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【WRC】トヨタのオジエが8度目のチャンピオン チームタイトルとW戴冠

【WRC】トヨタのオジエが8度目のチャンピオン チームタイトルとW戴冠
表彰台で喜ぶオジエ(左)とイングラシア(右)(C)TGR

2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・モンツァは21日、競技最終日をイタリア・ロンバルディア州モンツァ・サーキットで迎え、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamセバスチャン・オジエジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC 1号車)が見事優勝。通算8回目となるドライバーおよびコ・ドライバー・チャンピオンに輝いた。また、エルフィン・エバンススコット・マーティン組(33号車)は総合2位でフィニッシュし、ドライバー選手権2位を獲得。カッレ・ロバンペラヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車)は総合9位で完走、これによりチームのマニュファクチャラーズ・タイトル獲得も決定した。

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■オジエ「チームのメンバー全員に感謝」

ラリー・モンツァの最終日「デイ3」は、モンツァ・サーキット内で3本のステージが行われた。サーキット上空には日中、時々晴れ間も見えたが、早朝から霧が立ち込め、その後は曇り空が続く肌寒い一日。「デイ2」終了時点で、総合2位のエバンスに0.5秒差を築いたオジエは、オープニングのSS14「グランプリ2」で2番手タイムを記録も、エバンスも同タイムで差は変わらず。続くSS15「セラグリオ1」でオジエは4番手タイムだったが、エバンスはエンジンストールによって大幅にタイムを失い、オジエとの差は一気に7.6秒に広げてしまう。

そして、迎えた最終ステージのSS16「セラグリオ2」を5番手タイムで走り切ったオジエ/イングラシア組が優勝、通算8回目のタイトルを決めた。同組は今シーズン、モンテカルロ、クロアチア、サルディニア(イタリア)、ケニア、そして今回のモンツァと5勝し、優勝回数を54勝に伸ばした。オジエは来季も同チームの一員として何戦かに出場する予定だが、イングラシアはこのモンツァを最後にコ・ドライバーを引退。彼らが共に戦うラリーは今大会が最後だった。

オジエは「今の気持ちを表現するのはとても難しいことです。チームのメンバー全員に感謝します。彼らの存在なしに我々は何もできないですし、今日はチームの全員がワールドチャンピオンになったのですから、みんなで祝いましょう。トヨタが成し遂げたことは非常に素晴らしいことですし、チームはタイトルを獲得するに相応しい、多大な努力を重ねてきました。また、これでジュリアンとの旅が終わりになるのかと思うと、感慨もひとしおです。これ以上の良い終わり方はなかったと思います。最終的に優勝できたのはパーフェクトな結末といえます」とその感動を伝えた。

エバンスは総合2位でフィニッシし、その結果ヤリスWRCは今シーズン5回目の1-2フィニッシュを達成。ポルトガルとフィンランドで優勝したエバンス/マーティン組は、昨年に続きドライバーおよびコ・ドライバー選手権2位を獲得しました。また、今回オジエとエバンスがマニュファクチャラーズ・ポイントを加算したことにより、チームはマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得。トヨタにとっては通算5回目、WRC歴代3位の記録とした。

5シーズンに渡りWRCを戦ったヤリス(C)TGR

また、トヨタは2017年にヤリスでWRCに復帰してからは、2度目のタイトル獲得となり、5シーズンに渡りWRCを戦ったヤリスWRCは通算26勝。2022年シーズンからはハイブリッドシステムを搭載する次世代の「Rally1カー」が、新たにワークスカーの役割を担うことになる。

■ロバンペラはWRC史上最年少記録を更新するなど大健闘

今回、チームのマニュファクチャラーズ・タイトル獲得をバックアップする役目に徹したロバンペラは、任務を完璧にこなし総合9位でフィニッシュ。今シーズンはエストニアで初優勝し、WRC史上最年少記録を更新。その後アクロポリス(ギリシャ)でも勝ち、シーズン2勝を挙げた。

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自らも2018年にドライバーとして、トヨタのマニュファクチャラーズ・タイトル獲得を果たしているチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ は「今回、チーム代表として再びそれを達成できたのは、特別な出来事です。また、ヤリスWRCでこのWRカーの時代を終えることになり、今シーズン9勝できたことも素晴らしいと思います。セブとジュリアンが成し遂げたことは、信じられないくらい素晴らしいものです。エルフィンとスコットも、素晴らしい走りで戦いを盛り上げてくれましたし、カッレとヨンネのサポートにも心から感謝したいと思いま」とコメントした。

なお、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより、ヤリスWRCで出場の勝田貴元は、SS14で4番手タイム記録するも、続くSS15でバリアにヒットしサスペンションを破損。しかし、15分間のサービスでメカニックによる修理を経て臨んだ最終のパワーステージ、SS16では2番手タイムをマーク。総合7位でフィニッシュしている。新型コロナの影響により2020年、21年とキャンセルされたラリー・ジャパンが来年こそ開催されると期待し、彼のこの結果が日本開催のラリーへむけて、素晴らしい経験となると信じたい。

通算8度目のチャンピオンに輝いたTOYOTA GAZOO Racing (C)TGR

チームオーナーの豊田章男社長は「今シーズンは、どのラリーも貴元を含む4人のドライバー達の誰かが表彰台に立ってくれていました。私もワクワクした気持ちで全戦を見守ることができていたと思います。セブは8度目のチャンピオン。エルフィンは初のチャンピオンを掛けて最後の最後まで全力で駆け抜け戦ってくれました。いちファンとしても最高にエキサイティングな気持ちにさせてもらえました。『こんなにもエキサイティングな走りを最高峰の道でヤリスが…』我々トヨタにとっては本当に夢のような話です。そんな気持ちにさせてくれた2台のクルー達に心から“ありがとう”と伝えたいと思います。そしてその戦いを制したセブ、ジュリアン、チャンピオンおめでとう! 今日も最後まで全力でエルフィンを迎え撃った君たちの走りに心から敬意を表します。8度のチャンピオン獲得は本当に偉大な記録です。その内2回がトヨタでのチャンピオンであることを我々も誇りに思います。本当にありがとう! ファンの皆さまもTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの新たなクルマ、新たな戦いを楽しみにしていただければと思います」と結んだ。

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文・SPREAD編集部