた時期に入団したセットアッパーの岩崎優の貢献に言及した。特に岩崎は東京五輪のメンバーに選ばれるなど、今季も大車輪の活躍を続けており、その話を向けると思わず顔をほころばせ、喜びを隠そうとしなかった。

「こんなに嬉しいことはないですね。本当にいいピッチャーに育ってくれました」。

■指導者となったかつての戦友たち

かつての教え子だけでなく、巨人時代の戦友や後輩たちの存在も中尾氏にとっては刺激になっているという。

「(現役当時)手がかからなかったのは、斎藤雅樹や桑田真澄(現:巨人投手チーフコーチ補佐)ですね。宮本和知(現:巨人投手チーフコーチ)は血気盛んなピッチャーだったんですよ。近鉄との日本シリーズでは、ピンチで一呼吸を入れようと僕がマウンドに向かったタイミングに不服そうでした。彼はまだ若くてね、ストライクばかりとりたがるものだから」

後にお互いにとっては、笑い話になったという現役時代のエピソードを柔和な笑顔で明かしてくれた中尾氏。今もなお、プロ野球の第一線で戦い続ける後輩たちへ。中尾氏から、敬意を込めた激励のメッセージだったのかもしれない。

セ・リーグの上位3チームは、まずは下位チームとの戦いを乗り越えなくてはならない。優勝争いから脱落しつつある巨人は、1日からDeNAとの3連戦が始まっている。直接対決を目前に、最終コーナーでつまずくことは許されない。ペナントレースの行方を大きく左右する今週末の試合は要注目だ。

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文・SPREAD編集部


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