【プロ野球】ヤクルト黄金時代を支えた飯田哲也氏が語る、セ・リーグ優勝争いのゆくえ 「雰囲気は過去ナンバーワン」

 

【プロ野球】ヤクルト黄金時代を支えた飯田哲也氏が語る、セ・リーグ優勝争いのゆくえ 「雰囲気は過去ナンバーワン」
野村監督時代のヤクルトを支えた飯田哲也氏(写真:SPREAD編集部)

連日、熱戦が繰り広げられているプロ野球のペナントレース。セ・リーグでは、ヤクルト阪神が首位争いにしのぎを削る中、ここにきて巨人が失速。シーズン大詰めの10月に突入し、優勝戦線の生き残りをかけた直接対決に俄然注目が集まっている。

SPREAD編集部では、かつてヤクルトで黄金時代を築いた故・野村克也氏のもとで不動のリードオフマンとして活躍、鉄壁の外野守備と強肩でチームを4度の日本一に導いた、野球評論家・飯田哲也氏にインタビューを実施。セ・リーグ終盤戦の展望と、現代のプロ野球の変化について伺うことができた。

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■勢いがあるヤクルト、接戦に強い阪神

飯田氏は、今季のヤクルトで特筆すべきはチームの「バランス」と「雰囲気」のよさであると語り、6年ぶりのリーグ制覇に大きな期待を寄せていた。

「先頭に塩見泰隆がいて、それに続くベテランの青木宣親がいる。主軸の山田哲人と村上宗隆がともに調子がよく、捕手の中村悠平に至るまで下位打線も選手が揃っている。雰囲気は過去ナンバーワンのチームだと思います。前評判が高くなかったことが、奮起に繋がったのかもしれないですね。優勝予想はOBですから当然ヤクルトです。この勢いで行ってほしいですね」。

ここまでの阪神についてもその総合力を高く評価していた、飯田氏。

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「近本光司と中野拓夢。1、2番の若手がすごく機能していますね。加えて、投手陣もセ・リーグ屈指を誇っている。ブルペンがしっかりしているので、逃げ切りでも勝てるチームです。エースの西勇輝が復活すれば、さらに脅威だと思いますよ」。

■将来を嘱望される巨人の若きリードオフマン

度重なる離脱者に見舞われた、巨人についてはどうか。今季のみならず、将来的にチームのキーマンになれる選手を伺うと、飯田氏は、育成出身の松原聖弥の名前を挙げた。

「もっと粘り強さを身に着けることができれば、相手にとっていやらしい選手になれるでしょう。ファールで粘って、フォアボールを稼ぎ、足でプレッシャーをかける。彼がホームランを打つ必要はないのです」。

かつての飯田氏さながらクリーンナップへの繋ぎ役に徹することが出来れば、強打者がひしめくチームの中でも欠かせない存在になれると、若き才能に檄を飛ばしていたのが印象的だった。

■打てる外野手が重宝される時代

故・野村克也氏がヤクルトの監督就任後、初めてセ・リーグのペナントレースを制したのが1992年。飯田氏はリードオフマンとして33盗塁を記録。盗塁王を獲得し、歓喜の輪の中心にいた。あれからおよそ30年が経ち、当時と今のプロ野球に違いを感じることはあるのだろうか。

「近年、投手のレベルが上がっていると思います。ボールの速さや変化球のキレ、体格も違いますね。分業制が確立され、常に全力投球をしてくるようになりました。初球から勝負球を投げるし、攻め方も全く違う。今の打者は本当に大変だと思いますよ」。

7度のゴールデングラブ賞を受賞した外野手というポジションについても変化を感じていると飯田氏は語る。

「外野手は、打てないとレギュラーが獲れない時代になりましたね。柳田悠岐、鈴木誠也、吉田正尚などは、僕にはない才能を持っています。一芸に秀でていないとスカウトの目に留まらなくなったので、万能型の選手はプロに入りづらくなったと感じます」。

プロ野球の世界も時代とともに移り変わる。かつて、走攻守三拍子揃った外野手を目指し走り続けた飯田氏には、どこか物寂しさを感じるところがあるのかもしれない。

セ・リーグは、今週から天王山の戦いが幕を開ける。首位ヤクルトは迫りくる虎の影を振り切り、土俵際の巨人に引導を渡すことができるのか。はたまた、再び「混沌」へと引きずり込まれるのか。優勝争いのゆくえは10月の直接対決に託された。まずは、5日からのヤクルト対巨人の3連戦に注目しよう。

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文・SPREAD編集部