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【ラグビー】大きな一歩を踏み出す「リーグワン」 注目チームや選手など新リーグの見どころは?

 

【ラグビー】大きな一歩を踏み出す「リーグワン」 注目チームや選手など新リーグの見どころは?
トヨタヴェルブリッツに加入したピーターステフ・デュトイ(C)Getty Images

新しいラグビーリーグ、「リーグワン」がいよいよ始動する。7日に国立競技場で予定されていたクボタスピアーズ船橋・東京ベイと埼玉パナソニックワイルドナイツによる開幕戦は、埼玉に9人の新型コロナウイルスの陽性者が確認されたため中止となり、8日から第1節が実質スタートする。

「リーグワン」は昨年までのトップリーグと何が違うのか。注目チーム、注目選手など、新リーグの見どころをまとめてみた。

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■地元に密着したチーム運営が課題

トップリーグとのもっとも大きな違いは、プロリーグ化への歩みを踏み出したという点だ。サッカーのJリーグと同様に、チームがフランチャイズを持ち、チケットやノベルティグッズ販売を通じて事業として運営する。そのためにはホストエリアに密着し、いかにサポートを得るかが重要になる。チーム名に地名が入っているのはそのためだ。

埼玉ワイルドナイツは16日に予定されている熊谷ラグビー場での初のホストゲーム来場者全員に、オリジナルベースボールシャツをプレゼントすると発表。コベルコ神戸スティーラーズも同様のサービスを行う。地元にチームがある方は、ぜひスタジアムに足を運んで応援していただきたい。

※7日の埼玉ワイルドナイツ対NECグリーンロケッツ東葛の開催可否は後日発表予定。

■5月までに最大16試合戦うハードな日程

大会方式も変更された。トップリーグでは16チームを2つのカンファレンスに分けて総当たり1試合を行い、それぞれの上位が8チームで行われるプレーオフトーナメントに進んだ。それに対してリーグワンは、12チームを2つのカンファレンスに分けて「ホスト&ビジター」で2試合を行う。さらに異なるカンファレンスとも交流戦を1試合ずつ行い、12チームのうち勝ち点上位4チームがプレーオフトーナメントに進む方式だ。優勝チームが決まるのは、5月下旬となる。

昨年、決勝戦に進んだチームは合計11試合を戦ったが、この改定により新リーグでは16試合と5試合増える。チーム関係者からは、「1人でも欠けたら戦力が落ちる。チーム全員で戦わないと勝てない」と、総力戦を覚悟した発言が聞かれた。勝ち抜くためには、選手層の厚さが必須だ。

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■昨年の上位チームが優勝争いの中心か

「リーグワン」ディビジョン1の全12チーム

ここからは上位が予想されるチームの戦力分析をしてみよう。ディフェンディング・チャンピオンの埼玉パナソニックワイルドナイツは、福岡堅樹が抜けたウイングにオーストラリア代表のマリカ・コロインベテを補強した。突進型のフィジアンは、世界有数のトライゲッター。戦力が落ちるとは考えづらい。そのほかに有力メンバーの変動が少なく、開幕戦こそ中止となったがリーグワン初代優勝争いの中心になりそうだ。

東京サントリーサンゴリアスは得点王のボーデン・バレットが帰国したが、同じニュージーランドから人気者、ダミアン・マッケンジーを獲得した。近年、オールブラックスではプレー時間が短いが、日本で鬱憤を晴らす大活躍を期待したい。バックス陣には、ジャパンのスコッドに定着した齋藤直人(SH)、中野将伍(CTB)、ワラビーズのキャップを38持つサム・ケレビ(CTB)、トライ王のテビタ・リー(WTB)とスターがそろう。

注目したいのが、昨年3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイだ。躍進の原動力となったマルコム・マークス(HO)、ピーター“ラピース”ラブスカフニ(FL)、ルアン・ボタ(LO)の南ア・コネクションがそろって残留。そこにサンウルブスでの活躍が印象的だったヘルウヴェ(LO)が移籍してきた。このフォワード陣はリーグナンバー1と言っていいだろう。

昨年までは、海外のキャップ保持者はピッチ上に2人しか立てなかったが、リーグワンでは3人までとルールが緩和された。このルール改定の恩恵をもっとも受けるのは、クボタスピアーズかもしれない。

■ヴェルブリッツにはデュトイ、姫野が加入

トヨタヴェルブリッツは、マイケル・フーパーとキアラン・リードのキャプテン・コンビが抜けたが、姫野和樹(NO8)が帰ってきた。南アフリカをワールドカップ優勝に導いた、新加入のピーターステフ・デュトイ(FL)とのバックローは強力だ。マレ・サウバティリアイ・ツイドラキの両センター、と力をつけた髙橋汰地(WTB)のバックスも楽しみ。バランスの取れた布陣となった。

昨年、準々決勝敗退と屈辱を味わったコベルコ神戸スティーラーズは、具智元(PR)を獲得した。これで日本代表キャップを持つプロップは、山下裕史、中島イシエリ、山本幸輝、平島久照と合わせて5人に。最も消耗の激しいスクラム第1列にタレントがそろった。

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トップリーグ時代から数えて3季連続でコロナ禍での影響を受けたが、。充実したタレントと地域密着という新たな理念でプロリーグ化への大きな一歩を踏み出すことになったリーグワン。初代チャンピオンが決定するまで、熱戦の連続から目が離せない。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。